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68 この二人、大丈夫か?

精霊さんが精霊界に戻ったあと、タピオカさんが私左肩のことを無事と確認した後、同じく精霊界に戻りました。


私も左肩を回してみる。


うん、やっぱり、普段通り何もなかったわ。


サクラリアとシルヴィアさんも心配な声で私に話しかける。


『セリーナ、肩、ホントに大丈夫?』

「ええ、ホントに大丈夫ですよ。いつも通りです。怪我も痛みもないのです。」

『良かったわ。』


「セリーナ、無理しないようにね。」

「ありがとうございます、シルヴィアさん。ホントに大丈夫です。」

「何かあったらすぐに私に話してね。一応聖女ですから。」

「わかりました。」


当然、妖精の女王様とマティルダ様も「もしかして怪我したの?!」とすぐに何かあったかと聞いてくる。


説明は現場に詳しいサクラリアとシルヴィアさんに任せて、私は部屋へ戻り、アリスの格好から普段店での制服姿に着替える。着替えた後、そのままベッドに倒れ込む。


魔剣に刺されたのは私の身体のはずなのに。……怪我が治ったとはいえ、精霊さんのことが心配だわ。


でも精霊さんが来ている間は、私には感覚がなく、見えるものは精霊さんと同じだから、自分のHPを見ないと刺されたことすら分からなかった。


あの時はきっと痛かったはず。精霊さんは使い慣れた短剣を使わず、最近ドロップした片手剣に持ち替えたのも……左手が使えなかったほどに痛かったんだと思う。タピオカさんも自分のせいと落ち込んでいるように見えるし、私は何かできるのかなぁ……。


そう考えながら、私は部屋を出て夕飯の準備を始める。


サクラリアたちは今日の出来事を女王様とマティルダ様に説明し終わり、シルヴィアさんとマティルダ様はそのまま引き続き、明日王様との面会のことについて話し合いを始める。


まぁ、その面会、基本はあの二人の独壇場だから、一緒に同席した”アリス”はただのついての感じ。私たちはあとで何をすればいいと聞けばいいのです。


そして、サクラリアは本当に女王様に向かって、『また“失われた花びら”を集めたら、お母様はわたくしのお兄様を生んでくれますか?』と真顔で聞きました。


……そこは、敢えて触れないでおきましょう。



「夕飯は出来上がりましたよ。話はあとで、先に食べてください。」


料理をテーブルに置き、私はシルヴィアさんたちの祈りの終わりを待つ。一緒に夕飯を食べ始める。その前に、隣にいたサクラリアが急に話しかける。


『セリーナ、夕飯はひとり分余ってたわよ。レオンさん今日も来るの?』

「うん~多分来ると思う。」

『今日は何を持ってくるのか、楽しみですね。』

「ただの食事代代わりの食材でしょう。」


今週カフェは休みのため、レオンさんに買い出しをお願いしていなかった。でも彼は相変わらず毎晩来て、夕飯を作らせてとお願いされる。その食事代の代わり、毎晩色んな食材を持ってきてくれる。折角ですから、もらっておくわ。いつも冒険者側の情報や面白いことを話してくれるからね。


夕飯を再開する時、店のカウンターから聞き慣れた声が聞こえる。ほら、やっぱり今日も来てくれたんだ。


マティルダ様はなぜか優しい声で私にこう話す。


「セリーナ、折角ですから、今日は彼と一緒に夕飯を食べておいて。」

「うん?いいですけど……。」

「シルヴィアの話を聞くと、レオンくんも今日も女神様のために戦ってたわね。きっとあなたに話したいことが沢山あるわよ。」

「そうですね、私たちが帰ったあと、闘技場で何かあったのも知りたいし。」


何となく軽くため息が聞こえたが、気のせいだと思う。


それは置いといて、私はカフェのカウンターに来て、レオンさんと挨拶する。


「こんばんは、レオンさん。」

「あ、セリーナ!こんばんは、あなたが無事で良かった、今日はお祝いにいい肉も持ってきたぜ。」「?!」


私は思わず左肩を意識する。


え?どうして?私はアリスなことがバレた?!


