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7 彼は商人のことは間違っていない

まさかチャット欄でセリーナと対話できるなんて――本当に良かった。


俺はまだ、彼女に伝えたいことがたくさんある。


「あなたのお父さんは生きている。あの借金は全部嘘だ。返済なんてしなくていい。このまま別の街に逃げよう。ガンド村にいるのは危険だ。」……そう言いたい。


でも、待てよ。


彼女のお父さんは突然姿を消し、お母さんも亡くなった。村長のせいで、長年苦労してきた。もし今、俺が真実を話したら――彼女は闇落ち……しないよな?


「村長め!お母さんと私を騙して!殺してやる!」……なんて展開、アニメやゲーム、小説ではよくある王道パターンだ。


いやいや。


一気に情報を与えるのは下策だ。


今の彼女は、俺の存在だけでもまだ戸惑っているかもしれない。まずは様子を見てから、話すかどうかを決めよう。


「セリーナ。ワタシは、あなたを幸せにするために来ました。欲しいものはありますか?」


セリーナ:え?欲しいもの?


「はい。エメラルダさんは、あなたが幸せになることを願っていました。だから、欲しいものや夢があれば、教えてください。」


セリーナ:欲しいものは……もちろん、お金です。

セリーナ:実は、亡くなったお父さんが村長に借金をしていて、

セリーナ:その返済のために、お金が必要なんです。


「そうですか……お父さんは、いくら借りたんですか?」


セリーナ:はい、200万Gです。

セリーナ:もう7年返済していて、計算が間違っていなければ、あと30万Gくらいで完了です。


村長め……こんな小さな村の村長である貴様が、どこから200万Gもの金を出してきた?セリーナのお父さんがこんな大金を借りて、村で城でも建てるつもりだったのか?


……あの捏造された借用書は、俺が持ってる。でも、まだ何も知らないセリーナの前であの偽物を見せるのは、さすがに良くない。あ~~なんで昨日、回収したあとに確認しなかったんだ俺!……読めないし、それに眠かったからだよ。


金利は何%だったんだ?もし年利10%なら、7年で元本以上に払ってることになるぞ…。


「利子は、どれくらいですか?」


セリーナ:利子……ですか?ごめんなさい、詳しくはわかりません。


「あなたたちの分の借用書は、どこにありますか?」


セリーナ:お父さんが持っていたそうです。

セリーナ:でも、お父さんは7年前、森でモンスターに襲われて……亡くなりました。


……まあ、借用書の控えが残っているはずもないよな。それにしても――偽りの借金200万Gを、7年かけてほぼ返済完了。利子の詳細も不明で、村長の言いなり状態。


推測するに、返済が終わる頃に「利子が残ってる」と言い出して、セリーナを地下室に監禁するつもりなんだろう。


こんな不透明な借金を、7年もかけて返してきたなんて……俺には無理だ。セリーナたちは、本当にすごい。


テーブルの上に置かれたシャドウウルフの皮を見て、ようやく、彼女が今も続けてやりたいことがわかった。


「なるほど。もしかして、今からこの皮を売りに行こうとしているのですか?」


セリーナ:あ、はい。そうです。

セリーナ:今朝、商人の服を買ってくれたあの商人さんのところに持って行くつもりです。


「……もしもの話ですが……セリーナのお父さん、実は村長に金を借りていなかった、なんて可能性は考えたことありませんか?」


セリーナ:………。


「ごめんなさい。ただの思いつきです。金のことは、ワタシに任せてください。精一杯お手伝いします。」


セリーナ:あ、ありがとうございます、精霊さん。


「この皮は、どれくらいで売れそうですか?」


セリーナ:傷もなく、剥ぎも完璧で、皮も清潔なので……多分、高く売れると思います。

セリーナ:でも、こんな綺麗な皮を売ったことがないので、値段はよくわかりません。


「いいえ、大丈夫です。うん……では、ハチミツの値段はわかりますか?」


セリーナ:ハチミツ……ですか?

