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ボーダー  作者: きぃ
変化
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15/46

好き……?

入学式で、新入生代表の挨拶をレンが言ってた。


…なんかちょっとカッコ良かったなぁ。



私たち3人は見事に同じクラス。



友達も結構出来た。



その中の1人、篠原 愛実(しのはらつぐみ)


由紀と同じ小学校だったらしく、彼女をよく知ってる。


他にも悠那とバスケクラブチームで一緒だった友佳に、あみと同じピアノ教室だったという麻紀っていう子がいて、この学校には何かと縁があるなぁと思った。

ご縁があるのは生徒だけではなかった。


中学校のときに家の事情で教壇を去った河野百合恵先生や、

塾で国語&社会を教えていた…はずの藤原祐希先生までいた。



…すごいな…

この学校。



…ちなみに担任は、数学担当の柿崎先生。



部活?

私は、合唱部とESS部を兼部。


私たち3人ESS部。


レンなんて、ESS部と茶華道部と放送部を兼部してる。



……すごいなぁ。



入学して1週間が経った日、

愛川ふれあいの村



というところで宿泊オリエンテーションが行われた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


"宿泊オリエンテーション"


なんて名前だから、塾のサマーキャンプのサバオリみたいなことして遊ぶのかなあ。



とか勝手に思っていた。



…でも、実際は学校の規則についての話を延々と聞くだけ。



でも、1つだけアクティビティーがあった。



……自分の夢。


それをグループの人に発表して、夢を実現させるにはどうしたらいいか、話し合うの。


ミツは、

案の定


"検事"。


お兄さんと一緒か。


つまんないの。



ただ、レンに至っては…



"某気象系グループとドラマや映画やバラエティーで共演する"


って…



あの…


アイドル養成事務所入らないとムリでしょ。



…まあ、ちょっとカッコ良いから一応入れるだろうけど…ね。そりゃ。



みんなから

「すごーい!」


とか言われてた。



実際、レンは学校でもいつも皆にちやほやされてる。学校の女子にもかなり人気があるし…


実際にその光景は何回も見た。


その度に、


「あ…またか。」



って、

思うだけ…

だったのに。






一緒にいるミツまでちやほやされてるのを見ると…

つい、


目を逸らしてる。


ってか、


その光景を…


見たくないんだよね。



何なんだろ。



この気持ち。




これ終わって宿泊棟戻ったら、由紀にメール打とう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なんとか宿泊棟に戻れた。

何回も迷ってレンに助けられたんだけどね。



二段ベッドに座って由紀にメールを打っていると、愛実が友佳や麻紀を連れて話しかけてきた。



「あのね、さっき皆で話してたの。

ハナちゃんがずっと何かを考えているような遠い目してたから、何かあったのかなあ…

って。」



さすが、由紀と同じ小学校だっただけある。


由紀のカウンセラー気質、バッチリ影響してるなあ。


「"ハナちゃん"じゃなくて、"ハナ"って呼んでいいからね?

話、聞いてもらっていいかな。」




私は、さっき考えていたことを皆に話した。



…レンはいいけど、

ミツが女子たちにちやほやされてるのを見るのがすごくツラいこと。



「ハナ、ほんの少しだけ、気付いてるんじゃない?

自分の気持ち。」



「自分の…気持ち?」




「好き…なんじゃない?


ミツくんのこと。



幼なじみとしてじゃなくて…

"一人の男の子"として。」




「私が…?」




「うん。」




「そぉいえば…レンがいない間、

ずっと私のこと支えてくれてたの…

ミツだったんだよね。


ホントは…

自分の気持ち、気付いてた。


気付かないフリしてただけ…だったんだよね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あなたは私の中で特別だった。


幼なじみとしてなんて、見たことは…ない。


…好き。


ミツが…

好き。


出会ってちょっと経ってからミツの家にちょっと遊びに行った日…


レンがアメリカへ旅立ったとき優しく抱き締めてくれたり、


朝までずっとミツの膝枕で泣き明かしたり、


ミツとT.A.B.O.O犯したり


した、


あの時からずっと…



ミツのこと…



好きだったんだ。






だけど、この想いを伝えてしまったら、このままの関係ではいられなくなる。


だから…


お願い。


もう少しだけ…このままでいさせて?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、帰る前に野外炊事をして皆でカレーライスを作った。




レンがかなり手際良くてかなりビックリ。




昨日気付いたばかりのミツへの気持ち。


ミツの前でヘマは出来ないなあ。


私も頑張ろ!



