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ソドム・パラノイア  作者: Y
heaven can wait
27/301

26:ナチュラル

「メメメスちゃんで、マイラブリー夢かわいいアイスクリームでした! さぁ! 愛を込めて金を(ラブ・ユー・)放り投げる一分間(マネー・タイム)だ! 愛を込めて金を投げろ投げろ! 支払額は愛情の深さだぁ!」


 お金で愛は買えないと思うんですけど……ってまぁ、実況につっこんでもしかたないか。


「さぁて()()()()()、ソドムちゃんのマイクパフォーマンスタイムだっ! ソドムちゃん、メメメスちゃんに言いたいことはあるか!」


 え? は? えっ、いきなりマイク渡されても!


「あっ、えっと、その」


 メメメスにはどんどんお金が振り込まれていく。一方私は、ゼロ。誰一人、振り込んでくれません。え、本当に? 私のファンってもう一人もいないの?


「えっと……」


 ああ、あと十五秒……ヤバイ! なんか気の利いたこと言わないと!

 

「め、メメメス! おまえの女子力下げてやるからな!」

「…………」


 え、え、メメメス無反応? なんか言ってよ! っていうかこっち見て! え、あと五秒。


『黙れブス』¥10,000-


 マイクパフォーマンスの結果、私は¥10,000-を手に入れた。わざわざ私に文句を言うために振り込まれた、悪意ある¥10,000-を。メメメスの稼ぎは……うわ、狂姫(きょうき)さんほどじゃないけどエグい……。


「さぁて次は殺害同意ボタンだ! 二人ともこの試合になにをかけるか決めてくれぇ!」


 殺害同意ボタンは押さない。博士と約束したから。ああ、なんか()()()()のこと思い出してイライラしてきた。


「今日も押さないんですか?」


 ボソリと呟く声、きっとこれはマイクに拾われてはいない。挑発、挑発、私への挑発だな! ふふふ、でもねメメメス、今日の私は冷静だからその手にはのらないよ!


「殺害同意はなし! いくぜみんな、レギュレーションタイムだっ!」


『ソドムは防御禁止、防御したら電流でよろしく』¥434,900-

『ソドムは目を開けてはいけない。ルール厳守できない場合は試合前に眼球摘出』¥226,000-

『負けたら両腕切断。適用はソドムのみ』¥57,200-


 私に不利なルールが並ぶのは予測していたけど、実際見るとなかなか気分が悪い。よくこんなひどいこと言うためだけに、そんな大金払えるね……。(レギュレーションを()()()()()()()()()()()()とする人が多いって話、本当だね。)


「なかなか熱いレギュレーションタイムだ! さぁ! 選手たちよ、自らルールを選べっ! 君たちがルールを決めるんだっ!」


 実況の人、頭おかしいのかな?


「さぁ! 答えろソドムちゃん! みんな君のためにルールを考えてくれたんだ! 最高の解答、待ってるぜぇ!」


 はぁ、やっぱりレギュレーションを()()()()()()()()()()()()()()()()()()か……。ことごとくメメメスに有利な展開……。


「えっと、両腕切断。これは絶対に嫌、大事なものだから」

 

 あっっっっっっっっっっっっったりまえだ。博士のくれた腕をおまえたちに奪われるなんて、絶対に、絶対に嫌。


『腕しか価値の無いやつがなんか言ってて草』

『大事な物アピールウザ』

『だ ま れ ア リ ス モ ド キ』


 モニターに並ぶ、私への罵詈雑言。ねぇ、罵詈雑言にしても罵詈雑言すぎない?


「目を開けてはいけない? このルールも嫌。私は勝ちに来てるの!」


 はぁ、ムカつく。ムカつく、ムカつく。


『勝てる宣言キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』

『そもそもソドムがメメメスと戦うっておかしくない? いくら払ったの?』

『なぁみんな? ソドムビビって漏らしてね?』

『ほんとだクセェ! クセェ!』

『俺は前から思ってた。ソドムって、ナチュラル臭そう』

『ナチュラル臭そう』

『NATURALKUSASOU』

『ナチュラル臭そう、わかる』

『臭そう。ナチュラルに。つまりナチュラル臭そう』

『ナチュラルクサソドムwwwwwwwwww』


 漏らしてないよ! 臭くないよ! なんでちょっとナチュラル臭そう流行ってるの! っていうかクサソドムってなに! ああああ! もう!


「最後の条件! これはいいよ! 防御なしでやってやる!」


 流れるように出続けていたモニターのメッセージ(暴言)が、一瞬、止まる。よし! 今のはナイスマイクパフォーマンスだ!(勢いで言っちゃったってのは否めないけど。)


『マ? 自分が臭すぎて頭おかしくなった?』

『キレすぎwwwwナチュラル臭そうwwwwww』


 ふふ、でもこれは我ながら良い判断、どうせメメメスは前の試合と同じくこのルールを拒否する! 格下の私がこんな条件を呑んでいるのを許しちゃったら、ファン減っちゃうでしょ? ほら、メメメス! マイクあげるから前みたいにかわい子ぶって私を気遣うふりして、自分のポイント稼ぎなよ! あの二割が手元に入るのかぁ、うひひ、博士にすごくいいカメラ買ってあげられ――――。


「じゃあその条件で行きましょう! せっかくプレゼントしてもらえた優しいルール……大切にしますね。だって私、今日勝ちに来てますから! あ、他のルールも拒否されちゃいましたけど、私、全部承認します!」


 あ、あれ? え、ええ、え! まって! メイドさんその()()()()まった! まった! まぁ、でも()()()()()()()()()は採用されてないわけだしいっか……って全然良くなぁあああああああ――――次回! 私の運命やいかに! いや、いかにじゃないよ!


「あ、あとソドムさん……こんな事言うのなんですけどお風呂入ったほうがいいですよ?」

「入ってるよ!」

「えっ、じゃあナチュ……」


 だあああああああ! メメメス! ぶっ倒す!

 

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