64:ブラックジョーク
それから私達はたくさん話した。全然進まない、わけのわからない話を。(多分わけがわからなくなってたのは、私だけだけど。)
「ラヴさん……じゃなくてラヴちゃんはいいやつなんだな」
「うん、私の精神汚染の対策をいろいろしてくれてるんだって」
「そっか。……落ち着いたか少しは?」
話している間に私はちょっと暴れて、部屋をちょっと壊した。でも、なんとなく理解できた。私は暴れてしまったんじゃなくて、暴れることができるようになったってこと。
「ごめんなさい」
「まぁ、謝るな……と言いたいけど、謝っていいぜ。おまえ止めるの結構痛かったからな」
「ご、ごめんね……」
「そうだな。おまえと私の関係なんだ。ごめんなさいじゃなくて、ごめんねでいいぜ」
友達……だもんね。と言いたかったけど声にはできなかった。
「なぁソドム、私を信用してるか?」
「うん。でもねメメメスを信じてる自分が信用できない……あれ、これってメメメスを信じてないってことになっちゃうのかな」
「いや、そのままだと思うぜ」
なんでメメメスは私のことを、あんなにも簡単……じゃなくて真っ直ぐに友達だって言い切れたんだろう。(羨ましい。そして今の私は、決してメメメスを馬鹿にしているわけではない。)
「精神汚染はつらいか?」
「わかんない。今日みたいになっちゃったの、はじめてだし……」
「そっか、そういうのすごくつらそうだな。自分で自分がわかんねぇ……わけだもんな」
ラヴちゃんにも似たようなこと言われた気がするけど、なんだっけ。
「暴れるとスッキリするか?」
「うん。する」
「なるほどな、モヤモヤする時エッチなことするとすっきりするのと一緒か」
「エッチ……」
メメメスは少し間を開けて、顔を真っ赤にした。
「い、今のはなしでたのむぜ」
「うひひ、そうだね。でも私、もうそういうことする場所残ってないよ?」
私の右足からお腹の下の方は金属製。だから、そういう用途の部位はないからね。
「さすがにそれはブラックジョークきつすぎるぜ」
「…………そ、そっかな」
言われてみると確かに…………よし、この話は他の人にはしないでおこう。




