第24話 君は私の専用機だぞ☆ばっきゅーん
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用事があって席を立とうとしてた私に、前の席の友達がずいっと右手を差し出してきた。
引き止められて思わずまじまじと見てしまう。
「私の手の甲に”売約済”って書いて」
「……素直にやろうとする自分が怖い」
いちいち細かいことなんて聞かなくなった私は水性ペンを取り出してサラサラっと書いてあげた。
中心に小さくしたことがせめてもの常識なんだ。
「で、説明プリーズ」
私のサインを嬉しそうに見ながら、乾くように息を吹きかけている友達。
「私バイトしてるじゃない」
「してるね。
飲食店の皿洗いとか調理だよね」
「最近はバイトの数足りてなくて、ヘルプでレジもするようになったんだけど」
「えー、大変だね」
「毎日ナンパされるのよ、顔が良いから」
水の中では息苦しくなるのが当然の節理で、その現象が発生するのが当たり前であるかのように、至って真面目な表情で言う。
そういえばそれが面倒で裏方のバイト選んだって言ってた記憶がある。
「あー、顔だけ"は"良いから」
「少しだけ訂正しなかった?」
「気のせいじゃない?」
それでそれでって先を促して誤魔化した。
「面倒だから、こうやって誰かのものだぞアピールしたらなくなるかなと」
私の手を取って勝手に”専用機”ってハートマーク付きで書く友達。
利き手の目立つところにできる限り大きく派手に。
許可なんて出してないけどこれも無言で受け入れる自分。
あとで消せばいいし。
「こんなわけわからないことしなくても、指輪すればいいのに」
「飲食店で指輪なんて不衛生でつけれるわけないじゃない」
あ、それはそうか。
でもそれならさ。
「手に落書きはもっとだめでしょ」
「確かに」
ウエットティッシュで友達の手を拭いて、さっと落書きを消した。
もったいないと、ぶつくさ言ってるけどもう授業が始まるもの。
私もさっさと消そうと、手からはみ出さんばかりにデカデカと書かれたハートマークを擦る。
「あれ?」
友達のはひと撫でで消えたのに私のは逆に水分を含んで生き生きと黒くなってる。
相変わらず特大サイズの”専用機”。
いまさらだけど機ってなに。
じとーとペンを持つ友達を睨む。
「……油性はやめろ」
なんで?みたいな表情もやめろ。
たくもう、アルコールティッシュかメイク落としなら消せるか。
近くにいた仲の良いグループのほうを振り向いて急いで聞いた
「ねえ、だれかメイク落としとか持って……」
そこまで口から出たときチャイムが鳴り、同時に先生が教室に入ってくる。
途端に静かになり自分の席に戻るクラスメイト達。
「え?」
前の席の友達も教科書を出して優等生の視線を黒板に向けている。
「え?」
日直が黒板を消し忘れていて、直ぐ前へ出て来てやるように注意されていた。
最初に立ち上がりかけていた用事を思い出す。
「ほら、早くいかないと」
友達が少しだけ振り返って日直の私に言う。
おまえ、おい、全部計算通りか?
クラス中の視線が集まって来てとっさに右手を隠す。
なんでよりにもよって今日から半袖なの。
--次回予告--
セーラー服と110番 編
今更ながらのキャラ紹介もあるよ
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