おっさん(満二歳)の初めての洞窟探検 6 (完結)
光に目が慣れていくと、次第にそこがどんなところであるかが見えてきた。
ぱしぱしと目を瞬かせていると、アルフの後ろにいたレクタがアルフの前に躍り出て両手を広げてにかっと笑った。
「勘違いのおわびの、おまけっちゃなんだけどさ、思い出にするならこういうのがねぇとな!」
はっきりとした視界を取り戻したアルフが見たものは、天井に小さく無数に空いた穴から光が細くまるで雨のように降り注ぎ、ドーム状になった大きな空間の壁という壁に形成された大小の色とりどりのクリスタルを輝かせているという美しい光景だった。
中央には青く澄んだ地底湖があり、様々な色の水晶から反射した光を受けてホログラムのように美しくきらめいている。
天井を仰ぐと、そこに空いた穴はどうやら木の根が絡み合った地面から土だけが崩れ落ちできたもののようでランダムに組み合わさった色々な形の光がまた美しい。
「こ、これは……」
言葉を失うアルフに、レクタは続けた。
「どうだ驚いたろ。これが水晶の森の本当の名前の由来だ。水晶には浄化作用があって体調を崩した魔物が食べにくる、だから森にいる魔物の腑にはたまに水晶がはいってるのさ。これを知ってるのは地元の奴らだけなんだぜ?普通じゃわからないルートでしかここには来れないんだ」
しかし、アルフにはレクタの声は半分も届いていなかった。
現実離れした美しい光景にアルフは心奪われ、さすがにタイムリミットだとレクタに肩を叩かれる時までその目に焼き付けていた。
きっと、この光景をアルフは一生忘れないだろう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
また短い話ではございますがこれにて第二話終了でございます。
濃いキャラを出した割には活躍していませんが、もし今後ブクマや評価がいただけるようでしたら喜びで続きを書くかもしれないのでその時にまた出せたらなぁとぼんやり考えております。
何となく自分で描きたいものを文章に起こすことを思い出してきたので別のところでしばらく放置中のやつを完結させたいなぁと思います。