「まぁ、あなたも知ってると思うが、今日の武闘祭途中はね、“奈落の七印”の魔剣使いが出てきたからさ。今朝あなたは俺に応援に行くと言っただろう、無事に良かったぜ。」

「あ、はい。私出口に近くにいるので、すぐに逃げましたのです。お肉、ありがとうございます。ちょっと待ってください。あなたの分の夕飯を持ってきます。」

「いつもありがとう!」


よかった、びっくりしました。アリスの正体がバレたと思いました。肉をもらい、小屋に戻り、私とレオンさんの分の夕飯をトレーに乗せ、カウンターの外でレオンさんと一緒に食べるつもり。


サクラリアも私と一緒に来そうですが、大好きなお母様に誘われ、今は女王様と一緒に一週間一度の楽しみのデザートタイムをしている。あれ?女王様で、今朝もプリンを食べた気がする……。


シルヴィアさんとマティルダ様はなぜか、こっちにニヤニヤしながら夕飯を食べている。きっと明日、証拠を王様に提出したら、濡れ衣が晴れることで嬉しかったのでしょう。


もう日が暮れたから、魔法で照明用の光玉を出して、トレーを持ってカフェの外に行く。


今日の夕飯の”きのこたっぷりバター醤油スパゲティ”をカフェのテーブルに置く。


「え、え?!今日はセリーナも一緒に食べるのか?!」

「はい、今日の夕飯は少し遅くなりましたので…。」

「お、おっふ。……今日も美味しそう!いただきます!!!……それでね、今日の武闘祭はこんな事があって、本戦は来週までに延期だって。」

「そうでしたか。」

「あの“奈落の七印”の魔剣使いが急に乱入し、あの千年前の邪竜を召喚する気だって。」

「へぇ~。」


そして、レオンさんからまた今日の出来事を話してくれる。あの時タピオカさんが彼らに貸した剣のことも話してた。あれは回収しなくでもいいですか?あとでタピオカさんに聞きましょう。


「それて、明日はここの侯爵様の屋敷に行って、ご褒美をもらうつもり。」

「そうですか、レオンさんは何が欲しいですか?」


レオンさんは急に視線を逸らして、私に答える。


「うん~まぁ、もし俺が騎士になれるなら、騎士になりたいなぁ。もし、もし……将来俺が嫁が出来たらな、冒険者より、騎士の稼ぎの方が安定だし……よ、嫁にいい生活を送りたいなぁ~なんで。」

「おおう、レオンさんは騎士にするつもりですね。元々強くてカッコいいですから、騎士にはきっと似合うわ。レオンさん将来のお嫁さんは幸せですね。 あ、でも騎士様になると貴族と関わるでは?危ないじゃない?」

