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ぼく吸血鬼×サキュバスになる  作者: ぴよーこ
第五章 平穏と不穏
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62話

期末テストを終え、今日はテスト返却日である。正直、ものすごく心配だ。その理由は、全科目中、赤点を3つ以上取ると補習を受けなければいけなく、補習は冬休みがつぶれてしまい、ゲームができなくなるためだ。その補習を受けないと留年が確定する。

 ぼくは、テスト1週間前から勉強をし、前日では徹夜で勉強をしていた。だから、ある程度勉強していたので、テストに自信はあった。しかし、期末テスト当日の記憶がまったくない。


(もしかして・・・テスト中に爆睡していたとか・・・)


 記憶がないということは、記憶喪失になったというわけではなく、寝ていたのだろうと考えている。うぅ・・・。ぼくの冬休みが・・・。


 つまり、テストを白紙で出してしまったのだろうと予想し、ぼくの待ちに待っていた冬休みは補習によってなくなるのだろう。夏休みよりかは短い休みだけど、ゲームをする時間が補習にかわるなんて・・・悲劇だ・・・。


 ぼくは自分の席に着き、ホームルームまで30分あった。

「もこさん。元気ないですね?」

 隣には山本サクラさんがすでに着席をしていて、ぼくのことを心配してきてくれた。

「サクラさん・・・。ぼくの冬休みが・・・」

 ぼくはサクラさんにテストの出来が悪かったことを伝えると、

「大丈夫ですよ。私も補習受けますから」

彼女は笑顔でそう言った。

「え・・・?でも、サクラさんって頭いいよね・・・?」

 彼女は少し変わっているところもあるのだけど、美少女で頭もいい。そんな人が補習をするなんて何かの間違えなのではないだろうか。

「もこさんと補習したいので」

 え・・・。つまり、補習しなくてもいいのに補習するの!?

「クリスマス一緒に過ごせますね」

 彼女は不敵な笑みを浮かべ、ぼくの手を握りしめた。

「そ、そうだね・・・。サクラさんは彼氏いないの?」

 クリスマスは彼氏と過ごす人が多いだろう。彼女はぼくとクリスマスを過ごしたいみたいなので、誰とも付き合っていないと思ったのだが、聞いてみた。

「今はいないです・・・朝比奈・・・奪ってみせますが」

 朝比奈ってタイチのことだよね・・・。奪うって、もしかして・・・

「タイチのことが好きなの?」

 肯定されたらぼくとサクラさんはライバルの関係になってしまうのかな・・・。サクラさんは頭もいいし、顔も可愛いし、ぼくが勝てる要素はない。でも、今はぼくがタイチと付き合っているのだから、有利だよね・・・?


「いえ。私が好きなのは・・・です・・・」

「ん?誰・・・?」


「もこ・・・さんです」

 え。ぼく女の子だよ?あ、でも昔は男だったから、もしかして昔のぼくが好きだったとか?!でも、ぼくはこの学校に来て初めてサクラさんを見たから男のときに会っていないはず・・・。どういうことなんだろう。

「ぼく女ですよ・・・?」

「はい。知っています」

「女の人が好きなの・・・?」

「いえ。もこさんが好きなんです」

「男のぼく・・・?」

「女のもこさんですよ?男のもこさんもいるんですか!?」

「うん・・・。あ、いや・・・。いないですけど・・・」

 危なく昔男だったことを言ってしまいそうになった。

「でも・・・。ぼくは今朝比奈さんと付き合っているから・・・」

「知っています。なので、奪っちゃいます♪」

「ああ・・・そういうことね・・・」

 はじめに奪うと聞いて、タイチをぼくから奪おうとしているのかと思っていたのだけど、どうやらぼくを奪うということだったらしい。

「でも・・・ぼくは、女だから・・・あっ」

 いや。確かに今は女かもしれない。でも、昔は男。てことは、女の子と付き合うのはありなのかな・・・?


