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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL CAN WAIT
71/301

66:青春emotional

 初戦の日はあっという間だった。順番的に私達が()()()()()()()()()()()コンビだったし。というわけで、私はアリス服、メメメスはピンクのフリフリ衣装を着てスタンバイ中。


「なんか私たちイロモノってかんじだね」

「……否定できねぇ」


 渡されたスケジュールには、マイクパフォーマンスタイムがあると書いてある。


「メメメス、任せていいこれ?」

「おう、私はこういうの得意だぜ!」


 さすがメメメス、頼りになる!


『青コーナーより、DEATH(デス)()GIRL(ガール)()DEATH(デス)入場です!』


 入場音楽――――! なにこれ超かっこいいんだけど! バキバキに速くて荒々しくも美しく連続して叩きつけられる金属的な音がハートを震わせ…………ああ、もうなんかよくわかんないけど魂にくる!


「おい、いくぞ?」

「え、あ、うん!」


 開会式の時より観客が多い……。なんか照明も明るい気がするし。


『それでは赤コーナーより傷ついた青春(バラッバラのローズ)の入場です!』


 モニターに表示される、コンビ名。うわぁ……傷ついた青春って書いてそう読むんだ。でも入場曲は渋い! うん、クールだよ!


「おい、あいつの相方ヤバそうだぞ」

「うわ、すご」


 右腕と右目のないルアンと一緒に入場してきたのは、全身ムキムキの女の人。おそろいのタンクトップに短パンと言う衣装のせいで、力強さがよく見える。うん、ちょっと……ストイックな雰囲気出し過ぎじゃないかな、傷ついた青春(バラッバラのローズ)……。


「あの筋肉、普通じゃねぇな」

「私の腰より腕太いよ……」


 全員がリングに揃うと、メイドさんがマイクを配る。え! コンビで一本じゃなくて二人分あるの!


『さぁ! 両選手、その覚悟を見せてくれ!』

「あ――」

「最初に言っておく」


 なにか言いかけたメメメスにかぶせるように、ルアンが口を開く。むむ、ストイックそうに見えてなかなかやり手なのかも……!


「なくした部位を別物で補っているような弱虫に、私が負けることはない」

「てめぇ!」


 メメメスが感情的になって、しばらくして理解した。なくした部位を別物でって、私の腕とかのこと言われてるのね。


「真の強者とは、己の力だけで勝負するもの。そんなガラクタを身につけて、失ったことをごまかしている小娘なんて所詮――」

「が、ガラクタ!」


 あれ、今度は私が……怒ってる。


「ソドム、待て!」


 メメメス、なんで止めるの? 私怒ってるんだよ? 怒ってるんだよ!


「だって! ガラクタだって!」


 私の大事な腕はガラクタなんかじゃない! これは、博士がっ……! 博士が私のために! 私のためにっ!


「ふん、しつけがなっていないな」

「おい、ソドム! 今殴ったら反則負けになるぞ!」

「ふーっ! ふーっ!」

 

 そうだねメメメス、私達は負けちゃいけないもんね、でもごめんね、今ごめんねが言えない。


「ルアンって言ったよな、おまえ」

「ああ、そうだな。で、おまえは誰だ? ここはお遊戯を見せる場所じゃないぞ?」

「心配すんな筋肉バカ、これは私の戦闘服だぜ! 覚えとけ、私がメメメスだ!」

「随分とかわいこぶった戦闘服もあったものだな。おまえには鏡の前がお似合いだ」


 メメメス、言い負けてる? あれ、私のマイクどこ?


「はっ! うるせぇやつだぜ。教えてやるよ、女の子にとってのk()a()w()a()i()i()がどれだけ強いかってのをよ!」


 ドカン。メメメスの言葉で、本当にドカンと会場が沸いた。え、なんでみんな感情的になってるの?


「て、てめぇ!」


 そして今度はルアンが、感情的になった。あれ、私……だったよね、感情的になってたの? あれ?

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