「セリーナは貴族と関わりたくない派?」

「ええ、まぁ、貴族に騙されたことあるですから。」

「や、やっぱ、騎士はやめようか。大金を貰い、よ、嫁と店でも開こうかなぁ、ははっ。」

「え?いいの?せっかく出世のチャンスですよ。」

「いいって、自由が一番だ。それでね、セリーナ。今朝の約束は覚えてるか?」

「はい、武闘祭で上位に入ったら、話があるですよね。」

「ああ、まだ途中だけど、今年の武闘祭、俺は十位以内にはほぼ確定だぜ。だから…えっと、その話を、今話してもいい?」

「いいですよ。なにが食べたいものでもある?」

「いいえ、えっと…。」


レオンさんはフォークを下ろし、顔を赤くしてこっちに向ける。私も思わずフォークを下ろし、その話を聞く。


「セリーナが良ければ……今度……俺がおすすめな店で一緒に、お食事でも行きませんか?」

「うん?いいですよ。」


レオンさんは「よし!」とガッツポーズをするが、その代わりにカウンター裏とカフェの外に誰かが倒れた音が聞こえるな気がする。


すぐに反応したレオンさんは、「あいつ…」と言って、カフェの外側の角に行く。そしたら、彼は角で滑り落ちたダリオンさんを捕まえ、こっちに戻ってくる。


「ごめん、セリーナ。えっと、こいつはダリオン、ここに来てからパーティーを組んでダンジョンに入った仲間だ。さっき話してた友人だ。」

「は、ははっ…こんばんは。お嬢さん。」


ダリオンさんはすぐに立ち上がり、私に挨拶する。


「えっと、ダリオンです。俺はたまたま近くに来ただけ、足が滑って倒れただけです。別に隠して覗いたわけではないからな。ははっ。」

「おまえなぁ…。」

「あ~~~!俺、急用が思い出した!では、お邪魔しました!!」

「お、おい!」


ダリオンさんはすぐにメインストリートの方向に走る。えっと、一体何があったのですか?


「ごめんな、セリーナ。こいつは多分王様のご褒美について、俺と話したいことがあったと思う。」

「そうですか?ではもうお帰りですか?でもご飯はまだ食べ終わっていないですけど。」

「セリーナのご飯の方が大事だ!!あいつはこのまま宿で俺を待ってていい。気にするな。」

「は、はぁ……。」


レオンさんはすぐに席に戻り、スパゲティを美味しいと言いながら話を続ける。


「では今度俺がおすすめな店に連れてってやるよ。」

「ホントにいいのですか?」

「いいって、いつも夕飯を作ってもらったからな、今度は俺が奢るよ。」

「買い出しに手伝ってくれましたし、今週も毎晩食材を持ってくれるから、私はそれだけでいいですよ。」

「俺がセリーナと一緒に食べに行きたい、それだけではダメか?」

「別にいいですけど……変な人、ではありがとうございます。楽しみにしてます。」

「おう!楽しみにしてくれ。……あ~、そういえば、俺明日貴族の屋敷に行くんだけど、無作法はマズイよな。セリーナみたいに礼儀正しく振る舞うには、どうすればいいか教えてくれないか?」

「いいですよ。……その前に、私もレオンさんに相談したいことがあるですが……。」


私も迷宮都市に来てから、外食したこともないですから、レオンさんがおすすめの店はきっと美味しいでしょう。少し楽しみです。


食事は終わり、レオンさんに私が知った貴族の前に最低限のマナーを教えたあと。彼とお別れ、食器を持って小屋に戻る。


シルヴィアさんとマティルダ様はため息を吐いている。「なにがあったの」と聞いたら、明日の面会に悩んでると話していた……うん、やっぱり王様との面会は大変ですね。明日は日曜日で良かったわ、面会は精霊さんが代わりにするから。私ならきっと胃が痛くなると思う。



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その夜、俺とタピオカくんは夕飯を食べ終わったあと、再びセレアグの世界にログインした。


ログイン後、どうやら彼女たちはお風呂が終わったばかりで、シルヴィアはセリーナの髪をとかしているところだった。


たったの二週間だけで、シルヴィアはセリーナの姉のようになった気がする。あの序盤のお助けキャラのレオンといい、シルヴィアもいい、セリーナは友人が増え、段々と人を再び信用できるようになったのは嬉しいことだ。


マティルダ様に明日面会のことについて、少し話し合う。明日は”アリス”はほぼ聖女と同行する立場で、事前に口合わせする。


明日の面会はシルヴィアたちが今まで何があったかを王様に説明、まとまった大司教の悪いこととその証拠を出して、彼女たちの冤罪を晴らすだけ。


大司教ヴァルターは聖王国の人ですが、その証拠で彼は「奈落の七印」の一員と判明した彼は、王国側は彼を確保する執行権を持ってるらしい。その後のことは両国の話しだ。もう俺たちとは関係ない。


マティルダ様の話によると、王様は元々マティルダ様を支持する側の人間なので、罠を張ったり待ち伏せの恐れはないと思う。それでも一応警戒しておく。そしてこの流れでは、シルヴィアたちは明日の面会の後、そのまま王様の保護の下で王都に戻って、大司教が逃げる前に彼を確保するでしょう。その後は聖王国に行って、聖女のことを正式に承認して貰う。


