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#9 魔王は人間界に向かう
玉座の間
ラングはニールキースの前にいた。
「父上、クロより人間界での準備が整ったとの報告が上がりましたので、今より行って参ります」
ニールキースは笑った。
「あい、わかった、ラングよ吉報を待っておるぞ」
「はっ!!」
ラングはニールキースに頭を下げ、玉座の間を後にした。
「クロ、行くぞ」
ラングはクロと共に魔界と人間界を結ぶゲートへ向かった。
「ラング様、余計な者の行き来を防ぐ為に開く時間を短くします」
「そうだな、クロもそれでこちらに来てしまったのだものな」
「まぁ私は今ではこちらに来て良かったと思っております、ラング様にお仕えすることが出来ましたし」
「クロ、お前……」
「イジるの楽しいので」
「おい、聞こえてるぞ。やっぱり楽しんでやってたんだな!?」
クロは遮るように
「はい、それじゃ開けますよ」
「ぐぬぬ……」
ラングはもっと怒りたかったがゲートをくぐるために歩きだした。
ようやく人間界に行ける、その思いはラングの足取りを軽くした。