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事故死したので異世界に転移しますが、管理者のミスなのでアメリカの店ごと持っていくことにしました  作者: だい


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第22話:森の捜索と、早い結末

朝のフロウムは、相変わらず人が多い。


 市場の匂いと、焼き肉の煙

 そして子供の笑い声。


 昨日の俺たちは、その中で

 指輪だの泡だのやってた。


 でも今日は空気が違うな。


 掲示板の紙、消えた子供、森の方。


 ニナが、紙を押さえて言う。


「……行きましょう」


「うん」


 俺は頷く

 怒りとか、正義とは違う。


 ただなあ、見ちゃった以上、

 放っとけないやつなんだよね。


 揺らぎに戻ると、みんなもう準備してた。


 ミケは靴紐を結び、

 サンはリュックを背負い、

 ゴロネは銃を抱え、

 シキは無言で耳を動かす。


「……で、作戦ね」


 俺が言うと、ニナが一歩前に出た。


「役割確認します」


 いつもの真面目声、でも目線が強い。


「ドローンでの捜索、ブンペイと私」


「サーモカメラでの捜索、ゴロネ」


「指向性集音器での捜索、シキ」


「先行して双眼鏡での捜索、ミケ」


「医療キットは各自リュックに」


 ニナが言い切って俺を見た。


「よし」


「まずは、森の縁まで行く」


「森に入ったら、樹上から探そう」


「無理に深追いはしないでいい」


 ニナが小さく頷いた


 サンが言う


「……見つけたら?」


「保護する」


 俺はそう言いきった


「まず子供、戦闘は後だと覚えておいて」


「路地の男が“川じゃなく森”って」


「はい、まず森からにします」


 ニナが即断する


 

 揺らぎを出て森の縁に出る


 土の道、草の匂い、鳥の声

 昨日なら、いいなって思えたがなあ。


「ここで一回、捜索するよ」


 収納からドローンを地面に置く

 プロペラや風向きをチェック


 タブレットに映る、カメラの画角


 ニナが横に座って地図を広げた


「森は広いです」


「でも、人を連れて行くなら

 道が残ります」


「まずは足跡、それと熱」


 ゴロネが、サーモを覗き込む。


「……あ、いる」


「早っ」


 未だドローンの電源も入れてないのに

 

 俺が聞くとゴロネは真顔


「鳥と獣?人らしいのもいる」


「……どっち?」


「見る?」


 ゴロネは短く答え、

画面を指でなぞる。


 サーモの点は、

 森の奥じゃなくて、意外と近い。


 俺はドローンを上げた


 ブーン、と軽い音で浮く


 映像が変わる

 木の上、影、倒木


 ニナが、

 タブレットを覗きながら

 淡々と指示を出す


「高度、もう少し」

「左、二十、そのまま前」


 俺は、コントローラーのモニターを

 見ながら、ちょいちょい動かす。


 ……ゲームに似てる

 

