65:ゴモラ69
トーナメントの開催まであと一週間。私達は会場の控室にいた。
「開会式……か」
「なんか変な感じだな。私達の街ではずっとあったから」
メメメスの言う通り、私達の街の暴力的地下遊戯はどこかしらで毎日開催されていた。だから開会式なんてない。
『ゴモラ69の皆さんこんにちは! いよいよ、第四十五回暴力的地下遊戯開会式が始まります! 今回もよりすぐりの選手が登場しますよ!』
ここ、ゴモラ69っていうんだ。
「ここの住人は他にゴモラシティがあることを知ってるんだな」
そっか、わざわざ69って言うってそういうことだね。私達は……番号ついていることすら知らなかったもんね。
『今回注目の選手は、Sリーグの悲劇から生き残ったゴモラ67出身――――』
ゴモラ67……え、それって私達。
「ソドム-Yさん、メメメスさん、入場してください」
「あ、え? はい!」
メイドさんに言われるままに廊下を走り、リングのある会場へと入る。ドッと地鳴りのように聞こえたのは、席を埋める観客達の声と声と声。
『ゴモラ23出身のSリーグ選手スカーレットを殺害、その損傷を金属で補った不屈の戦士、ソドム-Y!』
「え、あ、はい!」
うわ、なんか返事しちゃった。私の声なんて歓声で聞こえないだろうけど。
『そしてその相棒、メメメス!』
「おい、私の紹介適当じゃね?」
確かに。
『二人合わせて、DEATH・GIRL・DEATH!』
「誰だよこんなコンビ名つけたの。センスなさすぎるぜ」
多分、ラヴちゃんじゃないかな。(デスガールですぅ! 的な。)
「そういえばこっちはこういう時間が金になんねぇんだよな」
「うん、ファイトマネーと勝った時の賞金だけみたい」
愛を込めて金を放り投げる一分間……とかないんだよね。まぁ私あれ不得意だったし……でも、メメメスは大得意だったからなぁ……。
『さて、お次に紹介いたしますのは――――』
ボーッとしていたら、メイドさんが走ってきて私達に「もう退場してください」と言う。あ、そっか順番に紹介していくのか。
その後、出場選手がどんどん紹介されていき、最後に登場した選手がインタビューを受けていた。うん、私達って注目の選手って言われただけなんだね……。
「初戦はクリティカル・ジョニーさんじゃねぇんだな」
「うん、なんか怖そうな人だったね」
相方を連れてこず、一人で開会式に出ていた腕と目が一個づつ無い女の人。髪を短く切り、すごく動きやすそうな服装という驚くほどストイックだったその人の名前は、ルアン。コンビ名は確か、バラッバラのローズ……。(あれ、本当にストイックなのかな?)




