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 髪型のアレンジはミーヤに任せたので問題ない。綺麗に、纏めてくれたので満足だ。

「お嬢様、最後の仕上げです」

 そう言った彼女の手には、小瓶がある。あの中の液体は、香水だ。

 香水と言えば、貴婦人や淑女が夜会で殿方を惑わすために付け入るとカロリーナが言っていた。だけれど、香りによっては纏っている人に合わない物もあると聞いた。

 そのため、その中身の匂いが自身に合わないのでないかと思うと、顔が青くなってくる。

 初めての香水だから、どうしても人任せで選んでもらったの物だ。私のことより私を知り尽くしているであろう侍女たち間違えがあるわけではないと、信じたいが、もしこの香りをユーゴが気に入らなかったらと思うと。

「嫌よ!!そんな物、身に纏いたくないわ!!」

 金切り声とまではいかないが、少しいつもより高い声を出して抗議する。

 そして、声を出すと同時に行動にうつす。部屋から逃げようと、椅子から立ち上がろうとすれば「お嬢様、これも淑女嗜みです」と、肩をガシッと押さえ付けられ、そのまま椅子から離れることが出来ない。

「そう言われても無理なものは無理!!お母様だって、香水なんてしてないでしょ」

「奥様も社交場に行かれる時は、纏っています」

「そんなの知らないわ!まだ、デビューしてないのだから」

「そのようなこと言いますが、お嬢様のデビューは今月ではありませんか!」

「聞いてないわ!そんなのと。勝手に決めないでよ」

 勝手にデビューを決められているとは、思いもよらなかった。だから、最近母にドレスを新調するように言われたのか。

「背が少し伸びたから、はしたない格好しないで」と、怒られたから仕方なく何着か作るようにしたが、まさかこのドレスも新調した物なのか。あまりにも、ドレスの型を気にしていなかった罰なのか、新しい物との区別がつかない。

 お茶会も久しく参加していないから。

 でも、よくよく考えるとこの色のドレスはあまり持っていなかったはずだから、新しい物なのか。

「もう、私を着飾る無駄遣いは止めて」

「お嬢様は、未来の侯爵夫人なのですから、それくらはしてください」

 何処でもそれだ。未来の侯爵夫人。その言葉が私は好きじゃない。

 ユーゴのことは好きだけれど、その爵位は好きになれない。

 出来ればこのままがいい。

 そんな我が儘通らないのはわかっている。

 けれど…っと考えていると、プシュと音が聞こえ爽やかな香りと細かい飛沫のようなものが飛び散っている。

「ミーナ、いまかけたわね!」

「香水は、直につけるのではなく被るようにしていただく方がより香りを纏えますので。それに、この香り素敵ではないですか」

 素敵とかではない。一度、纏ってしまうと時間が経たない限り消えないと言われている。

 もう、この匂いはあまり刺激的ではないからいい。でも、ユーゴはこの香りが好きだろうか。

 纏った物は消せないためこのまま出掛けることにした。

「お時間ですので、お出掛けしますよ」

 この侍女ミーナに敵うものはいないのか。

 主人である私にすら、強気なのだから。

 引っ張られるように借り部屋の建物から出ると、あら不思議。

 ユーゴが外にいた。

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