野菜切りながらそんなこと考えてたから…


「痛っ!!」



案の定、


手ぇ切っちゃった。




「何?

手ぇ切ったの?


…ったく、


だからお前、昔から言ってるだろ?


包丁持つな、って。」



「ちゃっちゃと終わらせてからゆっくり手当てしてやるから、

とりあえず…

消毒な?」



…ちゅっ。




そぉ言って、指にキスしてきた。



「ごめんな?

…これくらいしか…

出来なくて。」



「う…ううん。

嬉しかったよ?」




「良かった。」




無事カレーライスが完璧に完成。



私はもちろん、ミツにしっかり手当てしてもらった。


帰るときに重い荷物持って歩かなきゃいけなくて、よろけて転びそうになったのをミツに抱き止めてもらったり…



ドキドキしっぱなしの宿泊オリエンテーションだったなあ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〈ミツside〉


宿泊オリエンテーションの後からなんか、

ハナの様子がおかしい。



なんか…


オレを避けてる?



ような気がする。





まさかな…




宿泊オリエンテーションのとき、



レンと何かあったのか?



アイツなら…


やりかねない。



優しいドSだし。




一応…

裏の顔もあるしな。




でも…

レンのことだ…


何かあったなら…

正直に言ってくるはず。




何なんだよ…



ハナ…



お前が好きすぎて…



よく見てるからこそ…



お前のその態度が…



わかんねぇよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


レンside〉


…ハナの態度ですぐ分かる。

…アイツ、絶対ミツのこと好きだろ。


よーやく自覚したか。


…5年前のオレなら、抜け駆けでも先回りでも何でもやったはずなのに…

なんか…オレの中でじょじょにハナへの気持ちが薄れていく気が…

しないでもない。




そんなことを考えていると、オレの目の前でかなりショーゲキ的な光景が。


ミツが…


ハナでない他の女と唇を重ねていた。



一番驚いたのは、ハナがその光景を見てしまっていたこと。


ミツがかなり驚いた顔をしてた。



「ハナ!?ちょっと待てよ!」


ミツの声も無視して、ものすごい勢いでどかに走り去るハナ。


「好きなんだろ?ハナのこと。

追いかける前に…やることがあるはずじゃないか?

ボーっとしてないで、それが済んでから来い。」


オレはミツにそう告げてからハナを追いかけた。


「何気足速いんだよな…アイツ。」


こーいうとこも、あの子ソックリ。


…ハナは、保健室にいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「レン…」


そう言いながら、オレに抱きついてきた。



ハナがホントに、アメリカにいたあの子に見えてきた。

ほっとけない。


…頼むから、オレに可愛い姿を見せるなって。


今やっと理性を保っていられるけど、切らしたらきっと…

ミツに顔向け出来なくなるから。


血と赤い絵の具を間違えていつものように騒いでいる保健室の先生をよそに、ハナをそっと抱き寄せる。



「ハナ?大丈夫…?」



「レン…ムリだよぉ…ミツのこと…もう幼なじみとしてなんて見ること…できない…もん…」




"ミツのこと…好きなの?"

これは…

今はハナに聞いちゃいけない気がした。

だから、今は聞かないことにして、落ち着くまでハナを抱きしめてた。

相変わらず騒いでいる先生に血液に反応して青白い蛍光色を発する

"ルミノール試薬"

を渡してから。




「…もう…大丈夫だよ。

ありがと、レン。」



「大丈夫じゃないって。

まだ、泣いてるじゃん。もっとオレに甘えなよ。

どうせオレは…ずっとハナの幼なじみだからさ。」


「レン…ありがと。」



「ホント、相変わらず泣き虫だな。気ぃ強いくせに。」


そぉ言いながらオレは、ハナのきれいな涙を指で拭ってやった。



「なんかそーいうの、カッコイイわよ。」


それだけ言い残して散々騒いでいたはずの先生はオレにルミノール試薬を返すと、自室に入っていった。





オレとハナが抱き合っていたところを、保健室のドアの外からこっそりミツが覗いていたなんて、オレは知らなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〈ミツside〉


オレはハナの態度が急変したことについてしばらく考えててボーっとしていた。

だから、気付かなかった。オレの前に、ハナじゃない女の子がいることに。

「ミツくん」と声をかけられたのもつかの間、その子のほうから唇を重ねてきた。


突然だったから拒否れなくて…その様子を…ハナが見ていたことに気付いたときにはもう遅かった。

すごい勢いで走り去っていくハナを追いかけることも…できなくて。

追いかけようとしたら、レンに止められた。



「追いかけるより先に、やることがあるだろ?中途半端なことをするくらいなら追いかけるなよ。」



肩に手を置いて低い声でそう告げたレンは、ハナを追いかけて行った。



そーいえばこの子、

オレに前「好き」

って言ってきた子だなあ…



「ごめんね。オレ…ハナのことが好きだから…

君の気持ちには…応えられない。」



そう言うと、彼女は明るい笑顔を見せた。



「良かった。ミツくんから直接、気持ち聞けて。

ハナちゃんのところ、行くんでしょ?

