謎のセクシュアリティ
「三人の子供は、認知してないんです。死ぬ間際になって、親父が遺言状書いて少し分け与えようと言い始まったのを、止めたいんです。今頃、認知してくれと、愛人どもが病室に押し掛けてきて」
楡木は紅子をフレンチレストランへ連れて行った。
「ふぅん。そうですか。お父様、お盛んでしたね」
「いや、お恥ずかしい」
どうでもいいよ。広告もらえれば。
今、皆、ネットで検索するから、なかなか大変なのよね。
バッグの中でスマホのメ―ル通知。
見るとまた、グレンから。
紅子は「食事中だ」と料理の写メールを送信。
雑なやり方をして、画像に楡木が写っているのを送信した紅子。紅子は気にも止めなかった。
グレンからの返信が来た。
『写っているのは誰?』
『仕事の相手よ』
『ディナーだろ?男と』
『違うわよ』
『違わないよ、今夜10時に電話するから、着信オ―ケ―にしておいて』
『わかったわ』
怒ってる。
紅子はため息をついた。
イタリアから焼きもち焼いてるんだ。
「彼氏ですか?」
「うん、友達よ」
「本当に友達なら、僕を恋人候補にしてもらえませんか?」
楡木は真顔で話している。
楡木さん、そうなの。
女の人が好きなのね。
「楡木さんは素敵な男性だと思います。私なんかより、もっと若くて可愛い女性がお似合いですよ」
「体のいい断り方ですね」
楡木はタイプの男性ではなかった。
「親父は余命2ヶ月以内だと言われています。多分、1ヶ月ぐらいでしょう。あと、二回くらい病室へ来てもらっていいですか?」
「わかりました」
広告のため、広告のため。
帰りの地下鉄で、阿部寛そっくりの大森とバッタリ出会った。
ドキリ、とする。
雰囲気が素敵。整っていて、背がとても高い。人混みの中で、頭ひとつ分大きい。
「大森さん」
「この間はどうも」
ス―ツにオ―バ―姿が、バシッ❗と決まっている。
私も、ス―ザンと同じ。大森さんって、タイプだわ。
彼は、クスクス思い出し笑いをした。
「どうしましたか?」
「この間、焼肉屋のあと、スナック行きましたでしょ?俺、化粧室前で、楡木さんにケツ触られたんですよ。二回やられました」
「間違ったんじゃなくて?故意にですか?」
続く




