はじめましてとお久しぶり
お久しぶりです、宜しくお願いします
「姉さんお帰りなさい、会いたかった!」
そうやってメリエード伯爵邸の正門からエリティが可愛い笑顔で迎えに来る、
「ただいま、」
「リチェルも久しぶり、それとおかえりなさい!
「もったいないお言葉、誠にありがとうございます。」
はあ、やはりというのか私の実の兄エルドア・メリエードの姿はいない。
「ああ、あの男ならケレンドル公爵令嬢と一緒に観光に行ったよ、婚約者同士3人だけどね。」
「あ、うん。」
私達兄弟はいつからこうなったのでしょう、
ほんと、一緒に笑いあったあの頃が今では嘘みたいに感じますわ...........
「まあ、エモリア、」
お母様、
「よく帰って来ましたわね、」
「ええ、お久しぶりでございます。」
「そうね、それとリチェル、旦那様が話があるから第二書庫で待っていてと。」
「かしこまりました、
では、お嬢様、エリボア坊ちゃま、お先に失礼いたします。」
「まあ、では私は先に入りますわ、エモリア、エリボア、また後で」
「ええ、」
「そうですね、そうだ姉さん立ち話も何だし僕たちも中へ入ろう。」
あ、この顔はなにか話したいのですね。
「ええ、そうですわね、」
この近くに他の貴族さんたちが住んでますからきっと大切は事なのでしょう。
久しぶりに歩く実家の廊下はレントルス公爵邸短いが精神的に疲れてるせいか今じゃとても長く感じる。
思えば今日の朝は悪役令嬢らしくなく頭が真っ白になりかけてましたわ。
ええ、まるで全身の血流が逆方向に流れたかのように体の熱が引いていき、でも私は目の前の人達になんの違和感を感じさせないと必死にポーカーフェイスをしながら状況を整理しようとしていた。
いや、しなくてもこれがどういう事なのか理解できた、
理解できるからこそ全身が恐怖に襲われ、今思い出してもブルッと来る。
そう、私は昨日あの美少年と裏山に行く約束をした。
そしてそれが噴火して、あの美少年さんが火事に巻き込まれた。
実際火事に巻き込まれたのか彼を消すためにわざと火をつけたのかわからない、でも言えることは唯一つ、
もし他の人に私の美少年さんとの約束がバレたら私に一番でかい容疑がかけられて、最終的にあの性悪女たちに冤罪でもなんでも被され、良くては貴族会から追放、悪くては生々しい生き地獄を見せられる。
幸い今日はリチェルが帰ってきたため私は実家へ帰りリチェルとじっくりお喋りしたいと願い、ペドルア達も少し戸惑ったが裏山の件がある為渋々と頭を縦に振った。
「.......姉さん、
昨日お父様から聞いたんだけどレントルス公爵令息から結婚の約束を抵抗したのにも関わらず権力で物を言い、強引にもぎ取られたって本当?」
あ、ううっ
「ええっと、ですがレントルス公爵令息から考える時間をもらいましたし、」
認めたくありませんがあの安物王子より愛されてる感がありますし、
「でも普通先に婚約書類を国に提出し、最低でも半年間婚約者になり終えてから結婚嘆願書を国に出すでしょう、」
まあ、たしかにそれはドン引きしましたけど.....
「.....そ、それより、お父様とお母様はお元気で?」
今はこの話をしたくない、
「うん、数日前領地から帰ってきて、
でも姉さんがまさかレントルス公爵邸に数日間住んでたとはね.......」
え、
「どうしてそれを?」
私は設定上エーナの家から帰ってきているはずなんだけど、
「はあ、あの公爵令息のお母さんが王妃様の生誕を祝うパーティーで姉さんが自分の家に住んでることとケレンドル公爵令嬢が婚約する前にとっくに婚約していたことを大々的に発表したらしいよ。」
「王妃様の生誕パーティー?」
翔さんの資料によると確かそれはずっと主人公を認めなかった王妃様が初めて主人公を認めて、それで王妃様が安物王子の逆ハーメンバー入を黙認するイベントだった.......