セリーナ:もしかして、ナイジェリアの森のキラービーのハチミツですか?」


「はい、そうです。」


セリーナ:あれは貴族しか買えないものです。

セリーナ:記憶では、隣の街で小さな1瓶が10000Gくらいでした。

セリーナ:でも、ガンド村では売れません。

セリーナ:見ての通り、貧しい村なので……

セリーナ:ハチミツを買える人なんて、いないんです。


……やはり、真実を今すぐ伝えるのはやめておこう。このまま、借金を返済してから村を離れる――それが現実的だ。


物を売って、大金を稼ぎ、一気に返済するしかない。


利子の詳細も不明な今、まずは借金額200万Gのうち、半分の100万Gを用意する必要がある。


「では、セリーナ。予定通り、皮を売りに行きましょうか。」


セリーナ:え?あ、はい!


「えっと、あとで例の商人のところまで、ご案内をお願いします。」


セリーナ:わかりました、精霊さん。


ストレージを確認すると、シャドウウルフの皮が9枚、ハチミツは13瓶ある。これを全部売れば、かなりの金額になるはずだ。ハチミツは全部は売れないかもしれないが、あの商人に見せて、おおよその値段くらいは確認できるだろう。


ハチミツ1瓶をストレージから取り出し、テーブルに置いてあった皮1枚と一緒にカバンに入れる。


セリーナ:そ、その半透明の絵は何ですか?!

セリーナ:え?!この瓶、もしかしてハチミツ?どこから?


え?セリーナにもメニューが見えるのか?……どう説明すればいいんだろう。


「これはあとでまとめて説明しますね。先に、あの商人のところに行きましょうか。」


セリーナ:え?え?あ、はい。


本当はセリーナの安全のために、星月ドレス姿に変身するつもりだった。でも目立ちたくなかったので、村人の服のままで商人の元へ向かうことにした。


家を出てすぐ、周囲を確認する。


やはり、プレイヤーの姿はまったく見えない。この世界にいるプレイヤーは、本当に俺だけかもしれない。念のため、いつでもドレス姿に変身できるよう、心の準備はしておかないとな。。


セリーナの案内で、村長の家に次ぐ大きさの建物――この村の宿屋「万金亭」の前に到着した。


いやいや、俺はてっきり市場で取引すると思っていたが……もしかして、セリーナはひとりでこの宿屋で商人たちと取引していたのか?


「セリーナ……本当にここですか?」


セリーナ:はい、ヤークさんはしばらくここで滞在していると話していました。


「女の子ひとりで来るのは危ないと思いますよ。今度は、友人か、できれば知り合いの男性と一緒に来たほうがいいですよ。」


セリーナ:友人……あ!

セリーナ:でも、ヤークさんは奥様がいるので、多分大丈夫だと思います。

セリーナ:それに、先ほど商人の服を買う時、私が決めた値段は25000Gだったのに、

セリーナ:適正価格の30000Gで買ってくれました!

セリーナ:ヤークさんは、信頼できる商人だと思います。


「そうですか。でも女性ひとりでは色々と危ないですから、できれば人目がある場所で取引したほうがいいですよ。もし今後こういう場面に遭遇したら、できればワタシがいる時にしてください。ワタシがいれば、すぐに転移して逃げることができます。」


セリーナ:てんい……。

セリーナ:は、はい…わかりました、精霊さん。


「急いで金が欲しいし、このまま商人に会うしかないでしょうね。」


俺は宿屋の中に入り、受付のおばあさんに「ヤークさんという商人に買い取ってほしい物がある」と伝え、彼との面会を求めた。


ヤークさんを待っている間、俺はついおばあさんの頭の上を見てしまう。


アイラ Lv.5


彼女の名前とレベル、HPバーが表示されている。


そういえば、さっきから見かけた人たちのレベルもかなり低い。こんなレベルで、この村で生活できるのか?森のモンスターはレベル20を超えてるんだぞ。


セリーナ:精霊さん、さっきから人たちの頭の上に名前が見えたんですが……

セリーナ:もしかして、それもあなたの力ですか?