他のイベントが発生しない限り、明日は彼女たちとはもうさよならだ。だから俺はお菓子を出して、彼女たちと小さいなお別れ会をする。


短いお別れ会は終わり、セリーナ以外のみんなはもう眠りにつく。セリーナが眠りの前に、彼女はチャット欄で俺たちに話しかける。


セリーナ:精霊さん、タピオカさん。えっと、今更ですけど、

セリーナ:冷蔵庫に私が先ほど作ったケーキが入ってるので、それを食べてください。


「うん?どうしたの?もしかしてセリーナの新作ですか?」


セリーナ:いいえ、私が手伝えることがそんなに多くないので。それに…

セリーナ:精霊さんはいつも私のことを気遣ってくれて、

セリーナ:ご飯やお風呂の時は、わざわざ私精霊界に戻ると配慮して……本当に嬉しいです。

セリーナ:その気持ちにお礼がしたくて、ケーキを作りました。よかったら召し上がってください。


「いいえ、セリーナは沢山助かりましたですよ。前にも話した通り、あなたがシルヴィアさんたちと仲良しすることで、シルヴィアさんは厳しいレベル上げの作業を耐えられると思う。それに救出作戦の噂を流し、マティルダ様を悪者に定着されてしなくて済む。これはすごく大事なのです。もし、マティルダ様が悪者のイメージに世間に定着したら、例え王様に証拠を出しても、すぐに動くのも難しくなるよ。」


セリーナ:いえ、違うんです。


タピオカくんは何かを察したように口を挟む。


『あ!そういうことね。ありがとう、セリーナ。でもどうしてケーキなの?』


セリーナ:先ほどレオンさんに相談して、二人にお礼で何がいいと相談して…。

セリーナ:そうしたら、レオンさんは相手は女性なら、ケーキを奢ればいいって、

セリーナ:確かに、精霊さんは私が作ったケーキを食べたことないですから。だから…


なるほど、タピオカくんが察したように、俺も何となくわかった。


セリーナは多分俺が今日、魔剣に刺されたことと、凹んだタピオカを励ましたい。だからケーキを作ったんだね。


「そうですか、ありがとうございます、セリーナ。」


俺は冷蔵庫で”セリーナ特製のオリジナルケーキ”が2つを発見し、それを取り出し、タピオカくんと一緒に食べ始める。


「美味しいですね。……セリーナ、今日刺されたことは気にしないでください。先ほどタピオカくんに隅々まで見させてしまいましたわ。ホントに大丈夫です。」

『ええ、心配しないでセリーナ。精霊くんと私も大丈夫ですから。それにこのケーキ、ホントに美味しいですわね。食べると元気になるよ。』


セリーナ:よかった……

セリーナ:ふぁ~ごめんなさい、気が抜いたら眠気が、私も先に寝ますね、おやすみなさい。


「はい、おやすみなさい。」

『おやすみ、セリーナ。』


どうやら彼女はすぐに眠ったらしいので、タピオカくんは横で俺に話しかける。


『セリーナって、ホントに良い子でしたね。』

「そうですね、彼女を助けてホントに正解でした。」

『よし、ようやく聖女の件が終わり、再び塔に行けるよね。』

「ええ、明日は試しに50階層まで挑戦してみましょうか。」


その晩、俺たちは早めにログアウトして、ビデオ通話したまま、覇者の塔の41~50階層の攻略動画を見て、予習した。



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翌日、朝早くログインする。


アリス姿の俺、フードの中に隠したタピオカくん、ローブで姿を隠したシルヴィアとマティルダ様。全員ロドリック侯爵邸に来て、王様との面会を行う。


応接室で、王様、迷宮都市の支配人の侯爵様がソファーに座り、第一騎士団長アルベルトは王様の後ろに控えて、面会が始まる。


まずシルヴィアはなぜ自分がまだ生きているかを説明。二年前に誰かに未覚醒の聖女の力を封印され、先日セルディスの策によってニセ騎士たちに裁きの塔に連れていかれ捨てられたところ、アリスに発見され、救われたと簡単に説明する。


