表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

番外編 とある始まりのお話

おまけ話

 むかしむかし、とおーいむかし。


 さいしょに、いだいなるひとつがありました。


 いだいなるひとつは、たいくつでした。


 たいくつでしにそうだったので、じぶんのからだを、しろとくろ、はんぶんにわけました。


 しろはじぶんのからだであわとまそをつくりました。それらはまりょくにへんかしてほのおやみずのさわれないものがうまれました。


 でも、それだけではすぐにきえてしまいます。しろはこまってしまいました。


 くろは。そしてじぶんのからだをあかいりゅう、きいろいりゅう、あおいりゅうとみっつのりゅうにわけました。


 りゅうたちは、くろのいうことをきいて、さいしょのせかいというものをつくりました。


 いだいなるひとつのたいくつはすこしまぎれました。



 りゅうたちは、もっとすごいものをつくって、いだいなるひとつによろこんでもらおうと、ちからをもとめました。


 りゅうどうしはくらいあい、なんと、ひとつになってしまいました。


 するとどうでしょう、せっかくできたせかいはりゅうのなかへきえていったではありませんか。


 くろはもういちど、もういちどと、ためしました。


 しかし、なんかいやってもおなじ、きっかけはちがっても、さいごにはどうしてもひとつになってしまうのです。


 くろはこまりました、せっかくおもしろいものができたのに、すぐにだめになってしまう。


 しろにきょうりょくをもとめました。しろはじぶんひとりではなにもできなかったので、よろこんでてつだいました。


 くろはじぶんのからだをもっとこまかくわけました。わかれたそのからだを、しろがつくったあわでそれぞれやさしくつつみこみ、まそでみたします。


 かけらからうまれたりゅうは、そのなかでじぶんのせかいをつくりはじめます。


 ひとつになろうとすると、しゃぼんだまがかべになってひっつくことができません。


 ほのおやみずはものにあたってきえづらくなりました。


 くろとしろのからだはばらばらになってしまいましたが、せかいはまわりはじめました。


 せかいからは、どぅるーがが、もりが、うみが、せいれいが、どうぶつが、そしてさいごにえるながうまれました。


 えるなたちは、どんどんふえていき、しろとくろをかみとあがめたり、なかまどうしでたたかったり、かわったたてものをつくったり、いつみてもなにかあたらしいことをしています。みていてあきません。


 いだいなるひとつはたいくつではありませんでした。


 ******


「ねぇ、この石に書かれている事って、創世の神話の事?」


 ブランと僕、二人が暮らしている迷いの森の奥に鎮座している石碑の文章が気になった僕は、周囲の掃除を終えて一息ついているブランに尋ねてみた。


「あら、いつの間に古代エルナ語が読めるようになったのかしら?その通りよ、偉いわね~。」


 彼女はそう言って僕の頭を撫でてくる。


「む~!僕は大人なんです!いつまでも子ども扱いしないで下さい!」


 古代エルナ文字が読めるようになれば、今度こそ一人前として扱ってくれると思って頑張って勉強したのに!


「はいはい。分かったから、怒らないの。」


 絶対分かっていない!

 僕は掃除を再開するブランの背を見ながら、いつか大人と認めてもらって、僕と結婚してもらうんだ!そう心に誓うのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