他の人もいるし、口で答えるのはまずい。俺は黙って頷いた。こんな時は、それしか方法がない。幸い、彼女は意外と察しが良い。今は答えられないと理解してくれたらしい。


セリーナ:あ、ごめんなさい。ここは他の人もいますもんね。


俺はもう一度、静かに頷いた。


試しに念じてチャットを送ってみたが、どうやら書いた文字は日本語のため、セリーナには読めないらしい。彼女との対話は、口で話すしかないのか。


俺の視点では全部日本語で表示されているが、セリーナにとっては、俺がこの世界の言葉を話しているように聞こえているらしい。異世界小説みたいに、「なぜか文字も読める」展開は……ないのか?ホントにめんどくさい。


少し待ってから、従者らしい青年の男性が二階から降りてきた。


へクター Lv.23


レベル……高い。あの商人の護衛か?


「あ、さっきのお嬢さん。すぐに来ましたね、こちらへどうぞ。」


彼の後ろに付いて行き、とある部屋に入った。


中には金持ちそうな商人が座っていた。お人好しそうな顔で、どこか海外のポテチのヒゲのおじさんに似ている。


トーマス・ヘストン Lv.19


セリーナが言っていたヤークさんではない。


…こいつはまさか?!一応ミニマップを確認すると、彼は白い点で表示されていた。敵でも味方でもない、中立的な意味だ。


「おや、誰かと思いきや、さっきのお嬢ちゃんじゃないか!どうぞ、おかけください。」

「ありがとうございます。」

「改めて、自己紹介させていただきますね。俺はヤーク、行商人をやっています。お嬢ちゃんは?」

「はい、アリスと申します。」

「そっか、アリス嬢ですか、よろしく。」


目の前のこの“ヤーク”と名乗る人物の頭上の名前を見て、それと俺が急に偽名を使ったことに驚いたセリーナは、チャットで質問責めにしてきた。


しかし、セリーナに返事するよりも、俺はずっと「どうやってここから安全に逃げるか」を考えていた。

だって、このヒゲのおじさんは――セリーナのサブクエストの攻略動画に登場していた、あの裏社会の奴隷商人なんだ!


もし彼らが怪しい動きを見せたら、ここで何かする前に、すぐにセリーナの家へ転移するしかない。


何かあったらすぐ逃げられるように、ワールドマップを開いたまま、彼との商談に臨んだ。


まさか、この商人がこんなに早い段階で登場するとは思わなかった。でも、さっきの会話では、彼はセリーナのことを知らない様子だった。本当に知らないのかどうかはわからない。


俺が偽名を使っても、顔の表情はまったく変わらなかった。右上のミニマップに表示されている彼は、白い点のまま。つまり、“今”はまだ敵ではない。


とにかく、こいつはあの村長と同じグループの人間だ。正直、俺が狩ってきた物をこいつに売りたくない。


でも、シャドウウルフの皮が詰まったカバンはパンパンで、明らかに“皮を売りに来た”と見え見えだ。

皮一枚くらい犠牲にするしかない。


「って、何かいいものがあるのかい?」

「はい、こちらでございます。」


俺は手をカバンの中に入れ、ハチミツをストレージに戻し、シャドウウルフの皮だけを取り出した。


「はい、これです。」

「ほう……これはなかなか……うん……」


トーマス……いや、ヤークは皮を手に取り、隅々まで確認している。


「このシャドウウルフを倒したのは誰ですか?」

「お父さんの友人です。」

「そのご友人のお名前を伺ってもいいかね?」

「申し訳ございません、自分にも存じ上げませんでした。」

「そうですか、それは残念だ。この皮はなかなか良いものだね。約束通り、高く買い取らせてもらうよ。

そうだね……ふむふむ。14000Gはいかが?」



ミニマップ――ヤークの点が赤く変わった。



皮を売っただけで?ヤバい。


「おお!誠にありがとうございます!ヤーク様!」


ヤークは従者に命じて、金を持ってこさせた。テーブルに置かれた金袋には、14000Gの表示がある。

ニセの金ではない、本物だ。


一応、金を数えるフリをしてからカバンに入れる。人前でストレージを使いたくないのはもちろん、ストレージに入った金はただの数字になるだけ。だから、金だけは絶対にストレージに入れてはいけない。


