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ミーミル

 ミーミルには両親がいた。

 ほとんど覚えていないのでもはや他人事だが、どうやら冒険者をしていた両親はミーミルを産み育てるために始まりの街インセペットに来たのだそうだ。

 ギルドのまとめ役から聞いた限りではとても人柄のいい人物だったが、ミーミルが物心つく前に両親は魔物に襲われ死んだのだそうだ。

 全てはミーミルが幼いころに罹った病気を治すためだったという。

 ミーミルが罹ったのは子供ならだれでも罹るようなありふれた病気だったが、長患いすると一気に重篤化する病気だった。

 運悪く、その年はその病気が流行してしまっており、薬が足りなかった。行商人か街に向かっているとは知らされていたが、ミーミルの体力がそれまでもちそうになかったのだ。

 弱い魔物が多いとされるインセペット近くの森にも薬の材料となる薬草は生えていることは知られていたが、それは森の奥深く、ボスと呼ばれる森の主の縄張りのなかだったのである。ボスは、インセペットに常駐している冒険者では手に余る強い魔物だった。

 それからはよくある展開で、ミーミルの両親は自らを省みず森に入り、何とか薬草を届けたものの傷が深く命を落としてしまったのだ。


「困ったときはお互い様だ、ギルド(うち)で面倒見てやる」


 両親の事はあまりよく覚えていないが、ミーミルはギルドのまとめ役のその言葉だけはよく覚えていた。

 そうして、ミーミルはギルドに世話になりながら冒険者としての力をつけていった。

 そのなかでミーミルは困っている人を出来る限り助けるようになっていった。ギルドのまとめ役の言葉が、今のミーミルを作っていた。


「さってと、今日もがんばろー!」


 そんなミーミルが記憶のない浮浪者のおっさんに出会って放っておけるわけがなかったのだ。

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