…行ってらっしゃい。

応援してるから。」



そう言って、オレの前から去っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


オレはその後ひたすら、校内をハナを捜すべく走り回った。



「…大丈夫じゃないって。まだ、泣いてるじゃん。もっとオレに甘えなよ。

どうせオレは…ずっとハナの"幼なじみ"だからさ。」



保健室を通ったとき、レンの声が聞こえた。

3cmくらい開いていたドアから、見てしまったんだ。

ハナとレンが…抱き合っている姿を。


ハナの目が涙で濡れている。

オレには分かる。

人のココロの傷。

それを作った原因が。

っていうのも、オレの特殊能力だから。

その原因…間違いなく…自分なんだよな。


格好よく2人の間に乱入してやることも出来ない、情けない自分に、嫌気がさしてくる。


見ていられなくて、保健室から立ち去ろうとしたとき、ふいに声がかかる。




「ハナを巡って勝負でもしてるの?」



声の主は、ハナの友達で、由紀ちゃんと同じ小学校だったという、愛実だった。

「ああ。バレンタインの日にお互い、ハナに告るの。」



「そう…

だったらなおさら、今のままでいいの?

ちゃんと誤解とけば大丈夫だよ。

あ。そーいえばさっきのレンくんの台詞…何か引っかかるのよね。

"幼なじみ"だと割り切っているような…そんなニュアンスがある気がする。

まあ、私の考えすぎかもしれないけど。

気になるようなら、バレンタインじゃなくて10月の学校行事の日にすれば?」



さすがだ。

由紀ちゃんのカウンセラー気質、バッチリ移ってる。


「さあ、行ってらっしゃい。」


その言葉と同時に、肩を押してくる由紀ちゃん。


オレは半ばヤケになりながら、わざと大きな音を立てて保健室のドアを開けた。


「ハナ…」


「ミツっ!?」



「ごめんな?ハナ…

ハナの目の前で…あんなことして。

突然のことで拒否れなかったけど…

ちゃんと…告白…断ったし。」



オレがそう言うなり、ハナはオレに眩しいくらいの笑顔で抱きついてきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〈レンside〉

抱き合っている二人を見て、お似合いだなあって…

ちょっと思った。

二人きりにしてやりたくて、保健室を出ると、愛実ちゃんがいた。



「蓮太郎くん。

…ゼッタイ誰にも言わないから、話す気、ない?

"心に抱えた秘密"。」



オレは、はっとした。

さっきの言葉…まさか、聞かれていたのか?



「愛実ちゃんには…わかったんだ?

さっきの言葉の意味。」



「…蓮太郎くん、好きな子…いるでしょ?

ハナ以外で。

だからハナのことは…幼なじみとしてもう割り切ってる。

違うかな?」



「愛実ちゃん…ほぼ正解だ。好きなのかも。アメリカで何かと一緒にいた狩馬冥(かるまめい)ちゃん。


ホントにハナに似てるんだよね。


オレにだって…わかってるよ。

こんなこと…ずっと続けてたらダメだって。

だけど…どうすべきか…よくわかんないんだよ…」


「その…メイちゃんは…"自分じゃなきゃ支えてあげられない"って思う?」


「うん。メイはオレじゃなきゃ…支えてやれないよ。あんな超が付くくらいの寂しがりのやつ。」


「…決着の日…早めれば?10月に宿泊行事があるみたいだから。」



「オレは…勝負を続けていていいのかな?…このままで…」


「伝えるだけ伝えてみれば?

あ…それから、私は…ハナとの間違いを責めるつもりはないからね?」


自分の首筋をトントン、と叩きながらそう言った愛実ちゃんは、オレの肩を軽く叩いて帰っていった。



不戦敗はイヤだから…ダメもとで告ってみるか。



やがて保健室から二人が出てきて、ミツが迷惑かけてごめん

って言ってきた。


「誤解解けたなら良かった」


とだけ返して、3人で仲良く帰った。

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