おっさん(満二歳)と二番目の街セクンドゥス 2
「インセペットのお貴族様からの伝令の!あああ本当に申し訳ありませんうち首だけはどうか!」
謝罪を終えた女性、名前はアーントという彼女にアルフがエルの事を話した時のセリフである。
アルフは簡単に貴族の事を聞いてはいたが、この程度の事で打ち首をするような規則があるのだろうか。と少し怖くなったが、それならエルの執事さんは何百回も殺されている気がする。と思い頭からその怖い考えを消した。
とにもかくにも、アルフは必要な資金を工面してもらい宿の場所を聞いて応接室を出た。すると、いまだにレクタとウルズは言い合いを続けていた。
「あ~レクタ?」
「おうアルフさん護衛は雇えたか?手が空いてるやつがいねぇなら場所次第では俺が送ってってやるぜ?」
「いやその」
「ななななんて失礼な事をレクタ!この方はれっきとした冒険者ですよ!ちゃんとギルドに登録されています!謝んなさい!」
「へ?」
アルフを見送りに来ていたアーントはレクタの頭をバシリと叩いてそのまま強引に頭を下げさせたのだった。
「悪かった!本当に冒険者だったんだな」
「もういいって、頭を上げてくれよ。むしろこっちはお礼を言いたいんだ。実際君が叱ってくれなかったら悪くすると死んでいたかもしれないし、本当にありがとう。冒険者にあるまじきだよな……見るもの聞くもの新鮮で浮かれてたんだ」
ところ変わってアルフはレクタに連れられて彼が部屋を取っている宿にやってきた。
部屋に入り腰を落ち着かせるなりアルフに頭を下げたレクタにアルフは苦笑を浮かべて自分の不用心さを叱ってくれたことに感謝を述べた。
「でもあんたの言葉をちゃんと聞かなかったし常識的に考えて失礼極まりなかった!お詫びに何かさせてくれよ!」
「ええ?!」
それから少しの押し問答を繰り返したが、最終的にアルフが折れた。
若者怖い……とアルフが思うほどレクタの押しは激しかったからだ。アルフは若者どころかいまだ満二歳なのだが、相変わらず自称おっさんは意識に埋め込まれているらしい、レクタのパッションには勝てなかった。
「でも、何かと急に言われてもなぁ」
「金は!」
「直球だね?!でもそれは困ってないんだ」
「女!」
「う~ん(女ってそ、そういういことだよな。……俺ミーミルちゃんみてもルーメンさんみてもそういうのは思ったことないなぁまだ生まれて二年だからかな……)この年だしなぁ」
「じゃあ……」
そうしてアルフのセクンドゥスでの初めての夜はレクタからのお詫びを決めるために更けて行ったのだった。