夏休み……
はあ。なんか今日疲れたなあ。
ベッドに倒れ込み、「秘密」に耳を傾ける。
雲間から~差す光~♪
数分後、それを邪魔するかのように私の携帯が鳴る。
…この着信音…
レンだぁっ!!
「はいはいはい!!はーい?」
つい、テンパってしまう。電話越しに笑われる。
レンは、勉強が早く終わったから電話しただけ。って言ってた。
だけど、知ってるよ?
ホントは、気になってたんでしょう?
だから、勉強を早く終わらせた。
まあ、計画性のある彼のコトだから、真意はわかんないけど。
勉強ばかりしてるの?修行したこと、忘れちゃうよ?
意地悪っぽく言ってみたら、どうやらレンは修行してるらしい。
ふふ。実はこの会話、携帯に録音してあるんだよね。明日、ミツに聞かせてあーげよっ!!
レンに頑張ってと告げて、私は電話を切った。
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それから、私たち演劇部は、8月頭にある演劇祭に向けて猛練習。
そのとき、ミツに昨日のレンからの電話を録音したものを聞かせた。
「よく聞き出したな。さすが、オレの幼なじみだよ。」
そう言って、私に笑顔を向ける彼。
胸がキュンとしたのに…気付かないフリをしていた。
演劇でラブシーンをやるからだと、勝手に思い込んでいたんだ。
そして、演劇祭当日。
私たちの通う光明中学校はいきなりトップバッターなため、出演者のドキドキ感はハンパなかった。
出番を終え、休憩と午後の部を終了の後、結果発表。
部員全員が、目をつぶって両手を合わせる。
ドラムロールが邪魔だよ。心臓の音と重なって聞こえるんだもん…
「栄えある優勝は…光明中学校です!!!」
聞き間違いかと思った。
だけど、号泣している先輩を見て、現実なんだと分かる。
私まで、泣けてきた。
優勝できたのは、先生が舞台裏で言った、
「キンチョーしていいのよ。
そぉすればするほど、その興奮が瞳に反映されてキラキラ輝くの。
それは、舞台上であなたたちを何倍にも魅力的にしてくれるから。」
との言葉。
そのおかげで、自信を持てた。
先生の奢りでカラオケをして、私たちは残りの夏休みを満喫した。
なぜか、出先でよくミツの家族と遭遇したんだけどね…
夏休み終了3日前の日、ミツから近くの高原までサイクリングに行かないかと誘われた。
この日、私の記憶に関わることを知るとは、思ってもみなかった。
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お弁当を持って、いざサイクリングへ。ミツの分は私が作った。
ミツが小さい頃家族でよく来たという高原に到着。
「ここ、オレらの"秘密の場所"にしよ?何か話すことあったら、ここに来て話すの。」
「うん!いいよ!うわぁ~、なんか秘密基地みたい!」
「…ガキ。」
「ガキって何よ~!!」
私はミツの膝をポコポコ叩きながら言う。
「ゴメン。
冗談だよ。」
♪信じて~飛び込めfuture~
そぉ言ったとき、甘い空気をぶち壊すように、着信音が鳴り響く。
「兄さんだ。出ていい?」
「うん。」
「そ…それ、ホントなの兄さん!!今?昔家族でよく来た高原だよ。わかった!!ありがとう。」
いつも冷静なミツの声が慌てている。
「どうしたの?」
「ハナを嫌な目に遭わせた犯人が捕まったの!今から兄さんと宝月主席検事が犯人たち連れてくるって…」
「うん、いいよ別に。ボコボコにしてやりたいし。」
「ところでミツ、よくわかったよね~。私がアブナイ目にあってるって。」
いつか私がミツとレンにあげたブローチにテレパシー機能があったらしい。
そんなの知らなかった。
話しているうちに、赤紫の車到着。
検事をしているミツのお兄さんの車だ。
宝巴月検事総長。
レンの…2番目のお姉さん。
検事総長っていう、検事の最高位みたいだけど、詳しいことは、よく知らない。