27:ブリッツクリーグ・ハード・バップ
さあさあ、ゴングとともに最悪の条件での勝負が始まりましたよ! ああ、なんでレギュレーションタイムなんかでかっこつけちゃったんだろ……。
「ひぎっ! ぐぇっ! がっ!」
「開始早々、メメメスちゃん見事な三連撃だ! これはそうそう避けれないぞっ!」
一つ目の「ひぎっ!」は思わず防御してしまったせいで流れた電気に。二つ目の「ぐぇっ!」はお腹に喰らった拳に。三つ目の「がっ!」は蹴飛ばされて叩きつけられた健康サンダルに。(痛みによって出る声って違うんだなぁ。)
「はぁっ、はぁっ」
防御しないって難しい! 避けるのはあり? 回避は防御に含まれますか? よし、ありみたい! よし! トレーニングどおりにいくよ私! 逆立ちして博士の手で地面を叩いて!
「おおっとぉ! クサソドムちゃんが変な動きをしながら、メメメスちゃんのかわいい顔に足を掠めたぞ! 足の速いキモい虫みたいだ! キモいぞっ! キモいぞっ!」
嫌な言い方する――! あとクサソドムじゃないから!
「昨日今日覚えたような動きされてもね」
「くぁああっ!」
脇腹あっ……メメメスの一撃重い。っていうかムカつく! 人のこと殴りながら耳元で煽るとか、ふざけてんの?
「クサソドムてんてこまいっ! メメメスちゃんに手も足も出ないぞっ! あそれ! 夢かわいい! あそれ! 夢かっこいい! あそれ! 夢キュート!」
しまった、やばい避けきれない。メメメスってこんなに速かったっけ? 速くて重い、もう最悪じゃん!
「はぁっ! はぁっ!」
「クサソドムが距離をとったっ! ああ! だが無駄だぁああああ! メメメスちゃんすごいステップで逃さないっ!」
痛い。ああ、これはナノマシンが体の中を治してくれる痛み――って速っ! メメメス速すぎっ! 避けて打たれて避けて打たれて打たれて、これじゃいつか倒される。
「うっ……」
健康サンダルをもろに背中に食らうと声、ほとんど出ないんだね……。
「ひぎいいいいっ!」
「ここで電流だっ! 防御したらだめだってわかってるのかクサソドムぅうう!」
わかってるよ……。はぁ、実況の人黙ってくれないかな?
「隙だらけ、やる気ないならそろそろ倒れてくれない?」
「がっあ」
メメメス……私にささやくとき、キャラ違いすぎ……。
「顔面ど真ん中ぁああああ、クサソドム大丈夫か! 今の倒れ方はヤバイぞっ! そして出たぁあああああ! 必殺ユメカワ・フット・スタンプ……っとこれは避けた! 避けたぞクサソドムっ! しぶとい虫みたいだっ!」
うう、痺れる……手がちゃんと動かないし……電気はだめだ……。
「クサソドム立ち上がるか! 立ち上がったぁあああああああ! さすがしぶとい! しぶといぞクサソドムシ!」
よし、私、立て、る、私頑丈、いや、これ治ってるだけ、痛み、ともなって、治って、る、だけ。ああ! くそう! さっきもらったののせいで、頭がまわらないっ!
「おおっと! どうしたことだ! メメメスちゃんの攻撃が当たらないぞっ! 変則的な動き! 気持ち悪い、気持ち悪いぞっキモソドムぅ!」
避けろ、避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ。余計な力は抜いて怖がらず、相手を見て!
「だめだぁあああああああああああ! クサソドム避けきれないっ!」
はぁ、ダメか。でも時間稼げたせいでだいぶ、だいぶ痛みが抜けてきた。そんなに当たりどころ悪くなかったし。でも――――今は意識飛んだふりして、倒れろ私。
「ここで再びユメカワ・フット・スタンプだぁああああああ! 今度は入ったぁああああああ……あ? あれ?」
「うひひ、つかまえた」
どう? メメメス。君の足首、ガッチリ掴んじゃったからね――――!
「え? うあっ! ぐっ! ちょっと、メメ……痛っ!」
「メメメスちゃん右足を掴まれたまま膝を落としてソドムちゃんの頭をタコ殴りだぁああああああああああ! これはつらいぞ! これはつらいぞっ! 早く離さないと死ぬぞっ! 地面と拳のサンドイッチラァアアアアアッシュ!」
やばい、死ぬ。死ぬ、あれ、殺害同意ボタン押してないはずだよね……。メメメス、頭な……ぐり、すぎ……これ……ほんとに、殺され……。
「ソドムちゃん思わず手を離すぅぅううう! そしてっ! 今度こそっ! 今度こそぉおおお! ユメカワ・フット・スタンプ、クリーンヒットぉ! 圧倒的ぃ! 圧倒的な実力差ぁああああああ! 三度目の正直にクサソドム、口からいろいろぶちまけだぁ! これは臭そうだ! 臭そうだぁああああ!」
お、お腹っの中が……。




