31話
ゲーム内でも海は存在した。みんなでバカンス!そんなお気楽なことは・・・今はしていない。この海、ブルーン海に潜む、ゲイソというモンスターを今、討伐に挑んでいる最中です。
「もこさん!そっちにいきましたよ!」
ぼくは誰もいないのに心の中でそんな説明をしていて、戦いに集中できていなかったようだ。そして、ゲイソの触手に捕まってしまった。このゲイソ・・・リアルではまさしくイカそのものなのだが、大きさが5mぐらいある。
「うあ・・・なにこれ・・・ぬるぬるして気持ち悪い」
ぼくの身体が触手に巻き取られ、身動きが取れない状況に。ぼくの足は強制的に地面から空中へと運ばれる。
「もこ!今助けるぞ!!」
タイチは刀でゲイソを斬りつけるのだが、ゲイソの身体はぷるぷるしていて、弾力によって弾かれる。ぼくもお姫様みたいにただ捕まっているわけにもいかない。そのため成長スキルを使い、技を出そうとする。しかし・・・
両腕、両足を触手によって拘束され、空中で大の字となっている。マールが「待っていてください」といってジェネシスの詠唱を始める・・・って!
「ちょっと、マール?!ぼくごと倒す気?!」
あきらかにゲイソよりぼくのほうがジェネシスの直撃食らうじゃないか!
ぼくの台詞によって、マールは詠唱をやめ、「これでは手も足も出せませんね」と言っている。さっきジェネシス出そうとしていたけどね・・・。
ゲイソはぼくが成長スキルによって変化し、その・・・顔が赤くなってる・・・あれ?誘惑スキル使ってないよね・・・?成長スキルってステータスが10倍になるほかに、サキュバスの効果もあるのだろうか。
ぼくの考えは正しかったらしく、ゲイソの触手がぼくの胸に巻き付いてきた。この変態イカ野郎!!!
「や、やめ・・・あんっ」
ぼくの心は男なのだけど、今は女の身体で・・・そのため、胸を揉まれたりすると、声が出てしまう。タイチとマールが見ているのに!!
「マールぅ・・・ジェネシスお願い・・・このイカに・・・ひや、んっ、むしろぼくを殺して・・・いやああああ」
ついにイカ野郎がぼくの下の部分にまで触手を伸ばしてきた。どんだけゲソいんですか・・・!!
マールにジェネシスをお願いし、ぼくは死ぬことによってこの場から離脱することを考えたのだけど、やっぱり、こんな変態はぼくがきっちり倒さなければいけない!!
トランス[吸血鬼]
ぼくの胸に巻き付かれた触手は、胸がなくなったことによって離れていった。そしてぼくのステータスは100倍に。今更許しを求めたって許さないんだからね?
ぼくはこのイカに天罰を与えようとするのだが・・・
手、足が動かない・・・
触手によって拘束された手足を自由に動かすことができない。そういえば、力は100だもんね・・・
ってピンチじゃないかあああ!!
しかし、さっきまでのイカはぼくに対して発情していたのに、今は冷めた顔をしている。そして、ぼくをポイッっと投げ捨てた。まるで、貧乳はいらないよっていっているみたいに・・・
「・・・ろす・・・殺す!!」
ぼくは激怒していた。変態野郎に捨てられたことに怒っているのではない。その態度に怒っているのだ。
「ゲイソ。お前の気持ち・・・よくわかる」
ゲイソとタイチには友情が芽生えていた。男の趣味は人それぞれだけど、女の子の前では失礼なことをしちゃだめだよ?ぼくはこのドM達をどう調理してやるか考え、料理したのだった。
ブルーン海から帰ってきて、ぼくたちは海で遊びたいねーと話し、ぼくはこのゲームをしてから初めて課金したいと思った。その理由は元値1万円の課金アイテムが1千円で売られていたからだ。しかも、そのアイテムとはゲーム内の海で遊ぶセット。つまり、水着や浮き輪、バーベキューの1人前セットなどが入っている。このゲームの発売日からちょうど一か月らしく、キャンペーンでお一人様1個限定。日本人は限定と言う言葉に弱い。それに広告として、まだまだ夏を満喫したい方と書かれていて、ぼくの夏の思い出がゲームだけなので、海で遊びたいのだ。(まあゲームの海だけど・・・)しかし、
もこ・・・だめだ!親の仕送りで課金するなんてよくない!でも・・・千円だし・・・
ぼくは天使と悪魔の囁きに悩み中。ぼくも本来なら買わないのだが、タイチとマールは買ったらしく、友達が買うとぼくも買いたくなってしまうわけで・・・
ぼくは課金することに決めた。しかし、今はまだしない。するのはお金を稼いでから!つまり、アルバイトすることを決意したのだった。
街に出て、お店の前に貼られている求人広告を見る。大体見た感じだと、自給900円が平均らしい。
(2時間だけ働かせてくれるところないかな・・・)
ぼくは1000円さえ手に入れればいいので、2時間で1800円。それだけで充分足りるのだ。しかし、アルバイトの面接で「2時間だけ死ぬ気で働きますのでよろしくお願いします!」とアピールしても即落ちだろう。
(やっぱり、アルバイトをするからには週1ぐらいで入らなきゃだめだよね・・・?)
本来なら週3以上でバイトをする人が多いだろうけど、そんなに入ったらゲームする時間がないので、ぼくは週1のバイトを探す。
(そういえば、アツシとユキアもアルバイトしていたっけ?)
ぼくは懐かしい名前を思い出す。彼らはぼくが元男のときの友達で、学校以外の時間ではアルバイトをしていたため、プライベートではあまり遊んでいない。しかし、現在でもメールのやりとりはしている。もちろん、こんな身体になったことは秘密だよ♪
(アツシはぼくの中学からの行きつけの喫茶店で働いていたね。ユキアは力仕事のアルバイトをしてたっけ?力仕事は無理だから、アツシにそこの喫茶店で働けないか聞いてみよ!!)
アツシにメールしてみる。
もこ:アツシ~
アツシ:よ!
もこ:アツシってまだ喫茶店で働いているの?
アツシ:働いているぞ!ん?お前なんで知っているんだ?
もこ:うっ。ユキアがそんなこと言ってたような言ってなかったような・・・
アツシ:まあいいか。んで、それがどうかしたのか?
もこ:実は知り合いの女の子がアルバイトを探しているのだけど、そこで働けないかな~って。
アツシ:まじで!それは助かる。店長に聞いてみるから待っててくれ!
ぼくはアツシの連絡を待つことに。ただ、メールをしてからとても肝心なことを忘れていた。
(ぼくの今の名前も・・・神崎もこじゃん・・・)
ぼくの戸籍をお父さんが知り合いに頼んで男から女に変えてくれたらしい。詳しくは聞いてないんだけどね。
ただ、名前は神崎もこ。履歴書に書くのも神崎もこと書かなければいけない。ということは・・・アツシにばれる可能性が・・・
ぼくは、知り合いの女の子がぼくだとばれない言い訳を考えながらアツシからのメールを待つのだった。




