3.マジックコロシアム初日
「遂にやってきたぜ、マジックコロシアム!!
お前ら優勝したいかーーー!!!」
「「おおーーーーー!!!」」
今、このセント記念会場の熱気はかなり高まっている。
遂にマジックコロシアムが始まったのだ。
一年に一度の大イベント。
この学園で最も強いと呼ばれるセブンスナイツと呼ばれる役職もこの大会で決まる。
この大会で上位7名が今後一年のセブンスナイツとなるわけだ。
セブンスナイツとなると、国のあらゆる図書を閲覧する権利や、学費の無償化など
正直喉から手が出るほど欲しい特典がついてくる。
エリート中のエリート、選ばれた7人がこの大会で決まるわけだ。
600人の中からそれを決めるわけで、簡単には終わらない。
会場は30会場用意されているが、それでも2日間かけて行われる。
セブンスナイツは順位も決める必要があるから、ベスト8以降は総当りに近い形で戦うことになるしな。
俺は2日目までは勝ち進めないかもしれないけど、それでも1回戦は勝ってやる。
そう思ってる。
テディの奴は生意気だから、先輩としての意地はある。
あれだけ後輩に馬鹿にされたら、こっちにだってプライドがある。
だが、それだけじゃない。
俺は一応剣術大会優勝者だ。
俺が、魔法を使わずに魔法使いに勝つことで、他の魔法を使えない落ちこぼれたちの励みにもなるだろう。
魔法を使えることだけが全てじゃないんだと、そう俺が証明してやるんだ。
「さて、第12会場、1回戦!ルクス選手とテディ選手です!」
女性の実況者が俺の名前を呼んだ。
「ルクスがんばって!私は最後まで応援してるからね!」
シェリーが励ましてくれる。
「ルクスもテディも全力を尽くしなさい」
「あーもう、一回戦から生徒会同士とかついてないな!」
レイラ先輩やアルトは俺にもテディにも気を使って応援してくれるみたいだ。
「同じ1年だし、俺はテディを応援してやるよ。正直、テディの勝敗とかどうでもいいけど」
「俺はお前に賭けてるんだから絶対に負けるんじゃないぞ!」
「おい、お前ら全然俺のこと応援してねーだろ!」
ジンと生徒会長の励ましに、テディが冗談めかして怒る。
うわー、テディの奴余裕ありそうだな。
とか考えてると後ろから服を引っ張られる。
「先輩、魔法使えないけど勝てるとこ見せてください」
エマが俺に期待している。
そういえば、エマも俺と同じく魔法能力が高くないんだったな。
それで、魔法なしでも剣術が強い俺に懐いてくれてるのかな。
とにかく、女子二人が俺の勝ちに期待してるのは事実だ。
この勝負、絶対に勝ってみせる!
フィールドに立つと、その広さにビックリする
半径1キロメートルの円だからな。
今までの例でも場外で負けるという例はほとんどない。
逆に、これだけ逃げ回れるペースがあると考えた方がいいだろう。
「先輩、一瞬で終わらせるんで痛くないですよー」
テディが馬鹿にした笑みで俺を挑発してくる。
「調子に乗っていられるのも今のうちだ。」
「ヘイヘイ、楽しみにしてますよー」
俺は鋭い目つきで睨み返す。
だが、テディには軽く流されてしまった。
テディの態度にはかなりの余裕が見られる。
こいつ緊張してないのか!?
いや、確かにテディは緊張なんかしないタイプだが、それでもこの余裕っぷりはおかしい。
これだけ大きな大会の一回戦だ。セブンスナイツでも多少は緊張してもいいはずだ。
何か秘策があるのか?ただの馬鹿なのか?
もしくは、緊張を俺に悟られないため?
とにかく、状況を整理しよう。
大丈夫、テディについては研究済みだ。
あいつの能力名はストーンエッジ。
石や岩を空間から出し、物理攻撃をしてくる。
遠距離系の攻撃だから結構厄介だが、その石を避け切れれば俺にもチャンスはあるはずだ。
テディの魔力貯蔵値が100なのに対し、ストーンエッジの魔力消耗値は60だ。
粘れば魔力切れも狙えるか?
いや、流石に厳しいか。1時間以上決着が着かなければ戦う意志なしとみなされても仕方ない
とりあえず、接近戦に持ち込もう。
そうすれば、俺にもチャンスはあるだろう。
「さあー、それでは一回戦をはじめます!」
テディが相変わらず余裕の笑みで俺を見ている。
いや、挑発に乗るな、あれはポーズだ。
こっちがきちんと戦えば絶対に勝機はある。
「3!2!1!ファイト!」
試合が始まった。それと同時にテディが距離を取ってきた。
当然の反応だ。接近戦ならおれが有利だからな
テディが俺の頭上から岩を落としてくる。
テディのストーンエジッジの能力がそこまで高くないからなのか、岩自体はそこまで大きくはない。
岩が大きすぎると俺が避け切れなくて勝てる見込みはなかったが、この大きさならいける!
俺は上から次々に落ちてくる岩を、どんどん避けていく。
避けることに関しては魔法なんか使わなくても得意だからな。
どんどん必死に岩を落としてくるけど、今のとこ俺には掠りもしていない。
そして、テディの目をまっすぐ見つめ前進していく。
テディはそんな俺の様子を見て、ビビリながら下がっていく。
距離を取られ続ける限り、俺は防戦一方なわけだがそれはかまわないと思っている。
距離を取られれば、また詰めればいいのさ。
こうして、テディの岩を避けつつ、テディを目で威嚇しながら近づいていった。
そして、ついにテディを円の外のラインまで追い詰めた。
そう、これを待っていたのだ。
これでテディはこれ以上後ろに下がるわけにはいかない。
下がれば円から出てしまい反則負けだからだ。
ということは俺の攻撃を真正面から受けるしかない。
いくらテディに魔法が使えるからといい、接近戦に関してはど素人。
いつかレイラ先輩が言っていた通り、魔法がなければ何も出来ないのだ。
俺は剣術に関しては世界一の腕だ。
こいつをここまで追い詰めた時点で勝負は見えたのだ!
テディは必死な表情で上から岩を落としてくるが、華麗に避けてみせる。
魔法を使えないことを馬鹿にしやがって!
俺がここで魔法が使えなくっても、お前に勝てるって証明してやる!
「勝負あったな。」
「クソッ!!!」
自然と笑みがこぼれる。
テディが怯えた表情で逃げようとするが逃げ場はない。
怯えたテディを見るのは気持ちいいぜ!
「さっきの威勢はどこいった。」
挑発しつつ、テディに近づく。
もう、テディは俺の剣の攻撃範囲内にいる。
俺は勝利を確信した。
そして、剣を振り上げ、そして振り下ろそうとしたときだった。
「バーーーカ!」
テディがさっきの怯えた表情から一転、余裕の笑みを浮かべている。
どういうことだ!?
そう疑問に思ったときには、テディが後ろから飛ばしてきた大きな岩が俺に直撃し、俺は意識を失っていた。
こうして、俺のマジックコロシアムは幕を閉じた。




