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9/23

僕の中学校生活がループしているので抜け出したいと思います

2025/06/17改 一部加筆。

2025/06/19改 日付変更

「退部しました」


白紙のような心で提出した退部届のコピーが、机の引き出しに突っ込まれている。僕は布団を被りながら、天井も見えない暗闇の中で小さく呟いた。


「たぶん、今年の一年生で最初の退部だろうな……」


そう呟く声に、自嘲が混じっていた。入部していた同級生たちの顔が頭をよぎる。フルートの谷川愛美は、何かと気にかけてくれていた。宮坂千尋先輩も、あの後、ちゃんと声をかけてくれた。


「三枝のことは気にしないで。ストレスがたまってただけなの。和田くんが悪いわけじゃないよ!」


あの言葉は、確かに優しかった。


けれど——


「……あいつだけは、許せん」


低く、吐き出すように呟く。


「マジで……クソうざいんだよ……」


繰り返し、呟く。何度も、何度も、胸の奥に溜まったものを引きずり出すように。


気づけば時計の針は、午前12時をまわろうとしていた。静寂の中に自分の呼吸だけが響く。


「もう、いいや。全部、どうでもいい……」


その瞬間——


「っぐ……!?っ、い……った……!」


突如として、頭を刺すような激痛が走った。額の奥を鋭利な何かで貫かれたような、尋常ではない苦しみ。続いて、腹部をねじられるような激烈な痛みが襲う。


「っ……っ、あ……ぁ……!」


声にならない叫び。体が熱い。喉が焼ける。全身の感覚が遠のいていく。


そして次の瞬間——視界が歪み、ベッドから転がり落ちる感覚とともに、何かが途切れた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


朝。僕は、ひんやりとした空気に包まれながら、ゆっくりと目を覚ました。目を覚ました瞬間、和田陽介は、胸の奥に奇妙なざらつきを感じた。頭が少しだけ痛い。

しかし、カーテンの隙間から差し込む春の光が心地よい。


「……あれ?」


昨日のことを思い出そうとするが、記憶がどこか霞んでいる。けれど、胸の奥に奇妙なざらつきだけが残っていた。


窓から差し込む光。鳥のさえずり。時計の針は、午前6時45分を指していた。


「……まさか」


日付を確認する。


2024年4月9日


「……え? 昨日……いや、こないだまで6月だったよな……?」


混乱する頭で、周囲を見渡す。


机の上に一枚の大きな紙が目に入った。


『中学1年生で達成させたい目標』


そしてその下に、乱れた文字でこう書かれていた。


『目標を達成できなかったら、できるまで何度もやり直す』


「……なにこれ?」


その紙に書かれた目標の中に、ひときわ目立つ文字があった。


『部活を3年間続けること』


僕は固まった。呼吸が浅くなる。昨日、確かに「退部届」を出した。あれは夢じゃない。布団の中で泣きながら、何度も自分に言い聞かせたあの夜。体が痛くて、熱くて、……そうだ、最後に倒れたんだ。


「……また、戻ってきた?」


その可能性が脳裏に浮かんだとき、ゾッとするような寒気が背筋を走った。


「何考えてるの? とっとと準備しなさい!」


不意に、母の声が飛び込んできた。反射的に振り向くと、ドアの前で母が腕を組んでいた。


「え……?」


「“え?”じゃないの! 今日は入学式なんでしょ?早く制服着なさい!」


ぱたん、とドアが閉まる音。


僕は呆然としたまま、数秒間そこに立ち尽くしていた。


視線を落とすと、机の上には新品の学生カバン。中にはタブレットと、未開封の入学案内パンフレット。


「……ウソだろ……?」


何が起きているのか、まだ完全にはわからない。


でも、たったひとつだけ、はっきりしていることがあった。


自分はまた、“最初の日”に戻ってきた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


入学式が終わり、新しいクラスが発表され、1年1組の教室へ。担任は岩田。自己紹介の順番。すべてが“前と同じ”ように進んでいく。


隣の席はまた、栗林だった。


「よろしく!」


「……よろしく」


声を返しながら、僕の心はまだ冷めたままだった。


(やっぱり……戻ってる)


だが、ひとつ違うことがあった。


今回は、“戻ってきた”ことを、少しだけ覚えている。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


そしてまた、部活を見学し、入部し、日々を重ねていく。どこかで見たような光景、聞いたことがある言葉、先回りしたように頭の中に浮かぶ展開。


やがて、また6月のあの日がやってきた。

同じように部活をやめた。


その夜。ベッドの上で。


「っ、ぐ……また……来る……っ」


激しい頭痛とともに、視界が揺れた。


「次の……ループで……」


意識が遠のく中、陽介は心の奥で叫んだ。


「今度こそ、この……無限ループを……抜け出さなきゃ……」


そして僕はまたループする。

僕はまだ知らない。このループが、ただの“やり直し”ではないことを。


= = = = = = = = = = = =


私はまたループする。3回目か…。面白くないなぁ。前回と同じように進む。

そして、6月。同じように部活をやめた和田くんはまたループする。


「いつここのループが終わるんだろ?これだけじゃなくこれからももっとループするかもなのになー。」

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-著者 宮本葵-
茨城県出身。中学2年生。小学生時代からゲームやYoutubeに夢中になっていた暇人。中学生になると、吹奏楽部に入りトロンボーンを吹きつつ、アニメばっか見ている、ゲームをたくさんしているなど将来、自宅警備の仕事につきそうな性格をしている。小説は当初はノートに少し書いたくらいのものだったが、「小説家になろう」というサイトがあることを知り投稿することを決意した。現在は3作品の小説を執筆している。

宮本葵の他作品
シェア傘ラプソディ♪
Silens&Silentia シレンス・シレンティア
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