第25話 セーラー服を着てと頼んだら通報をされた
「セーラー服って良いわよね」
下校途中にすれ違った女子中学生を見ながら、前の席の友達が言った。
じーっと熱い視線を幼い夏服セーラー少女に注いでいる。
私は無言でスマホを取り出す。
「まって、通報しないで」
110の2桁目まで入力したところで手を止められた。
「早めの行動が子供を守るのよ?」
「違うから、違うから聞いて」
0の上に指を置いたままでちょっとだけ待ってあげることにした。
「私たちの学校ブレザーじゃない」
「そうだね」
「だからかな、セーラー服とかって憧れて」
ああそういうこと、って私はスマホをしまおうとした。
「だから着てくれない?」
「着ないし持ってないし」
ちっちっちと口を鳴らしながら顔の前で指を振る仕草。
「こんなこともあろうかと中学の時のをとってるわ。
私の母校はセーラー服だったのよ。
今日親いないし寄ってかない?」
スッ。
「だから通報しないで」
貞操の危機を感じて思わず3桁目を押してしまっていた。
発信をする前に止めてくれて助かった。
それにさ、自分の平均以上の胸をポンポンと叩く。
「ちょっと苦しそうだから難しいかなって」
平均以下で控えめな友達が私の嫌味で動きを止めて、数秒の無言を置いてからにこりと笑う。
「そうだね、ごめんね、ぷよぷよで私のスカートは苦しいよね」
ほっっそいお腹をポンポンと叩かれた。
そう来るかマイフレンド。
「んなわけないでしょ!入るわよ!私のウエスト舐めないでよ!」
「ごめんなさい、私の気遣いが足りなかったわ」
「いいわ、着て見せてあげる。
入ったら謝ってもらうから……いや着ない」
危ない、また騙されるところだった。
見ると友達は露骨に舌打ちをしている。
「いいじゃない、セーラー服つけて猫耳はめてよ」
「なんか増えてる」
「首輪もあるからさ」
「物足りないから断ってるんじゃないからね?」
「あとセーラー服からチラ見えする、おへそ舐めていい?」
「いいと思う?」
「うん」
スッ。
「だからそれはダメ」
発信を押そうとする私の指を両手で掴んできた。
あれか、お前の場合は警察ではなく自衛隊か?
--次回予告--
消しゴムを触媒とした呪い 編