「ハハッ!もしそのお父さんのご友人が、またこんないい皮を持ってきたら、俺に残してくれよ。俺はしばらくこの村に滞在するから、他にもいい物があれば、また持ってきてくれ。」


俺は営業スマイルで、こう返事した。


「はい、もちろんでございます。では、自分もまだ仕事が残っておりますので、お先に失礼いたします。

この度は誠にありがとうございました。」


立ち上がり、彼に一礼する。


ヤークも立ち上がり、手を差し出してきた。握手するつもりらしい。正直、彼と握手したくない。でも、断る方が危険だ。仕方なく、彼と握手する。


宿を出て、ミニマップを確認しながら、セリーナの家ではなく、市場の方向へ向かった。


時間は午前10時。今の市場は、たぶん一番人が多い時間帯だ。角を曲がったところで、家に転移する。



一瞬でセリーナの家に戻った。


家の窓と扉を閉じ、念のためドレス姿に換装する。よし、これで多分何が来ても大丈夫だろう。やっぱり全身UR装備のほうが安心だ。


落ち着いたところで、溜まっていたチャットを確認する。


セリーナ:え?!え?!いつの間に家に戻ったんですか?

セリーナ:先ほどはまだ市場にいるはずなのに。

セリーナ:もしかして、これも精霊さんの不思議な力?

セリーナ:この服は昨日の!いつの間に着替えたんですか?!

セリーナ:この服はやっぱり精霊さんのものですか?

セリーナ:……あの、精霊さん。すみませんが、そろそろ説明してもらえませんか?


「あ、はい、ごめんなさい。」


セリーナ:良かったです。もしかして、もう私の声が聞こえなくなったのかと思って。


「いいえ、先ほどはちょっと危なかったので。」


セリーナ:もしかして……ヤークさんですか?


「はい、そうです。人の頭の上に名前が表示されているでしょう?あれが彼の本当の名前です。つまり、ヤークは偽名です。」


セリーナ:そう……ですか。偽名を使っていた商人さん……。


「彼は商人であることは間違いないですが、奴隷商人です。」


セリーナ:え?奴隷商人?!

セリーナ:もしかして、この村に犯罪者がいるということですか?


「この国では、奴隷制度は普通に存在しているんですか?」


セリーナ:はい。国が捕まった犯罪者には手には魔法の奴隷印が現れ、奴隷として売られるんです。

セリーナ:私も以前、お母さんから聞いたことがあるだけで、実際に奴隷を見たことはありません。


なるほど、奴隷=犯罪者という設定か。でも、奴隷商人がこの村にいるとなると……確証はないが、村長がここ数日、何か動きを見せるかもしれない。


ただ、あのクエスト動画の中のセリーナは、かなり長い間、村長に弄ばれていたと言っていた。俺の行動で、展開に何かしらの変化が起きている可能性もある。でも、少なくとも今は、ゲームが本格的に始まる前の時間帯だと考えていいだろう。


たとえ奴隷商人がこの国では“普通の職業”でも、あのヤークは誠実な商人ではない、自分のことを行商人と言ってるし。プレイ動画の中では“裏社会の人間”と呼ばれていた、偽名も使っている。制度上は正当な職業でも、彼のような裏社会の人間は、明らかに無実の人を攫って奴隷にするタイプだ。