.......んん?!
「エリティ、さっき、なんだって?」
「だから、この国の貴族ほぼ全員が姉さんがレントルス公爵邸に未来の女主人として住んでいるのを知ってるよ。」
「。。。。。。。。。。。。。」
や、やられた!!!!!
ええ、そうですわ、そうでしたわ!
確かに貴族のご令嬢が殿方の家に何日も泊まるなんて普通にしてはこの二人になにかあるのかと疑われます、
ですが公爵夫人はどうして私のことをあのクソゲーでの、それもレオールが逆ハールートに入るのに欠かせないこのイベントでわざわざ言い出すのでしょう?
偶然?もしそうだったらどうしてそんな大きなパーティーで言い出すの?
自分で言うのも何ですけど、私みたいな貴族会からいつ追放されてもおかしくない悪い噂に付きまとわれてる令嬢が自分の大事な息子の名誉を傷つけてもいいですの?
「......さん、姉さん、」
「ええ、何でしょう。」
「着いたよ、じゃあ僕は先に部屋に戻ってるから客人が帰ったらまだお話しよう。」
「ん、客人?」
「はあ、やっぱり聞いてなかったんだ、もう、自分で入れば分るよ。
じゃあ、また後でね。」
「ああ、はい、」
客人?
エーナかミミかな?
“コンコン”
「失礼致します、エモリア・メリエードですわ。」
「はい、どうぞお入りください。」
お母様の声だ、それじゃあやはり客人は女性ですわね。
中へ入るとそこにはお母様がなんやら二人の見知らぬ女性二人と談笑していた。
いや、談笑すると言っても娘の私からするとお母様の目は全然笑ってなくむしろ怒り出す寸前だと見える。
そして肝心のお客様たちの一人は太陽のように眩しいゴールドの髪をアップしながらワインレッドのV字ドレスに真っ赤な口紅を塗り、一見前世で言うセクシー番長さんみたいな格好をしてますがその目は私を探るように細めてる。
「まあ、あなたがエモリア令嬢?」
言い出したのはもう一人の客人の方で、その髪は隣のセクシー番長さんと同じ眩しいゴールドだが彼女は小学生並みの顔立ちとサイズで大きくてアクアブルーのお目々が保護欲をます。それだけじゃない、彼女はピンク色のリボンを頭につけながらピンクの生地と白いレースのフリフリドレスを着て両手でオレンジジュースを飲んで、私と目が合った時ふわっと溢れる笑みは私を固まらせる。
か、かわいい......
今はそうとしか思えない。
だが可愛いからってお客様の前での無礼は許されない。
「お初にお目にかかります、メリエード伯爵家長女エモリア・メリエードと申します。」
私は二人の階級を知らない為なるべく失礼がないようなお辞儀をした。
「「きゃーーーーーーーー!!!!!可愛い~~~~~!!!!」」
え?
「あ、あの、」
気付いたらお二人は私を抱きしめ、私は何が起こったのかわからないままお母様に助けを求めようとしたがお母様は何事もなかったかの如くマカロンを口に運んでいた。
「まあごめんなさい、エモリアちゃんが必死に挨拶してるのを見ていたらつい抱きしめたくなって。」
「もう、お母様ったら、でもその気持ちわかりますわ。」
あ、うう、なにこれ、
それに今セクシー番長さんあの可愛いロリータになんて?
そして私の心の声を聞いたのかあのピンクのフリフリを着たロリータは私にニコっと微笑みかけた。
ああかわいい、お人形さんみたい、
ほんと、小さい頃は姉妹が欲しかったものですわ、いつかエモリアお姉さまって読んでもらえないでしょうか?
「もう、エモリアちゃんたら緊張しないで、もうすぐ家族になるんだから私のことをキティーママと呼んで、」
んん?
家族?
まさかお父様が浮気!?
なんですって!私が少しだけ家を留守にしてる間家庭が崩壊する危機が迫ってきたなんて!!
