おっさん(満二歳)と二番目の街セクンドゥス 1
この“ユーグ”という世界には九つの国があり、アルフが生まれたこの国は“ミズガル”といい、主に人間族が暮らしている。とはアルフがギルドで学んだことの一つだ。
「ここがセクンドゥスだ。乗り掛かった舟だしギルドまで案内すんぜアルフさん」
そういってレクタはアルフをギルドに引っ張っていった。
ここまで来てもまだ、アルフは農夫であるという誤解を解けずにいたが、もともとギルドにはいく予定だったので諦めて大人しくついていくことにした。
「ようこそ、セクンドゥスのギルドへ!ご用件をどうぞ!!」
「うおわあ!」
ギルドにつくやいなや、少女の大きな声がアルフの耳を占拠した。
耳を抑えながらレクタの方に後ずさったアルフに、ため息をつくレクタ。アルフの耳元で半ば叫ぶように御用聞きをした少女にレクタは指を突きつけた。
「減点だぞ、ウルズ。まず声掛けは目を合わせてからだろ常識的に考えて」
「んあああああ!いじわるレクタ!いじわるレクタ!やっとお仕事貰えて張り切ってた私の心をぎったぎたにしたあああああああ許すまじ許すまじ縁者末代までたたってくれるぅううううううう!」
「そこまでか?!」
思わず突っ込みを入れるアルフに、レクタは手を横に振った。
「相手にしない方がいいぜアルフさん。こいつろくに仕事もできねぇのにお情けでギルドにおいてもらってるバカだから」
「むきーーーーーーーー!」
両腕をぐるぐると回しながらレクタに飛んでいくウルズだったが、額に手を置かれているためその攻撃(?)は届いていなかった。
き、軌道を変えるとかすればいいのにな……
などとレクタとウルズのやり取りに置いてけぼりになったアルフはそんな感想をいだいた。アルフを作ったエルの事を言えないくらいにアルフもどこかずれていた。
そんなアルフを気の毒に思ったのか、カウンターから出てきた疲れた顔をした壮年期の女性に応接室に案内されたアルフはいきなりその女性に頭を下げられる。
「本当に、うちの者が粗相をいたしまして……申し訳ありませんっ!」
「え、いやいや大丈夫です、大丈夫ですよ本当!頭を上げてくださいっ」
二割増し以上に老け込んだ女性の全力の謝罪に、アルフはうろたえて大丈夫と繰り返すばかりだった。