とある男の手記
明日で終わる。何もかもが俺のものになる。
なにもかもが俺の思い通りになるのだ。
これを書き記すのは今宵が最後だ。
ああ、神よ!こんなにも嬉しいことはない!
やはり俺は正しかった!俺こそが正義であったのだ!!
この俺こそが正義であり、奴等こそが悪の根元であったのだ!!
ああ、ああ、ああ!憎くてたまらなかった『あれ』は明日になれば消えるのだ!!
明日をこんなに待ち遠しいと思った日は初めてだ!
なんと良き日だろう!なんと、なんと、なんと!!
明日になればすべてが変わる!!
この月が沈めば俺は『ーーー』を手に入れられる!!
ただそれだけを待っていた!この時だけを待ちわびていた!
忌々しい『あれ』さえいなければもっと早くに終わっていたし、邪魔物も随分増えてしまった。
だがそんなことはもう問題ではない!
『ーーー』さえ俺のものになればそれで良いのだ!
準備は全て整っている。
舞台は万全だ。
目下、なんの問題もない。
あるとすれば『あれ』が俺の邪魔立てをしてくるくらいだろうか。
だがどうしたってそれは無駄な足掻きだ。なにもかもがもう手遅れなのだから!
『あれ』の絶望にそまる顔が楽しみでしかたがない。
俺はそれを高見で眺めるとしよう。
俺が正しいのだ。俺は何も間違ってなどいない。
なぜなら俺が『正義』であり、『英雄』なのだから。
明日は満月だ。それも、一際大きな月が昇る夜だ。
明日は『英雄』が世界を救うに相応しい、目が醒めるような満月になることだろう。
明日になれば、邪魔な『英雄』は消えるのだ。
この世界に『英雄』は二人も必要ない。
それでは邪魔な『英雄』よ。
明日はせいぜい俺のために死んでくれ。