 目の前にいるサクラさんを見つめると、とても可愛らしい。こんな女性がぼくに猛烈アタックをしてくるのだから、興味を示してしまう。


ごくりっ


(って、何がごくりっだ!浮気じゃないかああ)


 ぼくはタイチと付き合っていて、タイチはぼくのためにキス以上のことは我慢してもらっている。そんな優しいタイチを見捨てて他の女の子と付き合うのはよくない。でも・・・ぼくは、男心をいつの間にか忘れていたのかもしれない・・・。女の子と付き合うことだって出来たはずなのに。


 タイチと付き合うことは決して嫌ではない。でも、キス以上のことをするのは抵抗がある。その相手が女の子だったらぼくはできるだろう。


 もう一度サクラさんを見ると、


ドキドキ


こんな可愛い子がぼくのことを好きだということに意識してしまう。

「もこさん。顔が真っ赤ですけど、大丈夫ですか?」

 彼女がぼくのおでこと自分のおでこをくっつけて体温を測ってきた。

「熱はないみたいですね」

「ち、近いよ!サクラさん!!」

 ぼくは彼女から離れると、サクラさんがきょとんとした顔でクエッションマークを浮かべている。


(可愛い・・・)


 もしも、ぼくが男だったらサクラさんと付き合っていたのかな?でも、サクラさんが好きなのは女のぼく。男のぼくを好きになることはないよね・・・。


(なんか・・・複雑・・・)


 ぼくは男に戻りたいとは思っていない。アツシとユキアにはすべてのことを話、昔の関係を取り戻せたので。まあ、2人狙われているような気がするけど・・・。

「もこさん・・・。抱き着いていいですか?」

 彼女はぼくが答える前に抱き着いてきた。

「サクラさん・・・。ホームルーム始まるから・・・」

 あれから何分経っているか見ていなかったので、時計を見ると、40分過ぎていた。

(あれ・・・?時計壊れている・・・?)

40分過ぎているということは既にホームルームは始まって・・・

「神崎。あとで職員室な」

 ぼくとサクラさんの前にはいつのまにか教師が立っていて、ぼくだけ呼び出しをされた。


 その後、ぼくだけ呼び出されたのだけど、サクラさんも一緒に職員室に向かい、

「本当にすみませんでした!!」

 ぼくは頭を下げ謝った。毎度、逆鱗にふれてしまいすみません・・・。

「ああ、別に呼び出した理由はホームルームのことじゃないぞ?もうそんなことでいちいち呼び出さないからな・・・」


よかったぁ。怒られずに済んだ。


「喜ぶのはまだ早いぞ?お前を呼び出したのは・・・。テストについてだ」

「ふぇ・・・?」


 もしかして・・・補習の呼び出し?!そんなぁ・・・。確かに、テスト時の記憶が全科目ないからオール赤点なんだろうとは思っていたのだけど、もしかしたら、寝ぼけてすべての問題を解いていたんじゃないかという期待は少しだけしていたので落ち込む・・・。



「少し言いづらいんだが・・・。神崎。お前・・・留年だな・・・」

「・・・」

 え。補習じゃなくて留年・・・?

「ええええええええ!?先生・・・。どういうことですか・・・?」

「どうって言われてもな・・・。テストの解答があんまりにもひどかったからな・・・」

 全く記憶がないのはやはり、寝ていたのだろう・・・。つまり、全科目白紙で出していたのかな・・・。

「やっぱり・・・白紙で出したのが原因ですよね・・・?」

「いや、白紙だったら補習組に回していたんだが・・・」


 白紙よりもひどいって何?もしかして、寝ていたから解答用紙がよだれまみれになっていたとか?!

「こんな答え描いているやつ、この学校で初めてだよ」

 教師は机の上にぼくの解答用紙を出し、ぼくに見せた。


(え・・・?)


 ぼくの解答用紙には、子供の落書きのような絵が描かれていた。どうやら、お父さんとお母さん、そして子供3人が幸せそうに暮らしている絵。家庭円満に見える絵だが、どこか悲しさを感じる。


「って。こんな絵、ぼくが描くわけないでしょ!」

「・・・」

「あ。ごめんなさい。ぼく・・・こんな絵下手じゃ・・・。じゃなくて、先生。なにかの間違えなんです。補習を・・・受けさせてくれませんか・・・?」

 ぼくは涙目で先生にお願いした。うぅ・・・。ゲームできないのはもうしょうがない。でも・・・。留年だけは絶対嫌だ・・・。

「そう言われてもな・・・。全科目の先生が許可しないと。私だけの問題ではないからな」


(うぅ・・・。ぼく・・・もう1回1年生なんだ・・・)

自分の犯した過ち。こんなことになるのなら、2週間前からちゃんと勉強しておけばよかった。ごめんなさい。お母さん。お父さん。ぼく、次からはちゃんと真面目に勉強します・・・。


