45話 爆弾の正体見たり
戦いが終わり、俺とサーシャさんとオズワルドさんの三人は馬車の中で待機中だ。
騎士団のメンバーはというと、ガルドさんが指揮を執り、エドガーさんと御者の一人が被害状況の確認。
ラムレスさんは先ほどの爆発が起きた地点の調査。残りの御者は捕らえた盗賊達の見張りをしている。
「あれ?レイアさんはどこに?」
「……呼んだ?」
「うぉわっ!?!?」
突然、馬車の上からにゅっと顔が現れた。
「レ、レイアさん。そんなところにいたんですか」
「うん。周辺警戒中…」
「な、なるほど…」
それだけ言い残すと、レイアさん(の顔)はまた素早く馬車の上へと消えて行った。
勘弁してくれ、心臓が止まるかと思ったぞ…。
「隊長。こちら側、人員物資ともに損傷軽微。行軍の続行に問題はありません」
「ご苦労、エドガー。となると後は、この盗賊共の後始末…だな」
「クソッ!!」
比較的軽傷なオークスが恨めしそうな声を上げる。
「どうされますか?王都まで護送するには…数が多すぎますね」
「うむ。先の町まで戻って警備の者に護送を任せたい、が…」
「先ほどの爆発ですか」
「あぁ。あの破壊力、もし町の中で引き起こされたら被害は甚大だ」
「考えたくもないですね…」
「とにかく今はラムレスの報告を待つしかあるまい」
「はっ!!」
しばらくして、爆発地点の調査を終えたラムレスさんが戻ってきた。
そして、馬車から少し離れた所で騎士団のメンバーが集まって話し合いをしていたのだが…
「すまない。コースケ君、ちょっと来てもらえるかい?」
「は、はい?」
突然、エドガーさんから呼び出しがかかった。
「連れてきました」
「ご苦労。コースケ君、疲れているところすまないな」
「い、いえ。…えーと、どうして俺が呼ばれたんですか?
「うむ。ラムレス」
どうやら説明はラムレスさんがしてくれるみたいだ。ラムレスさんは手に小さな袋を持っている。
「はい。先ほどあの爆発が起きた地点を調査していたのですが、そこにあった盗賊の死体は見るも無残な状態でした」
「うわぁ…」
そりゃあの威力だもんな。ウェッ、想像しただけで気持ち悪くなってきた…。
「中でも特に損傷が激しかったのが左腕です。手首から先ははじけ飛んで上腕部分もーー」
「ンンッ!…ラムレス」
ガルドさんが咳払いを一つ挟む。
「隊長?」
話を遮られ不思議そうな顔をするラムレスさんに、隣にいたエドガーさんがチラチラと目配せをする。
その視線の先には…
「あわ…わ…」
突然生々しいスプラッターな話をされて、あわあわしている情けない俺がいたのだ。
「ーーあ。ご、ごめんなさいね。と、とにかく左腕の損傷が激しくて、その近くにこれが落ちていました」
そう言って袋から何かを取り出した。差し出されたその手を、まだ警戒している俺は薄目でチラリと見やる。
そこには小指の爪ほどのサイズの、綺麗な赤色の石みたいなものが乗っかっていた。
「これは…?」
「魔晶石。魔法を扱う時の媒体としては一般的なものです」
「で、ですよね」
いや、知らなかったですけども。一般的なものらしいし、ここは知ってる感じを装っておこう。
「これがあの爆発のカラクリですか?」
「いいえ。この魔晶石はあくまで仕掛けの一部。本命はこちらです」
ラムレスさんが袋から先ほどとは違うものを取り出した。それは、金ぴかのデカデカとしている輪っか。
輪っかの中心にはさっき見た赤色の魔晶石がはめ込まれている。
損傷の激しかった左腕、そしてこの輪っかが爆発の本命…ということは。
「これ…腕輪ですか?」
「ご名答」
俺の問いにエドガーさんが答える。
「オークスの話では、この腕輪は今回の襲撃の際の装備品、そしてその報酬として盗賊団全員に与えられた物らしい」
「ところが報酬というのは建前で、実際はこいつの中には特殊な火薬のようなものが詰められている、と。
そういう話だね、ラムレス」
「はい。この火薬を、コースケさんに鑑定していただきたいのです」
なるほど、それで俺が呼ばれたのか。
…鑑定するのはいいんですけど、これ本当に大丈夫なんですよね?変なことした瞬間にドカンといったりしないですよね?
そんなことを考えながら腰が引けた状態で腕輪を遠巻きに見ている俺に、ラムレスさんが気づく。
「ふふ、大丈夫ですよ。この魔晶石に一定の魔力を流さない限りは、爆発しない仕組みになっているようです」
「リドルの魔法の触媒である指輪は全て回収しているし、安心していいよ」
「コースケの魔力量なら絶対に暴発しない…安心して…」
よかった、それなら安心ーーん?今なんか、最後にちょっと余計な煽りみたいなもの入りませんでしたか?レイアさん??




