そして私はすべてを失った...... ミミ視点
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宜しくお願いします
「はあ、ミミ・ベネザル伯爵令嬢、私はあなたと婚約がある限りあなたの完璧な婚約者になります。ですがせめて私に自分が本当に愛する女性と一緒にいられる自由と時間をください。」
正直に言おう、
当時の私はあの言葉で傷つき、そしてあのクソ女の不気味な笑顔に怒りに狂い、最終的にガルトラ様の前で泣き叫んでしまった。
でもな、ガルトラ様にどれだけ傷つけられても、あのクソ女を恨むことはできてもガルトラ様を嫌いに思えない。
ただ、心がナイフで刺されたかのように痛くて、痛くて痛くて、失神しそうで......
はあ、知っているよ、私は安い女だって。
でも私は頭では理解してるけど心が追いつかなくて、気がついたら私はガルトラ様家から追い出された。
「はあ、」
今でも偶に夢に出てくる、あのクソ女とガルトラ様があの部屋でイチャイチャしてるあの光景を。
はあ、思えば当時の私は若かった。
だが今の私はどうだろう?ガルトラ様をなんとも思わないと言い切れるのかな?
ま、一つだけ確かなのは当時の私はそんな悲しみを告げる友達も、家族もいなかった。
当時の実家、ベネザル伯爵家は数百年前からの由緒正しい家元だった。
だけど私の父と母は仲があまり良くないと同時に世間体をものすごく気にしているため現在家庭内別居しながらそれぞれ自分の部屋に愛人を匿っていた。
ちなみに年が離れた私のお姉様は私が物心がつく前にとある平民の息子と駆け落ちしたため、私は毎食ずっとメイドと執事に囲まれながら自分で食べている。
だから私にとってガルトラ様との結婚後の日々への憧れが暗闇の中の一筋の光明みたいだった。
「はあ、」
辺りを見回すとこの馬車停止場の中の馬車の数が多くなっていて、私の体は夜風に当たりながら少し震えてる。
ああ、もう、ドレス用のコートぐらい持ってきたら良かった、
「はあ、」
「これで何回目ですか?言いましたよね、ため息をすればするほど幸せが逃げていっちゃいますよって」
な、この声は、
「ベートリウス......」
「やあ、ミミお姉さん、あ・の・時・以来だね。」
ク、本当に吐き気が出そうだ。
言っておくがこのチャラそうな男の名はベートリウス・ベネザル、私の異母兄弟だ。
そもそもベートリウスはお母様とお父様にあまり好かれておらず、小さい頃はいつも私に甘えてきたかわいい子だった。
ま、住むところは離れているし外見は似てないが私は彼を前世の弟として可愛がり、彼も前世の弟みたいに反抗的じゃなかったけど私は彼を弟として愛していた。
だけど年齢が重なるたびにベートリウスは私に離れていき、気がついたら私は独りぼっちになっていた。
自分で思うんだけど私は別にベートリウスと何かあったってわけでもなくて、いや、むしろ小さい頃は仲が良かったほうだ。
だがあの時、“セイントーラス学院”でのクラスメート達に囲まれながら罵倒され、物で殴られて、床に落とされて起きられなかった時、私は見てしまったのだ、
そう、あのクソ女の前にガルトラ様とベートリウスが守ってるかのように立ち構え、同時にに彼らはまるで虫けらを見るように私を見ていた。
「屈辱」、「皮肉」、「無様」
正直どうしてこんな集団暴行が始まったのか今でもわからない、でも今でも覚えてるのはあのクソ女共に見下されたとき、私の頭にはこの3つの単語しか浮かばなかったこと。
やがてクラスメート達は私を叩くのに疲れ去っていき、血まみれになった私のそばには誰もいなくなった。
あ、いや、それには語弊がある。
そう、クラスメート達が去っていった時、ベートリウスだけが私のそばに来て、やっと小さくため息ができた私にこう囁いた
「ミミお姉さん、ため息をすればするほど幸せが逃げていっちゃいますよ、ですからこれから何があっても笑顔でいてくださいね。
フ、そう、何があっても、ねえ。」
“ブルッ”
正直、鳥肌が立った。
まさか私の知らない間に婚約者ガルトラ様だけじゃなく弟みたいな存在ベートリウスまで知らない人になり、私を貶めるなんて......
