十三話 いわゆる猫のあれ
眠い...
先に言っておきますグダグダだ...
えーと...。
とりあえず状況を説明しよう。
目の前に人面樹が立っている、右手のない人面樹が立っている。
「ウー...デ」
そして、怨みが募る目で俺達をにらんでいる、見下している。
「クレア...こいつ...敵?」
ああ、とびっきりのな!
「敵だ!」
そう、叫びながら、俺は左側に跳んだ。
今までいた場所には、鞭のようにしなった、人面樹の残った左腕が叩きこまれている。
-速い!!
そして、
そのまま、下から追撃がきた。
-威力が半端ない!
それをかわしきれなかった俺の身体が、そのまま十メートル吹き飛んだ。
「いっーーーつぅ」
とっさにガードに腕をクロスさせたが、痺れている。
まあ、骨がおれていないだけましか...。
と、頭を一振りして、気持ちを切り替える。
-さあ、反撃だ!
「ユノス!」
俺の叫びと共に、ユノスが人面樹に殴りかかっていくのが見えた。
「グガガガガガガ...」
ユノスの手刀が、突きの形のまま人面樹の身体を薄く削り取る。
人面樹が削り節を撒き散らしながら、苦しそうに呻きをあげた。
「燃えろ!」
-「火炎球」<ファイアボール>
叫びながら、すばやく火炎球を四つ飛ばす。
飛び散る削り節に火炎が引火しながら、人面樹の身体が燃え...。
............無かった。
「みず...だと?」
人面樹の身体から水が出ていた...!
「ひたひた...」
まさかー...?地面から水分を吸い上げているのか?
しかし、人面樹は自分の身体を見て不思議そうにしている。
「グガガガガ?」
本人もわかってないのかよ!
「グガ?ッガガガ」
なんか言ってる?
「まあ、いいか...っ、言ってる」
わかるのユノスさん!?
まあ、いいさ、な、人面樹さん?
と、人面樹の肩を叩いてみる...
「ガーウー」
そして、ウンウンと頷いている人面樹さんを、思い切りぶん殴った。
「ふう、少し落ち着きましたわ」
気分を落ち着かせるために、散歩していた私、その足は自然と森の方に向かっていた。
とにかく、静かな場所で一人になりたかったからだろう。
特に何も考えず森の中を歩いていくと、隣を逆さまな人面樹が通り過ぎていった。
そのまま、目の前にあった木に激突して、なぎ倒して、一回転して、起き上がった。
「具あがががががががががああががが!!!!」
えええ?何ですかこれ?とりあえず怒っていらっしゃるようです!
「左手がーーーーーーーー!...て、言ってる...」
へ?
最近見慣れてきた白金の髪が、私の横を流れていきました。
まあユノスですけど、ところでユノスさん?今なんていいました?
左手?確かに今飛んできた人面樹さんの左手がポッきり折れているようですけど。
と、不思議がっている時間も無く、ユノスの後ろにクレア兄さんが現れた。
「クレア兄さん、これは...?」
-これは?あの時の?
「ああ、きっとそうだ、俺達が二年前に発見した人面樹の右腕、その持ち主さ」
結局は両腕を失ったらしい人面樹...。
哀れだ...。
まあ、ぶん殴ったのは俺だけどね!
「ユノスとにかく攻撃!」
「うん...」
さて、俺の半身がきた、これから本当の反撃を始めようじゃないか!
「サクラは援護を頼む」
「はい...、わかりました...」
さあ、いくぞって、何か、妹の元気が無いみたいなんだが。
「サクラ?元気が無いみたいだがどうかしたか?」
ユノスが駆け出すと、いつものように手刀を突き出す。
その一撃は、見事に人面樹にその華奢な腕の形に穴を開けた...。
「いえ、大丈夫ですわ...」
そのまま、勢いを殺さずに一回転しながら獣が爪で引っかくように指を曲げて、人面樹を削り取っていく。
猫が、爪を磨いでいるような光景だった。
「サクラ、俺はお前の兄だ!、辛いことがあったら俺が一緒に背負ってやる、悲しいことがあったら慰めてやる!
だから、一人で背負うな!俺達は、ずっとそうやって生きてきただろ!」
その攻撃が気に入ったのか、両腕を爪拳の形に変えると、下と上から挟み込むように腕を振るった!
人面樹の顔面部が、まるで巨大な獣に喰われたように抉り取られる。
「兄さん...
わかりました、兄さんにすべて話します...
でも、その前に、人面樹がやられてしまったようなのですが」
その、妹の言葉に頷きながらその光景に注意を戻す。
「グゴゴゴゴ」
そこには、横倒しに倒れ断末魔の声をあげる人面樹と、その上で四つんばいになって猫のように爪を磨いでいるユノスの姿があった。
「ところで、ユノス...なんていってるんだ?」
「我が倒れても第二、第三の...って、言ってる」
流行ってるのかな...?
がんばった、がんばったよ...
ういはもう寝るよ...
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