それに、“彼にとっての適正価格”という名目で、シャドウウルフの皮を安く買い取った。さっきのシャドウウルフの皮――システム上の表示価格は2420G。


俺が今までやってきたゲームでは、価格の十分の一が売値になることが多い。だから、適正価格は24200Gと予想していた。それに、セリーナの話では「傷もなし」「剥ぎ取りも完璧」と言っていたから、さらに高値でもおかしくない。


しかし、彼は14000Gで買い取った。まあ、商人として安く仕入れるのは当然かもしれないが……将来、セリーナを奴隷として買い取るのがこいつだと知っている俺にとって、どうしてもこの商人は信頼できない。


ここで問題が来た。


大金を稼いで借金を返す計画を実行するには、この村では――あのヤーク以外、俺が持っている素材を全部買い取れる商人はいない。どうしようかな~。


セリーナ:精霊さん、ごめんなさい。私は他に聞きたいことがありますが。


「あ、はい。何か知りたいですか?」


セリーナ:どうして人の名前が見えるんですか?

セリーナ:それと、先ほども聞きましたが……

セリーナ:ヤークさんに会う前に、あの半透明の四角いものを押すと、ハチミツが出てきましたよね?


「あ~そうですね。名前のことは“ワタシの真実の目”として考えてもらっていいですよ。それと、あの半透明のものも同じです。神様から与えられた力です。」


セリーナ:か、神様が与えられた力ですか?!


「はい。セリーナが使えるかどうかはわかりませんが、ワタシがいない時は“これを出して”と念じてみてください。」


セリーナ:そ、そんな……お、恐れ多いです。


「ではセリーナ、話を戻しますが――あのヤークさんは奴隷商人です。現状を考えると、彼の狙いがあなたである可能性も、なくはありません。」


セリーナ:え?!ど、どうして私を?


「セリーナの家は村長に借金がありますよね。もし、何かの原因で返済不能になったら?」


セリーナ:………私、もしかして借金奴隷に?!

セリーナ:そんなはずないです。服を売ったお金もあるし、今月も返済できます!

セリーナ:そういえば……精霊さんからいただいた物を売れていなかったら、

セリーナ:確かに今月分の返済はできませんでした。


「毎月の返済額はどれくらいですか?」


セリーナ:毎月20000Gです。


「そうですか……セリーナ、次の返済日はいつですか?」


セリーナ:次の土曜日です。だ、大丈夫でしょうか、精霊さん。


まずまず怪しい。もしかして村長は、本当に来週の返済日にセリーナを自宅の地下室に閉じ込めるつもりなのか?


一応、俺が作った物を売ったことで今月分は何とかなるが……もし予想通り、急に“利子”の話を持ち出されたら……。


今はセリーナと会話できるようになったことで、森の中でも途中でログアウトすることが可能になった。今はまだ朝。今日丸一日森を走れば、夜までには最寄りの街に着けそうだ。


いや、行くんだ。できれば早めに退路を確保しておくべきだ。


「セリーナ。この村でハチミツを買い取れる人は、ヤークさん以外にいませんよね?」


セリーナ:は、はい。


「もし、この村から離れて、別の街に引っ越すことは可能ですか?」


セリーナ:え?まだわからないことが多いですが……

セリーナ:できれば、この家から離れたくないです。

セリーナ:この家には、両親との思い出がたくさん残っているんです。

セリーナ:でも……もしここに残るのが危ないなら、精霊さんの言う通り、

セリーナ:別の街に引っ越すしかないです。

セリーナ:でも、私、引っ越すためのお金を持っていませんよ。


「そうですか。わかりました。では今日は、他の街に行って換金することを最優先にします。」


セリーナ:でも、ここから最寄りの街――バールヴィレッジには、馬車でも2日かかりますよ。


「大丈夫です。すでに半分進んでいますから。」


セリーナ:え?


こうして、俺は昨晩開放した転送ポイント〈ナイジェリアの森の内側3〉に転送した。

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