あとはシルヴィアがあのニセ騎士たちの口から、大司教がマティルダ様を暗殺するつもりだった情報を手に入れたため、彼女はアリスにお願いしてマティルダ様を救出したのように話す。


まぁ、とにかく、二人を助けられたことは謎の冒険者アリスに押し付けるだけでいい。どうせ不死鳥の紋章を手に入れたら、アリスの出番はもうほぼないからね。


そして前の聖杖を壊れることができるものがあれば、それは邪竜の魔剣しかないと王様たちに軽く誘導。これでシルヴィアたちの聖杖壊した罪をそのまま大司教たちに返す。


今持っている新しい聖杖と聖衣のことはアリスが与えたと言わずに、女神様の天使様が与えてくれたと嘘と真実を挟んでいい感じに説明する。


聖職者は嘘を言っていいのかとツッコミたいが、昨晩話し合った時、マティルダ様は普通に「嘘にも優しい嘘にもある、女神様はきっと我々のことを許しますでしょう。」と誤魔化された。


ここで、まさか王様たちはシルヴィアが身につけた聖衣のことを知らなかったみたい。どうやら聖衣は聖王国の書物しか記載していないみたい。ではシルヴィアは2つの聖遺物を持っているということで、聖王国も彼女のことを本物の聖女と認めないはずがないなぁ。


当然新しい聖杖と聖衣を奪えても意味がない、シルヴィアしか使えないと王様たちに説明をした。軽く王宮魔法使いたちに聖杖を使ってもらったが、魔法が発動できず、杖から小さい電撃のようなものが出て持ち主を攻撃した。


少し雑談を挟み、なぜゲームでは王子が怪我を負ったが、今では王様が負ったに変わったか。その原因は単純に今の王子はまだ学園から卒業していない。このイベントはどれくらい前倒れしたかわからないが、ホントに俺たちが迷宮都市にいることは運が良かった……いや、あの緊急クエストをくれた巫女さんだから、きっと俺たちを迷宮都市にいるように誘導したのかもしれない。


その後、王様と侯爵様は当然のようにアリスの正体を知りたがった。


するとシルヴィアは、こちらが事前に打ち合わせていた通り、「アリスは人間ではなく、精霊なのです。今は天使様から別の重要な任務を授かっているため、ここで詳しい正体をお話しすることはできません」と正直に答えた。


アリスが「謎の精霊」であると明かした途端、先ほどまでの話にさらに説得力が増した。王様と侯爵様は少し困ったような顔をしたが、予想通り、天使様の任務を受けているという設定に納得したようで、それ以上アリスの正体を深く追求してくることはなかった。



最後はマティルダ様がまとめた現大司教は「奈落の七印」の一員と書かれた書類、聖女を嵌めた証拠などを王様に渡す。その証拠を見た王様と侯爵様は当然怒る。すぐに王命を書き、見たことのない魔法の鳥でそれを王都に送った。


昨日の闘技場で聖女が現れたことは、もう隣の王都まで届いたでしょう。計画に失敗した大司教が逃げる前に、第三騎士団全員を大司教確保に命令する。大司教を確保したあと、シルヴィアと一緒に聖王国に送って裁判するらしい。


王命を出したあと、王様は責任を持って、命の恩人のシルヴィアを何があっても絶対守ると俺たちと約束した。うん、ミニマップを見て、王様と侯爵様も青い点だから、すなわち味方。その約束は嘘ではないと思う。


ゲーム内の王様もいい奴らしいから、信じてもいいと思う。当然のように、王様たちはアリスに裁きの塔の中身について尋ねる。話す気はないので、適当に天使様からの任務に関わったので、今は話すべきではないと言ったら、話は終わる。


