第52話 私は生が好き
【毎日更新】
評価 or ブクマおまちしてます。
嬉しくて踊ってしまいます。
初夏の早朝はまだ涼しくて、心地よい風が憂鬱な登校をましな心持にしてくれる。
寝不足な私はその中を口を半開きで歩いていた。
左右に揺れているのが見ていて危なっかしいからか、前の席の友達が袖を摘まんでどこかに行かないようにしてくれている。
「昨日4時間しか寝てなくてさ」
半分ぽけーとした私の頭の中。
最低でも7時間はいつも寝てるだけに今朝の脳みその稼働率はかなり低い。
「何をして寝不足になったの?」
少し呆れている友達の顔が、なぜだろうすごくおかしい。
「うぇふ、うぇひひひひひひ」
自分でもわかるやばい笑い方。
「あら、そういう声は初めて聴くけど悪くないわね」
全肯定かよ、ありがたいなあ。
まだ気持ちの悪い声を上げている私は、さっきから友達の腕に抱きつくように縋っている。
まっすぐ歩けないわけじゃないんだけどさ、夏服から伸びる冷たい腕が良い感じなんだよ。
「で、結局何をして寝不足なの?」
「推しの深夜配信が面白くてさー。
いつもは0時には終わるのに延長しちゃってたから最後まで」
「アーカイブで見なさいよ」
あーん?アーカイブでだと?
友達はパソコン好きなのにこういうのに興味が全くないらしく、いつもすれ違う。
今度一緒に見るのもいいかもね。
ぽやぽやしたままの脳みそでそう思った。
「ばか、生配信が良いんでしょ」
「生のほうが好きなの?」
「あたりまえじゃない、全然違うんだよ?
距離感が違うというか、相手のぬくもりまで感じられるというか」
わかんないだろうな、あの一体感というかなんというか。
生じゃないと薄い膜が一枚あるようで集中できないんだよ。
私も最初は違いはわからなかったけど、一回味わうともう生いがいありえない。
だってさ――。
「……はっ!?」
気が付いてしまった私は、もたれかかっていた友達から飛び退ると、威嚇のファイティングポーズをとる。
霞がかっていた意識が一気に鮮明になった。
「いま私セクハラされた!?」
拳を構えた私に、朝から冷たい視線。
いつもはこっちから友達に向けているものが、今日だけは矢印が逆だ。
いや、さっきのは誘導尋問なのでは?
「さすがに濡れ衣よ」
朝日を逆光に受けて黒塗りとなった友達が一歩一歩近づいてくる。
「私は大概な自覚あるけれど」
友達はそこで言葉を区切ると手を高く振り上げ、脳天にチョップを入れてきた。
つむじを押さえてしゃがむと、見下ろしてくる猛禽類を思わせる眼光。
「実は貴方もそれなりよね?
何がとは言わないけど」
-次回予告-
お風呂?そんなものなくなればいいのよ
評価 or ブクマおまちしてます。
嬉しくて踊ってしまいます。
今の作品が面白かったなら、こちらもお勧め
↓私のプロフからどうぞ
・ショート作品詰め合わせ
・前の席のJKが変態で困る|超短編百合
・悪役令嬢を目指す理由?メイドとダラダラしたいからよ!
・世界を救うヒーローだけどお金がなくてガスが止まった




