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おっさん(満二歳)の初めての洞窟探検 1

 セクンドゥスでの初めての夜をレクタとの問答で過ごしたアルフは少々寝不足だったが、どこかやり切った気持ちでレクタとともにギルドに訪れていた。

 というのも、レクタとパーティを組んでクエストを受ける為だ。


「わかった、じゃあ一緒にクエストを受けてくれないかな」


 とはあまりにも決着のつかない話し合いに苦し紛れでアルフが言ったことだが、眠い頭を無理やり動かしたにしてはいい考えだとアルフは寝起きで自分を褒めていた。

 アルフは見た目おっさんだし、生まれて二年とちょっとで記憶喪失設定の新人冒険者だ。

 比較的安全な街道を行くぶんにはこの国を一周することは可能だろうし、おっさん(満二歳)のアルフにはその道中もとても新鮮で楽しいものになるだろう。

 でもレクタと一緒にクエストを受けることで決してアルフだけでは見れなかったものが見れる上に、比較的安全にそれを達成できる。

 アルフは初めからおっさんという自覚だけはあった。無謀な若者のようにずんずんと危険に飛び込めるような性質を持っていなかったのである。ある意味レクタの詫びをするという申し出はアルフにとってとても幸運なことだったのだ。


「なぁアルフさん、クエストは俺が決めていいか?」

「いいけど、俺のレベルを考えて選んでくれると助かる」

「わかってるって無茶はさせねぇよ」


 レクタはアルフの言葉にうなずいて、壁に貼られたクエスト書(仕事の依頼書)を目を皿のようにして見始めた。


「アルフ様は何レベルなんですか!!!」

「うおわあ!」


 アルフがクエスト書を見るともなく見ているとウルズがまた真横から大きな声でそう聞いてきた。

 あれだけレクタに言われていても彼女には効果がないようだ。


「こらーーーーウルズ!あなたはまた!」


 また長いじゃれあいのような喧嘩が始まるのか?と思ったアルフだったが、レクタではなく今度はアーントに怒鳴られてカウンターの奥に引きずられていった。


「あいつ懲りねぇなぁ本当」


 クエスト書から目を離さないままレクタは半眼になってため息をついていた。


「彼女とは付き合い長いのかい?」

「ま、そうだな幼馴染って所」

「へ~いいね」


 ほんの好奇心でアルフが問うとなんのてらいもなくそう返ってきた。

 幼馴染か、俺にとっては……ミーミルちゃんとかルーメンさんとかあとエルに執事さんに、ってあの町でお世話になった人達みんなかなぁ?とそうアルフは思って旅立ってからまだほんの数日しかたっていない生まれた地を懐かしんだのだった。


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