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おっさん(満二歳)の初めての洞窟探検 5

「アルフさん!!!」


 アルフは諦めず必死に足をばたつかせていた、それが功を奏した。

 アルフの足は間一髪でピットフォールスパイダーのあごをよけ、さらに閉じられたあごの先に当たったのだ。固いあごは十分な足場となりアルフの一蹴りで半ば穴に落ちかけていたレクタの体ごと穴の外へ飛び出すことを可能にしたのだ。


「はぁ、はぁ~」

「た、助かった……やっぱりある程度落ち着いてないと魔法って使えないんだなぁ」

「だな、鬼才の魔法師ならともかく俺ら一般人はある程度落ち着いて集中しねぇと……」


 飛び出した勢いのまま穴から距離をとった二人は魔物がいないのを確認して岩陰に座り込んだ。

 体温の上がった二人の息は洞窟の空気に冷やされて白く色づいていた。

 壁に生える苔のやわらかで幻想的な光に照らされて顔を見合わせた二人は、危機を乗り越え途切れた緊張からか、しばし力の抜けた笑いを漏らしていた。

 その後はレクタに見守られながら洞窟特有の魔物と戦ったり、洞窟でのマッピングの仕方を教わったりしながら奥へと進んでいった。


「だいぶん水晶もとれたし、そろそろ戻るかい?」

「いや、もう少しいこうぜまだ時間的に余裕があるし……安心しろよ、ピットフォールスパイダーは縄張りが広いからこの規模の洞窟にもう一匹はいないからさ、常識的に考えて」


 じゃらっと音がする程度に膨らんだ麻袋をレクタに差し向けて見せるアルフに、レクタは首を振ってそう言った。

 ピットフォールスパイダーの話を持ち出すあたり気にしているんだろうなぁ、とアルフは思ったが、それを口にすることなく、レクタの提案に乗ることにし、また道を進んで行く。


「あの魔物はどうやって倒すんだ?」

「ピットフォールスパイダーなぁ、大概火の魔法で穴の外から蒸し焼きだな」

「あ~なるほどやっぱり虫系は火なのかい?」


 アルフはギルドで学んだとはいえすべての魔物を頭に入れたわけではない。現にピットフォールスパイダーの事をアルフは知らなかった。街道を行くと思い込んでいるルーメンは基本的に街道沿いにいる魔物を中心に教えてくれたという背景があるがアルフは知る由もなかった。

 そうやって魔物の知識をレクタから聞きながら、また出会った何匹かの魔物を倒したところで、アルフは洞窟の奥の方から光があふれているのを見つけた。


「おや、なぁレクタ、この洞窟はトンネル状になっているのかい?」


 振り返ったアルフをレクタはそっとその光の方へ押していく。

 戸惑いつつも押されるまま光の方へと歩いていくと、薄暗い洞窟から光の中へ出たことで、アルフの目の前は一瞬真っ白に塗りつぶされた。

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