第141.5話 交じり合う3つの聖剣(後編)
本日、先行配信しているシーモア様にて、
「宮廷鍵師、【時間停止】と【分子分解】の能力を隠していたら追放される~封印していた魔王が暴れ出したみたいだけど、S級冒険者とダンジョン制覇するのでもう遅いです~」の30、31話配信開始されました。
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「鍵魔法が発動しない」
おかしい。どういうことだ。
以前、【守護印】で封じられたことがあったけど、その時の感覚とも違う。
「無駄です。【静謐の祝祷】は魔法の発動を強制的に禁止する魔法。あなたの鍵魔法が如何に特異であっても、私の魔法の制約から逃れられませんよ」
魔法を抑制するには様々な方法がある。
呪唱をできないように沈黙の魔法をかけたり、魔力の動きを阻害したりする。おそらくこの辺りが一般的だろう。
強制的に禁止するなんて初めてだ。
たぶん、僕が時間遡航した時のような概念系の魔法なんだろう。
サリアみたいな魔王でもないのに、個人で概念系の魔法を使うなんて。
さすがは『円卓』のメンバーというより他ない。
「惚けてる暇はありませんよ、ユーリ・キーデンス」
僕を見下ろすアラムさんの横で、光が輝く。
ゲヴェイムさんの脇から伸びる砲門に、魔力が収束されようとしていた。
(【審判領域】? そんな! 魔法は禁止されているんじゃ?)
さっきのはアラムさんのはったり?
いや、そんなことを言う人には見えない。
僕はもしかして何かを勘違いしている。
いや、今はそれよりも状況がまずい!!
大きな2つの光が放たれる。
それは真っ直ぐ僕に向かってきた。
狙い打ちだ。最初から僕を狙ってきたのだ。
鍵魔法は使えない。
そもそも魔法が使えない!
(アストリア!!)
ギィン!!
激しく、かつ鋭い音が目の前で鳴り響く。
そのまま僕は光に呑まれるものだと覚悟したけど違う。
あれ? と徐々に瞼を開けた時、銀色の髪が靡いているのが見えた。
「アストリア!」
アストリアは僕の方に一瞬視線を向けた後、【審判領域】を弾いてしまう。
息を呑んだのは、僕だけじゃない。
それを見たアラムさんだった。
「魔法を弾く……? 聖剣エアリーズにそんなことが……。いや、魔法で返すならまだしも、ただの聖剣が魔法を弾くなんてできないはず」
「アラム……。忘れたのか。私はお前たちの仲間だったんだぞ。お前たちの戦術を知らないと思っているのか?」
「ぐっ?」
アラムさんの顔が苦しそうに歪んだ。
アストリアは僕に背を向けたまま話す。
「ユーリ、惑わされるな。簡単なことなのだ。アラムは魔法の発動を禁止できるのであって、魔法そのものを禁止できるわけじゃないんだ」
そうか。だから、【審判領域】が使えるのか。
【静謐の祝祷】は新たに唱える魔法を禁止するのであって、すでに発動した魔法には通じない。実際、僕が落ちる前に不死者の皆さんにかけた鍵魔法はまだ効果がでている。
【審判領域】も、おそらく1発2発撃つだけじゃなく、1度発動すれば魔力が切れるまで光の砲弾が放てるという、攻撃系強化魔法に近いものなのだろう。
「なら、あなたも魔法剣を……。風の加護を発動させていたのね」
「昔の私なら、ラナンの力を借りていただろう。……しかし、お前たちの聖剣が強化されたように、私の聖剣もまた気まぐれな鍛冶師のおかげで強化されたみたいでな」
アストリアが構えた聖剣にヒビが入っていた。
先ほど、【審判領域】を弾いた影響だろうか。
ヒビはさらに刃を蝕む。割れた――と思ったが、違う。
パンと音を立てて、剥がれたのだ。
現れたのは、銀に光る剣だった。
「行くぞ――――」
銀剣!!









