第125話 1000年後の今日も繋いでいたい
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放課後になぜか前の席の友達に呼び出された。
あいつの部屋でテーブルを挟んで向かい合う私たち。
「同じ趣味を作らないかしら?」
友達いわく同じことをやって楽しみたいらしい。
ふたりで遊ぶのは好きだけど、確かにそれは関係や時間がおもしろいのであって、行っている内容がってわけじゃないか。
「貴方はひとりの時どういったことをしているの?」
「えー、暇な時だよね?」
友達がやたらしんみりと頷く。
「ひとりの時に部屋でこっそり、声を殺して何をしているのか教えて?」
「言い方がなんか嫌だな」
ご期待に添えずゴメンだけど、してねえよそんなこと。
「でも特別なことしてないよ?
スマホさわってることが多いし。
後はママが夜勤でいないこと多いから妹の面倒見てるかな」
「偉いわね」
「へへー」
照れますな。
「そっちこそは?」
「私は週の半分は夜までバイトね。
他の日は一緒にいること多いわよね?」
「うん」
唇に指をあてて一人の時間を思い出してる友達。
「時間のある夜は勉強をしていることが多いわ。
他にはたまにピアノを触るわね」
部屋の角にある電子ピアノを指さす。
「あ!また今度聴きたいな!」
「もちろん、いつでもいいわよ」
「嬉し、ありがとね」
それにしても。
「お互い地味な生活だね」
「普通そんなものよ」
どうもこれ以上話しても共通する好きなことは見つかりそうにない。
そうなると考え方を変える必要があるね。
「だったらふたりともが好きになれる、新しいことを探そうよ」
友達が何度もその手があったかと頷いている。
「ふたりで楽しむ定番だと映画とか?」
私の提案に友達がげんなりとする。
「嫌よ、貴方は怖いのやグロいのばかり見るもの。
人間が真っ二つにされるのを見て、きゃっきゃっハシャイでるのは若干引いたわ」
「現実と作り物を切り分けられないと駄目だよ?」
私だってリアルでは紙で指先を切るだけで凹む乙女だ。
「なら散歩はどうかしら?
11月になって涼しくていいわよ?」
友達の提案に私はげんなりとした。
「嫌だよ。
前にしたときに途中からランニングに切り替えたじゃん」
「いつも走ってるから、歩くのが落ち着かなくて」
付き合って横腹が痛くてちぎれるかと思ったよ。
テーブルの上に友達の手が投げ出されているのに気が付いたので、なんとなく繋いだ。
「あんたの手って、この季節本当に冷たいね」
「冷え性だから。
貴方の手は暖かいわ」
「誰かさんより脂肪が豊富でして」
少しでも暖かくなるよう、指先をこすりつけあう。
「そんなこと言ってないわ。
でも貴方って手を繋ぐの好きよね?」
「意識してるつもりはないんだけどね、落ち着くというか?」
「私も嫌いではないけれど」
友達がクスリと笑う。
「だね、これは共通の趣味とは言えないね」
「そのとおりね」
私もつられて表情を崩す。
「でも暖かくて私も落ち着くわ」
友達の手に力が入る。
こういう変に素直でストレートなところが困るんだ。
「暖かいだと、これから寒くなるしお風呂とか楽しくなるね」
入浴剤いれて良い匂いにしてさ、だらーっと入るのがたまんないんだよね。
「……お風呂。
それを共通の——」
「趣味にはしないからね、一人でのんびり入るからね」
私の即答に舌打ちをする友達。
油断も隙も無いな本当に。
「それにしても、意外と共通の趣味は見つからないのね」
「ほんとにだねー」
だらけた私は手をつないだまま机に突っ伏した。
「結局私たちが好きなのは、」
友達が私の後頭部を撫でる。
「こうやってだらだら話したりだもんね」
セリフの後半を奪ってやった。
-次回予告-
もう一回遊べるどん
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