「もう、お母様ったらずるいですわ!
あ、私はペドルアの姉、ソフィーナ・レントルス、私のことはソフィーお姉さまと呼んでね。」
え、レントルス、ペドルアの姉、
まさか、
「エモリア、こちらケイト・レントルス公爵夫人と長女のソフィーナ・レントルス公爵令嬢。」
「あ、」
ああああああっ、ええっ?
ペドルアのお母さん、お姉さん?
「もう、エモリアちゃん早く、キティーママって!」
「ゴメンねこんなに押しが強くて、でも良かったらソフィーお姉さまって聞きたいな。」
「。。。。。。。。。。。」
「。。。。。。。。。。。」
「。。。。。。。。。。。」
「......キティーママ、ソフィーお姉さま、」
「きゃーーー!!うんうん、そうですわ、キティーママですわ!」
「うううううう、もう、次は一緒にショッピングに行きましょう!」
「。。。。。。。。。。。。」
お母様、これって何でしょうか?
この愛らしいお人形さんみたいなロリータがこのセクシー番長とペドルアを生んだのでしょうか?
え、どうやって?
それにこれって二人は私のことを気に入ってくれたのでしょうか?
ですが私の記憶が正しければ私達はここで初めて会うのですが......
......あ、目が逸らされた。
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あれから本当に大変だった、
ほんと、キティーママが結婚式はどうすると色んな所のパーフレットを持っきてそれぞれ会場の良さを語られるし、そしてソフィーお姉さまは「焦らないでいいのよ」と言いながら自分の弟の良いところを私に洗脳させるみたいに言ってくるし。
ようやくお二人が帰ってきたと思えばエリティが拗ねて断食すると言い出すし、彼を説得するよう鍵がかかった彼の部屋の外で何時間立っていたか......
“コンコン”
「エモリアお嬢様、入ってもよろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ」
“キー”
そうでした、今日お仕事が終わったらリチェルに私の部屋に来るよう言ってありました。
「失礼致します。」
月の灯が雲に隠れ、吹いてくる風には冷たさを感じる。
ああ、もうこんな季節になるのか。
あれからもう数ヶ月、最初は性悪女を倒し、悪役令嬢としてのバッドエンドを回避するべく、リチェルを奪還するべく戦ってきた。
でも今はどうでしょう、
私は先程枕元に隠してた写真と資料を思い出し、大きな息を吸い覚悟をする。
「リチェル、大丈夫だった?この数ヶ月間なにかされなかった?」
「いいえ、お嬢様、私は平気ですわ。
ですがお嬢様は大丈夫でしょうか?なにかレントルス公爵令息に求婚されたとか。」
「いいの、それは今、」
「お嬢様......
......申し訳ございません、ご無礼を承知してお聞きしたいのですが、お嬢様は私になにか聞きたいのでしょうか?」
「ええ、」
さすが、でもやはり彼女は8年間私と一緒に時を過ごしたリチェルだわ。
「リチェル、あなたは一体誰なの?」
「誰?とは、私はリチェル、ファミリーネームはないお嬢様の専属メイド「違う、」」
「お嬢様?」
私はカッとなり枕元に隠してた写真を取り出し、リチェルに差し出した。
その写真に写ってる彼女はリチェルにとても似て、メイド姿のリチェルを見ていたら思いつかない程、いいえ、最低でも私が伯爵令嬢としてきている物よりも遥かにいいドレスと装飾品を身に着け、高い展望台みたいなところで下にいる多くの人たちが歓声を上げているみたいだった。
そして、私が一番驚いたのは写真の裏に書かれてた一行の文字、
『愛する娘、リチェルカ・ヴィオレッタ・ソナチェ10歳、王族披露式』
「。。。。。。。。。。。」
「もう一回聞くわ、リチェル、あなたは一体誰なの?」
誤字、脱字及び気になる点などありましたらお気軽に感想欄や活動報告のコメント欄に書いてくれたら嬉しいです。(待っています~~)