「大丈夫、ミミお姉さん、ずっとここにいたよね、寒くない?」
眼の前にいる弟みたいな存在ベートリウスはあの時と同じく私を「ミミお姉さん」と呼んでいる。
でも何故か今の私は彼を色んな意味で恐れている。
思い返せばあの時、クラスメート達に殴られてから数日後、ベネザル一家は何故か貴族界からは追放されそうになった。
そして理由は私がセレナ・ケレンドル公爵令嬢を虐めたと“セイントーラス学院”の学生たちが証言したからだと言う。
「はあ、」
でもどうしてか分からないが最終的にあのクソ女が国王になにか言った“お陰で”ベネザル家は貴族界からは追放されることはなかったが、ベネザル家は男爵家へと落とされて同時に領地や一定の財産を返上することになり、あのクソ女の評判が右肩上がりになった。
そして私はというと家から追い出されることはなかったが実の親に正式に嫌われ、“セイントーラス学院”から正式に退学命令が渡された。
「ああ、ミミお姉さんまた「一つ聞いてもいい?」」
「......うんうん何かな?どんどん聞いて!」
「ねえ、あの時、どうして私がクラスメートたちの標的になったの?」
まあ、多分私が悪役令嬢だからでしょうけど。
「ううっとね、それはミミお姉さんが自分で仕出かしたことじゃない?だって僕のセレナを罵倒し、いじめたんでしょう?」
「はあ、」
今日はやけにため息するな、だが、
「わたしは虐めてない。」
「フフ、そうですね、セレナを虐めていた人たちは全員そう言ってます。」
は?ぶっ飛ばすぞテメエ!!
これでも半分ぐらい血がつながってるんだぞ、それなのに血が一滴もつながっていない見ず知らずだったどこかのクソ女を信じて私を信じないってか!!!
ああ、でも落ち着け、もし今ここでこいつになにかしたら最終的に損するのはこっちの方だ、だからここはお優しい姉さんとして、そう、そう......
「じゃ、じゃあもう一つ聞くけど、私はあんたに恨まれることしましたか?」
「どうしてそう聞くの?」
「だって私達、小さい頃はあんなに仲が良かったのに......」
「フフ、フフフ、フハハハハハハ!!!!」
う、そ、何?壊れた!!?
え、どうして、私なにか変な事言った!!???
“カチャ”
「ええっと、こちら悪役令嬢3号、現在ダンスホールにいます、そして最新情報によりますとケレンドル公爵令嬢にはもう9人の恋人がいる模様です。
悪役令嬢1号、今から噂の出処や事実確認をしてもよろしいでしょうか??OVER」
「。。。。。。。。。」
いや、セナルデン侯爵令嬢、情報はありがたいんだが、タイミングが......
「フフフ、“仲がいい”、そうですね、ミミお姉さんにとってはそうでしたけど、僕にとっては災厄でした。」
「え?」
いつの間にかベートリウスは私の隣に来て、気づいたら彼は私のイヤリング型の通信機に手を添えた。
“カチャ”
「そうですね、小さい頃それはそれは“仲がよかった”ミミお姉さんに教えてあげましょう。
あなたのお友達、ああ、確かエモリア・メリエード伯爵令嬢でしたっけ、彼女は本当に幸せものだ、だってあのレオール第三王子から10年間愛されていたんですもの、」
は、どういうことだ、だってエモリアから聞く話だと......
「ああ、でもあの伯爵令嬢は自分が愛されてないと思いこんでるんだっけ、プフフ、本当に受ける。」
「それはどういう「ああ、あともう一つ、ミミお姉さんとセナルデン侯爵令嬢、早く急いだほうがいいと思いますよ、だって今、レオール様はエモリア・メリエード伯爵令嬢と一緒にいるんですもの。」」
な、もしそうだったら、これは、
“カチャ”
「エーナ、どうしたの、顔色、悪いよ。」
「......嘘でしょう、だってレオールがピンク色のマカロンじゃないと何度も確認して......」
ピンク色のマカロン??嘘、だろう、
だってエモリアと話てた時はちゃんと防音効果が効いてる部屋で話していて、
それじゃあどうしてエーナ、ピンク色のマカロンのお話を......
「フフ、ミミお姉さん、早く行かなくてもよろしいのですか?
メリエード伯爵令嬢がどうなっても知りませんよ。」
「ち、」
そんなの言わなくてもわかってるよ、でも、
「ベートリウス、この“借り”はいつか絶対に返す。」
「フフ、あと、探すならローズガーデン付近から探したほうがいいと思うよ。」
ち、本当は信じたくないが......だが今回は仕方ないからな、
「それはそれでご丁寧に、では、ごきげんよう」
「ごきげんよう」
そして私はムカつく彼から離れ、猛ダッシュでローズガーデンへと向かった......
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