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 休憩室という名のジェード殿下たちの側近のみが使用を許された部屋にアンを案内した。

 ここなら、シルビア王女やその取り巻き立ちに合わずに済む。アンが王宮に来ること自体、本当はあまりして欲しくない行為であるのだから。

 あの方がいなくなれば、安心して王宮を歩けるというのに。

 不思議そうに部屋を見渡しているが、必要最低限の物しか置いていないからだろう。

「さあ、お姫様。お座りください」

 イスを引き、アンを座らせる。顔を真っ赤にしながら抗議してくるが、それが可愛らしい。

「アンは僕だけのお姫様だから」その言葉をふざけていると解釈されるのは、困るが家で同じことを言われていると告げられると何だか複雑な気分だ。

 それでも、「…家族以外には言われていないよね?」と大事なところだけは聞く。もしも、他の男で同じことを言っている奴がいたら、僕はそいつのことを許せない。そして、社会的に抹消したいと思ってしまう。

 それにしても、紙袋を大事そうに抱えているアンに対して疑問が浮かぶ。いつの間に、グラッチェなどに足を運んでいたのかと。

 多分、ケイあたりに連れていかれたのだろうと思いながら聞いてみれば、「さ最近、お兄様に連れていかれたの。屋敷の中ばかりではなくて外出しろと言われて」と返答を受けるが、何処か違和感がある。

 ケイが無理にアンを外に出すはずもない。それなのに、何故アンは嘘を吐くのだ。

 アンに嘘を吐かれたという事実を認めたくないため「ケイなら言いそうですね」とだけ返す。

 嘘を吐かれたことに落ち込みながらも、何かをしていなくては気がまぎれない。これから、アンが持ってきた物を食べるのなら、飲み物が必要だろう。

 断りを入れ、廊下に迎えれば丁度いいところに顔見知りの侍女が歩いてきた。彼女になら、頼んでも大丈夫だろうと思いティーカップをふたつ用意してもらえるように頼む。

 直ぐに用意してもらえるだろが、アンのために自身で振舞ってあげたいという欲に駆られ、彼女と途中までだがティーセットの準備をする。

 部屋に戻れば、自由に動き回るアンが目に入り、先程までの感情が徐々に失われ可愛いという感情が溢れだしそうだ。

「アン、ここを気に入ってくれましたか」

「ああ、…はい」

 笑いを耐えながらも。運んでもらったティーセットを受け取る。手が震えて、落としたら格好がつかないからと慎重に優雅に見えるようにする。

 あの執務室で、何度もお茶の準備をさせられているから手元が狂うことは、まずない。

 それにしても、運ぶことだけ頼んだというのに、何故まだ侍女はこの空間にいるのだ。言葉にはしないが「早く退出しろ」と、視線で訴えた。

 程なくして、退出するが一瞬だがアンを睨んだ。それが、どうしても許せない。

 女性の態度に敏感なアンのことだ。とても、気にしているに違いない。

 安心させるつもりで、後ろから抱きしめる。

「僕のお姫様は、少しお転婆の様だから大人しく待っていてくれるかな?」

 僕の温もり感じて、安心して欲しい。君には僕がついていると。

 慣れないことをしたせいか、アンが床に座り込みそうになっているため、ぐっと腕に力を入れ引き寄せる。

「腰が抜けてしまったかな」

 支えているためか、耳元で話し掛ければくすぐったいのか身を捩る。その行動がとても可愛らしい。

 このまま可愛いアンを堪能するのもいいが、あまりふざけすぎると機嫌を損ねてしまう可能性もある。

 そのため、抱き上げ近くにあったイスまで運び座らせれば、恥ずかしそうに顔を真っ赤に染め上げている。

 これでは、此方まで恥ずかしく感じてしまうため、気を逸らそうと「すぐに、お茶を淹れるから待っていて」と声を掛け、お茶の準備をはじめることにした。


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