く、くる
宜しくお願いします
倒れるほど熱い日差しは人々の真上に登り、汗ばんでいる肌はドレスの一部の色を変え、疲労が顔に浮かび上がる。
「ですが私は今どうしてもペドルア・レントルス公爵令息に会わなくてはいけないのです!」
そんな暑い日差しの中、レントルス公爵邸の裏口にてふたりの少女が門番と口論になっている。
あれ?
気のせいかな、なんかこのシチュエーションさっきもあったようななかったような。
「そうですわ、長く居ません、ただ数分だけお時間を頂けたら!」
いや、でもその前にこの声は......
「なんの騒ぎですの?」
「。。。。。。。。。」
「......まあ、これはこれはケレンドル公爵令嬢じゃないですの、ごきげんよう。」
「まあ、どこかのネズミがこのレントルス公爵邸潜り込んだ挙句使用人たちに見つかったと思いましたらまさかセナルデン侯爵令嬢とミミ・ベネザル男爵令嬢がお出ましていたとは......」
「ま、まあ、そうですの、うふふふふふ」
は!?
“カチャ”
私の友達を、仲間をなんて?!
一方、
さっきまで私の肌の済まで触り、板挟みにしていた美少年二人組は未練タラタラの目で私を見ながら自分の相棒を自分の強い精神で引っ込ませている。
「はあ、これは僕達が行かないと行けなさそうだな。」
「ええ、ですから少し待ってくださいね、エモリア嬢、僕たちは「私も行きます。」」
「え?」
「......何するつもりだ?」
「安心してください、私は逃げません、絶対に。
ですがせめて私に自分の大切な人ぐらい守らせてください。」
「で、ですが、」
目の前にいる
「お願いします、私はもう大事な人を失いたくないのです......」
そう、よく考えたら相手はあの性悪女なのですよ、ですからそんな一言や二言のイヤミで怒り自分のペースが乱されるのならどうやって悪役令嬢にとってのハッピーエンドを見つけるの?
ですがやはり心配ですわ、
いや、エーナは普段から冷静沈着で頭がいいからまだ安心できる。
でもミミの方はどうかな?
「ネズミ?フフ、そうですね、最終的に猫のせいで不幸になりますが。」
あ、あああああああ、
やはりそうなりますか。
確かにあの性悪女は私達の婚約者を奪い不幸にする泥棒猫だけど、でもそんなはっきり言わなくても......
ほんと、あの性悪女がこの言葉でどんな顔をしてるのか声を聞くだけで想像できます。
「フフフ...... ベネザル男爵令嬢は面白いですわね、」
ん、んん?
なんか性悪女の声がワントーン下がったような?
「ですがお二人様は知っています?
ネズミは猫に不幸にされるのではなく食べられるのです。
そう、ネズミがどれだけ喚いても、あがいても、最終的に猫の幸せのための食糧になるのですよ。」
“カチャ”
ふ、ふざけないで、
やってみなきゃ分からないですの!!
「な!何を「ベネザル男爵令嬢!」」
やめてエーナ、止めないでください!
「ですが私たちが声を上げないでどうするのですか?」
そうですわ、この性悪女に少しでも言い返さないと怒りに狂ってしまいそうですわ!
“カチャ!”
それに、ネズミを食べる?!
“カチャ!!”
不幸にするために貶めるの間違いじゃなくて??
まったくどれだけオブラートに包み込んでるのですか!?
“カチャ!!!”
ほんと、許せない、この性悪女絶対に許せないわ!!
「わかった、わかったからエモリア頼む、もうやめてくれ!!」
え?
気づいたら私の腕や手首から紅色の液体が流れていて、目の前にいるレオールとペドルアは慌てて私を縛っている鎖を解いてる。
あ、これは、
「......レオール様、先程はレントルス公爵令息、先程はレディーにあるまじき行いをして申し訳ございませんでした。」
はあ、少し熱くなりすぎました。
““チュッ””
「。。。。。。。。。。」
今、何が?
なんか私の両方のほっぺたに柔らかい感触が......
「これで終わりだと思うなよ、ただのお預けだ。」
いや、なんの?
「そうですね、ですが僕個人的にはエモリア嬢のいろんな表情が見えて嬉しいです。」
もうそんなへましませんから安心してください。
「ちょ、何よ!どうしてここを通さないの?」
ん?
このようなやり取りを聞いたの今日で何回目?
その前にこの声なんかさっきより近くないですか?
「あ、あの、この部屋で何かあったのでしょうか?」
え、エーナ??
「いいえ、なんでもございません。
ペドルア様は今公務室にて領地の経営に頭を悩ませてます、ですから各お嬢様がたには付近にあるサロンにてお待ちしてくださいと命じられています。」
この声は......ああ、あの美少女、ではなく顔が非常に中性的美少年さんだ。
「ですがこの部屋から先程金属の音や殿方の声が聞こえたのですが......」
え、エーナ、多分私は今初めてあなたの聡明さと冷静さを呪っているのでしょう。
御免、許して、
だって今の私は縛られている鎖が解けてもこの部屋にいる美少年二人組と同様外には見せられない格好ですもの!
「ま、まあセナルデン侯爵令嬢、あの伝説のレントルス公爵家直属暗部の人がおっしゃっているのですわ、一緒にサロンに行きましょう。」
「......そうだよセナルデン侯爵令嬢、ムカつくけどあいつが言ってることは正しい、しかも殿方の声と金属の音があったらなんて言うんだ?」
そうですわ、そうですわ、
では私は早くこのきづらいお洋服を着なくては、まあ、下着はもうグチャグチャでもう着れませんが。
「ダメですわ!あの、一目見るだけでいいのでこの部屋の中を見させてください、お願いします!!」
いや、いやいやいやいや
エーナお願い、やめて!!!!
「で、ですが......」
美少年さんも戸惑ってないで止めてください!
「ごめんなさい、失礼します。」
ドアノブが少しずつ回転し、冷え汗は私の背中で垂れている。
く、来る
どうしましょう、私のお洋服はまだ着れてない、しかも目の前にいる美少年二人組も......
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