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事故死したので異世界に転移しますが、管理者のミスなのでアメリカの店ごと持っていくことにしました  作者: だい


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第23話:違いと、選ばれなかった先

森の夜は、静かすぎるほど静かだった。


 風が止まると、葉擦れの音すら消え、

 残るのは、自分たちの呼吸音だけになる。


 ブンペイとニナは子供を送り届けに行った。

 

 残ったのは、サン、シキ、ミケ、ゴロネ。


 四人は、自然に森を進んでいった

 誰かが号令を出したわけでもない。

 

 ただ、それぞれが「そうするべきだ」

 と盗賊を探していた。


 先頭はミケだ

 

 地面に残る僅かな乱れ、

 折れた枝や踏み荒らされた草

 

 人間なら見逃す痕跡を、

 彼女は無言で拾っていく


「……こっち」

「新しい」


 ミケの声は低く、普段の軽さはない


「いるわ。多いわね」

 シキが集音器で声を拾った


 サンは少し後ろで鼻を動かした

 血と汗、そして獣脂の匂い


「人数、結構いますね」


「二十……それ以上かも」


 ゴロネはサーモカメラを覗いたまま、

 小さく息を吐いた


「焚き火、三つ」

「見張り、交代してる」


 自然と全員が立ち止まる

 四人で攻めるには多すぎる


「……知らせるべきだね」


 ゴロネの言葉に、シキも頷いた


「正面衝突は無駄よ」

「子供は、もう確保できてる」


 そのはずだった


 焚き火の向こう、

 闇の中から声が聞こえた


「重いな」

「もう死んでるだろ、それ」


 引きずる音と何かを投げ捨てる音


 サンの呼吸が、一瞬止まった


「……っ」


 考える前に、体が動いていた

 銃声が、森を引き裂く


 轟音が響いた

 正確で、躊躇のない連射を浴びせる


「――サン!」


 止める暇はなかった


 シキが前に出た

 距離を詰め、ショットガンを撃つ


 叫び声、混乱

 盗賊たちが状況を理解する前に、

 理不尽な火力が叩き込まれる。


 ミケは酸っぱい顔でいる


「……ニナ、絶対怒る」

「でも……」


 足は止まらない、仲間が戦っている


 ゴロネは一瞬、ためらったが

 アジトの奥へ向かう


「……中を確かめなきゃ」


 アジトの内部は、ひどかった

 血の染み、破れた布

 乱雑に放り出された刃物


 最初に見つけたのは、

 子供の亡骸だった。


 喉を裂かれている

 獣人で、尻尾が無くなっている


「……」


 ゴロネの指が、白くなる

 

 そのとき、遅れて合流したブンペイは、

 その光景を見て、短く息を吐いた


 さらに奥に檻

 

 生きている子供たちがいた

 声も出せず、怯えた目で見てくる


「……大丈夫だ」


 思わず声が、怒りで震えていた

 

 その時、盗賊が飛び込んでくる


 拳銃を抜く、言葉は必要がない

 話す価値もない相手だ



 ゴロネも動いた

 拳銃、ナイフで逃げ道を潰す


 最後に残ったのは、女だ


 ゴロネは、その顔を知っていた

 村で、同じように生きていた女


「お願い……」

「私、やりたくなかった」


 村を出てからの話、

 盗賊に捕まったこと、

 盗賊達の相手をさせられていたこと


 ゴロネは黙って聞いていた

 そして、女の腰に気が付く


 結ばれた毛皮だ


「……それ、何」


「その、売れると思って」

「珍しいユキヒョウだったから」

「遊んでたら、死んだから」


 ゴロネは黙って銃を構える

 銃声が一つ響いた


 ゴロネが呟く


「……こいつらと」

「私たちは、何が違ったんだろう」


 シキは即答した

「運ね」


 ミケは小さく言う

「ブンペイに会えた」


 サンは低く言った

「こいつとは全部が違う」

「子供を殺す奴は、仲間も殺す奴」


「だから……死んでいい奴」


 子供の亡骸は収納した


 盗賊の死体は焼いた

 ……首だけを残す、はい?


「……マジですか?」


 ブンペイは顔色を失った。


「普通です」


 シキは淡々と言う

 サンも、ゴロネも、同意のようだ


 収納からバンをだしフロウムへ


 フロウムそばで車を降り、歩く。

 子供は、多少は落ち着いているか。

 

 二十の首を棒に括ったサンが、

 最後に後ろから歩いている。


 フロウムに入った瞬間、大騒ぎになった。


 そこへ、ニナが来る。


「……何をしているんですか」


 静かな声、怒りを抑えた声だ。


 サンとシキは黙る

 ゴロネも視線を逸らす。


 ブンペイは、ビビりながら言い訳する


「あの、説明する。そのな…」


 ニナは深く息を吸い、短く言った。


「……後で。全員から聞きます」


 その場には、ミケはいない

 逃げたな、あいつ。

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