その流れで、今度は侯爵様は息子がこの前にアリスに無礼をしたことをお詫びさせる。前に話した通り、アリスはこのまま自由に塔を入っていいよと話していた。


今度は俺から、わざと塔の話題を逸らして、もし今度何かあったら冒険者のダリオンに任せてといいと話す。一応ダリオンの方が主人公だからね、このあとの展開は元々の主人公の彼に任せるべき。なぜただの冒険者のダリオンに任せていいのかと王様たちは困惑するが、ここで万能のセリフ「天使様から彼はこの世界の未来を担う者と話しましたから。」と話せば、王様たちはすぐに納得した。……うん…まぁ、頑張れ、ダリオンくん。


このあとはお楽しみのご褒美の時間だ。シルヴィアのご褒美について、大司教がまだ捕まっていないため、そして聖女の身分もまだ聖王国が承認していないので、彼女の褒美はお預け。


だから今回はアリスのご褒美だけにする。セリーナになにかいいと聞いたら、全く迷いもなく「お金」と言ってくれた。うん……セリーナ、長年貧乏生活の反動で、お金が大好きになったからな。


王様にお礼はお金でいいと話したら、勲章とお礼の200万Gを贈られると話した。それに、自ら友好の証として、この国の紋章が付いたカード1枚を渡される。めんどくさい貴族が関わったらこのカードを見せれば万事解決か?……ダメそう、ただの汎用通行証だけらしい。


ちなみに勲章とお金は、いつ貰えるかも連絡待ち……ですよね。大きい組織ほど仕事の効率が遅いのは、どこの世界も同じだな。


一応「精霊」という設定なので、連絡方法を残したくないし、ご褒美のお金は冒険者ギルドに預けてもらうようお願いしておいた。勲章は……まぁ、縁があれば貰っておくか。



こうして、王様との面会は終わった。


シルヴィアたちは正式に王様の庇護に入り、後日一緒に王都へ戻ることになった。そして最後に、シルヴィアは涙をぐっと堪えながら私に強く抱きついてきた。


「……ありがとうございます。アリス……本当に、ありがとう。」

「元気でね。また会いましょう。」

「……はい。」


シルヴィアは名残惜しそうに体を離し、涙を堪えるように微笑んだ。


ここでお別れだ。




まぁ、ゲーム内ではシルヴィアは聖王国ではなく、この国エルセリス王国王都の大聖堂内で住んでいるので。会いたい時は王都に転送すればいい。


応接室を出た時、廊下ですごく緊張した面持ちのダリオンとレオンを見かけた。どうやらあとは彼らのご褒美の番らしい。


貴族の屋敷の中で軽く挨拶などできる雰囲気ではなさそうだったので、俺たちは軽く頷き合うだけで、そのまま侯爵邸を後にした。


あ、そうそう、彼らに渡されたSRの剣は別に回収しなくて良いよ、ボス素材が多すぎて、欲しいならすぐに作れる。それにダリオンは一応主人公、レオンはセリーナの友人。二人とも死なせたくない。



まだ昼間だし、予定通り、覇者の塔の50階層まで挑戦しに行くか。


「これで、聖女編は終わりました。まだ昼前ですから、覇者の塔の50階層まで挑戦しに行きますか?」


タピオカくんはすぐにツッコミした。


『聖女編を言うな!もちろん行きますわよ、昨晩は沢山勉強しましたから。』


セリーナ:大丈夫ですか?41階層から急にすごく強いではないですか?

サクラリア:大丈夫ですよ。41階層でもレベルは51だけです。セリーナはもうレベル60超えですよ。


「そうです、心配しないでいいわ。変な方法で勝たなくても、正攻法でも簡単に倒せますよ。」

『そうそう、私も付いているですから、2対1で余裕に勝てますよ。』


セリーナ:そう、そうよね。では覇者の塔まで行きましょうか。

サクラリア:おう~!


「おう!」

『おう~!』



俺たちはそのまま覇者の塔方向に向かった。

これで聖女編は終わった。闘技場での戦いは何回も書き直した。こんなに長くなったとは自分も思わなかったよ。(汗)


そろそろこの物語も終わりに向かいます。

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