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お出掛け前の準備

 店から出ると「お迎えにまえりたした。屋敷に戻る時間はありませんので、近くに部屋を借りたので、そこへの移動をお願いします」と言われ、ミーナに連れ去られる。

 まだ、店には兄とミーナはいるとのことだ。

 何故か、ミーナはその確認も怠らなかった。というより、兄がここにいることを把握しているのかが、知りたい。

 連れてこられた部屋は、質素だ。華美な装飾などない本当に寝泊まりするだけの部屋だった。

 生活感もないので、本当に私の着替えのために借りただけみたいだ。

 何だか申し訳ないけれど、これからユーゴと出掛けるのだから気合いを入れなくては!と、自身の頬を叩いてみる。

 兄がよく気合いを入れるとかで、頬を叩いているのを思い出してやってみたら、見事に驚かれた。

「お嬢様、何をしているのですか!これから、着飾るのに自らを痛め付けるとは」

「えっ、これは兄様がしていた気合いの入れ方で」

「ケイ様の真似などしないでください!!あの方とお嬢様は作りが違うのです!!!」

 まるで、母が迫ってくるのではないかというくらいで、迫られたので大人しく頷くしか出来なかった。

 そして、サラッと兄を貶していたことには目を瞑ろう。触れたら、また何か言われそうだから。

「時間がないのではやくしましょう。では、まずその服を僭越ながら脱がせていただきます」

 いつもは、ミーナではない他の侍女がしてくれるが、今日はミーナだけのようだ。

 これから、出掛けるのだから屋敷の者がぞろぞろいても仕方ないのか。

 いつものように、優しく脱がされるのかと思ったら早さに重きを置いたのか、丁寧ではない。

「ちょっと、ミーナ!?」

「早くしてください。風邪を召されます。誰かお嬢様に濡れタオルを」

 浴槽がある部屋から出てきた侍女の顔を見てホッとした。何故なら、彼女はいつも私の湯浴みの手伝いをしてくれる者だったから。

「いまから、身体を拭わせてもらいますね。湯を張りたかったのですが、時間がないということで申し訳ありません」

 申し訳なさそうに言われると、此方もこんな日にアルバイトをしてて申し訳ない。

「ほら、お嬢様。コレット、時間がないのですがテキパキとお願いします」

 ミーナが怖い。どうしてだ。

 コレットは、「わかりました」と満面な笑みを浮かべているが、どこに笑みを浮かべる要素があったのだろう。教えて欲しい。

 言われた通りにササッと拭われて、下着を身に付け、着飾られた。

 普段着だと思っていたら、お茶会に出向くようの服装で、ちょっとだけお洒落した気分になる。

「お嬢様、素敵です。これで、ハミルトン様も惚れ直します」

 鏡の前でくるりと回ってみると、不規則な裾が揺れて可愛い。

 ドレスの型は満足なのだが、薄桃色だと子どもっぽく見られるのではないかと心配になってしまう。

 それを見抜かれたのか「その色がお嬢様の可愛らしさを引き立ててくれますので、心配しないでください」と言われて、椅子に座るように促され髪をセットしてもっらた。

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