新しい恋
「紅子サン、今夜は、時間ある?」
グレンはぶっきらぼうな言い方をした。
紅子はグレンが何を考えているのか、警戒した。
険しい表情で、答えた。
「なに?」
「夜、食事行きましょう」
グレンは紅子がとても険しい表情で、自分を見ているので残念に思った。
帰国しても、連絡しなかった自分に不信感を抱いているかもしれない。
でも、紅子は多分、浮気をしただろうと思う。
自分も絵美子と関係を持った。
「今夜は無理」
「いつ?」
「連絡するわ」
「明日電話して。待ってるよ」
グレンは紅子が自分に連絡くれる事を祈った。
紅子は微笑んで、グレンと別れた。
その日の夕方、大森から連絡があり
「今夜、会いたい」と誘ってきた。
紅子は承諾し、夜、ススキノで待ち合わせをした。
「急に呼び出してごめんなさい」
大森はすまなさそうにしていた。
「いいんですよ。さぁ、飲みましょう」
紅子は大森にビ―ルを注いだ。
「何かあったんですか?」
「え?」
「今日は雰囲気が違うような」
「何もないです」
自分が判らない。
どうしたいのか。
「今夜も家で記事を書くんですか?」
「いいえ」
大森はじっと紅子を見た。
言葉の裏の意味を考えて、相手の気持ちを読もうとしている。
端正なマスクの大森にじっと見つめられると、紅子は逃げ出したくなる。
大森はただ、振られないように考えるだけで精一杯だ。
大森は焼肉屋が好きだ。二人でカルビを六人前食べて、ビビンバやクッパを注文して、気持ち悪くなるくらい満腹になった。
「どこかで、軽く飲むなんて無理よ」
「じゃ、俺のところ来ます?変な意味じゃなくて。紅子さんの好きな80~90年代ブラックコンテンポラリ―のCD沢山あるから、好きなのあげますよ」
「くれるの?じゃ、行く」
紅子はそれだけなら、行こうと思った。
大森は大人だ。
相手の気持ちに負担をかけない誘い方をする。
大森は円山の高級マンションに住んでいた。
エレベ―タ―で七階まで上がり、大森の部屋に入る。
片付いていて、清潔だ。
大森は暖房のスイッチを入れた。
リビングの棚全てCDで埋め尽くされている。
何千枚持っているか自分でも、判らないらしい。
紅子が欲しいCDのチェックをしていると、突然、大森が後ろから抱き締めた。
「紅子さん、好きです」
続く