「そんな顔するな。まあ、なんだ。先生も他の先生に頼んでみるから」

「先生・・・」

 ぼくは先生の優しさに惚れてしまいそうだ。


「・・・これで神崎のハートは私のもの・・・ククク」

 先生が何か呟いて笑っている。正直気持ち悪いけど、今は先生を信じよう。すると、


「松山先生。あなただけずるいですよ」

 声の聞こえた方向を見ると、理科担当の金子先生がいた。ちなみに松山先生は、数学担当で、ぼくの担任の先生だ。


「金子先生。なんのことですか?」

「とぼけないでくださいよ。神崎さんを1人占めなんてよくないですよ?」

「そうですよ。松山先生。何を企んでいるんですか?」

「川上先生まで?私は別に・・・」

 ぼくたちの周りには全員の先生が集まっていた。

「松山先生。教員会議で神崎さんを留年にすると言ったのはあなたでしょう。それも、1年間長く神崎さんを教えられると言って」


 え・・・?松山先生・・・?ぼくの信頼を返してください!!


 ぼくは鋭い目つきで松山先生を睨む。

「神崎。これはだな・・・。金子先生。あんたのせいで可愛い生徒が反抗してきたじゃないか!!」

「松山先生が悪いです」

「「そうだ。そうだ」」

松山先生以外の教師は皆、松山先生の筋書きだと述べている。

「お前らだって私の意見に乗ってきたじゃねえか!!私だけが悪いのか?!」


「先生。最低です。見損ないました」

 ぼくは松山先生に止めの一言を言う。まあ、ぼくがテスト中に寝てしまったのがいけないんだけどね・・・。

「神崎。これは違うんだ。先生を信じてくれ。頼む」

「先生・・・。留年も補習も取り消しにしてくれたら・・・大好きになるかもしれません♪」

 先生にスキルの誘惑をかけてはいないが、言葉の誘惑をかけてみた。留年も補習も嫌なので。

「いや、それは・・・さすがに・・・」

「じゃあ、先生のこと嫌いになります。いいんですね?」

「わ、わかった。留年も補習もなしだ!他の先生方もそれでいいでしょうか・・・」

松山先生は他の先生たちに頭を下げお願いしている。

「松山先生の奢りで今日は焼肉ですな」

 金子先生の提案に全ての教師が頷く。

「いったいいくらかかると思っているんですか!!」

「じ~」

 ぼくは先生を見つめる。大人はケチなのは知っている。でも、ここで諦めたらぼくが留年しちゃうので頑張って見つめる。


「わかりましたよ・・・。とほほ・・・」

 松山先生もそれに納得し、ぼくの留年と補習は回避された。


(やった!)

 ぼくは嬉しくてつい喜んでしまう。しかし・・・

「私は認めません!!」

 サクラさんが反論してきた。

「サクラさん・・・。どうしたの?」

「私は・・・もこさんと補習でいちゃいちゃしたいです!!」

「山本。お前の気持ちはよくわかる。先生も神崎といちゃいちゃしたい。だが、こうするしか方法はなかったんだ・・・。すまない」

「あの。もう教室戻っていいですか?」

 ぼくにはもう関係ないことだよね・・・?教室戻ろう。


「待ってください。もこさん。私は、もこさんと補習できるようになるまで帰りませんよ?」

 はぁ・・・。もう、なんでわざわざ補習しなければいけないの・・・。

「サクラさん。補習しなければ、遊びに行けるんですよ?」

「もこさん。クリスマス、一緒にいてくれるんですか?」

「いや、それは・・・だめ・・・かな?でも別の日なら!」

クリスマスはタイチと過ごそうと思っているので、断らないとね。

「先生。もこさんを補習に・・・」

「わかった!クリスマスの昼間ならいいよ・・・もぅ」

 クリスマスにサクラさんと過ごさないとぼくは補習をさせられそうなので約束をしてしまった。夜にタイチと会えば大丈夫だよね・・・?

「夜もじゃなきゃだめです」

「うっ。でも・・・」

「だめです」

「はい・・・」


(タイチ・・・。ごめんね・・・)


クリスマスの日に彼氏を放っておいて女の子と遊ぶことになってしまったからタイチには謝ろう。タイチなら許してくれるよね・・・。


「嬉しいです。もこさん!」


 サクラさんはぼくに飛びつき抱きしめる。彼女も納得してくれたみたいなので、ぼくたちはそのまま教室に戻るのだった。って、サクラさん・・・みんな見ているから離れて~。


最近忙しく、全然投稿できていなくて申し訳ございません。

完結せずにやめることはないのでこれからもよろしくお願いします。

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