 似てるけど、ドキドキ感あるわ


 シキが集音器を構えた

 森の奥に向けて、角度を微調整。


「……足音、二人」


「重いのと軽いの」


 ミケが、双眼鏡で森を見る


「……あっち」


 指をさした


「葉っぱ、揺れてる」


 サンが言う


「追います?」


 ニナが即答した


「距離を取って」

「近づかない」


「ミケ、前に出すぎないでな」


「出ない」


 嘘つけ、って思うけど、

 今日はちゃんと我慢してるな


 俺は、ドローンをその揺れの上に移す。


 カメラを下へ


 ……いた。


 男が二人だ

 布で顔を隠してる

 片方が、何かを引きずってるな


 いや、違う

 引きずってるんじゃない

 抱えてる


 小さい、子供だ


「……見つけた」


 俺が言う


 声が、自分でも変に乾いてる


 ニナが即座に言う


「サン、右から回り込み」


「ゴロネ、サーモで周囲確認」


「シキ、音で増援の有無」


「ミケ、距離を測って」


 全員が動く、迷いがない


 俺は、ちょっとだけゾワッとする


 ……こりゃ強すぎるなあ


 でも今さら、

 無かった事にもできないしな


 俺とニナは、正面からは行かない


 ドローンを男たちの先へ回す。


 奴等の逃げ道の確認

 森の外へ抜ける道は、倒木で狭い


 ニナが言う


「あれは逃げにくい」


 次の瞬間、

 サンの無線が短く入ってくる


「右、取れます」


 シキが続く


「増援は聞こえない」


 ミケが言う


「距離、近い」

「いける」


 ゴロネが小声


「周囲、熱源なし」


 ニナが決める。


「……行きます」


 サンとミケが同時に動いた。


 ミケは、影を滑るように駆ける。

 サンは、男たちに斜めに詰める。


 俺はドローンを

 男の顔の前に落とした。


 ブーン、と音。


「なんだ!?」


 男が顔を上げた瞬間、

 躊躇せずにサンが撃った。


 乾いた短い音が響く。

 撃たれた男が、声も出さずに倒れる。


 もう一人が

 子供を慌てて抱え直す。


 そこへミケ。


 背後から、肩を蹴って倒す。

 喉元にナイフ。


「動くな」


 ミケの声が低くてびびるな。


 ニナが走る、俺も走る。

 ……早いよニナ、獣人ってスゲーな


 子供は生きてるな。

 怖くて目を閉じてるだけだ。


 ニナが呼吸と喉を確認してる。

 大丈夫だと分かったら、

 泣きそうな顔だ。


 ああ、そうか。

 ルナを失った時を思い出してるんだ。

 俺も同じだよ、ニナ。


「……今回は間に合ったな、俺たち」


 俺は長く息を吐く。


「よかった」


 口に出したら、やっと自分の声が

 戻った感じがした。


 サンが男の腕を縛ってる。


「どうする?」


「拘束でいい」


 ニナは冷たい声だ。


「まず子供よ」


 子供は人間の子だ。

 八歳って紙にあった

 髪も茶色だ


 顔に泥、頬に薄い傷


 でも、生きてる


 俺は医療キットを開け、

 水を少しだけ唇に当てた


 子供が、かすかに喉を動かす


「……う、」


 声にならない声


 ニナが、優しい声に切り替える


「大丈夫よ」


「今、帰れますからね」


 子供の目が少しだけ開いて、

 俺たちの方を見た


 泣きそうな顔


 俺は、変に格好つけずに言う。

「怖かったよな」


「でも、もう終わりだよ」


「家に帰ろうな」


 子供は小さく頷いて、目を閉じた。


 ……気絶じゃないな

 安心して落ちた感じだ


 俺たちは森の外へ出る


 じゃあフロウムに戻ろうか。


 子供を揺らぎには入れない

 そこは守る。


 俺は店の車を出した。


 でかいアメ車のバンだ

 これなら安全に運べるだろ。


 後部を開けて、毛布を敷く。


 ニナが子供の頭を支えながら

 優しく乗せる。


 サンが聞く。


「……フロウムに戻る?」


「門の近くまでな」


「そこで衛兵を呼びましょう」


 ニナが言い、俺は頷く


 俺が運転席に乗り、ニナは後ろに座った

 盗賊は縛って、屋根に載せた。


 フロウムの門近くで、

 子供と盗賊を降ろし、衛兵を呼ぶ。



 衛兵に事情を話し、掲示板の紙を見せる。


 衛兵の顔色が変わった。


「それは本当か?」


「ええ、本当よ」


 ニナが短く言うと、衛兵が走り、

 家族らしい人達が来る。


 女性が泣きながら走ってきて、

 子供を見て、崩れ落ちた。


「……っ、」


 母親らしい女性は声にならない。

 男性が震える手で、子供の頬に触れる。


「生きてる……」


 そこでようやく、子供が目を開けた。


「……かあ、」


 母親が声を上げて泣いている。


 ニナは、その光景を見て、

 一度だけ目を伏せる。


 俺は、変な言葉が出そうで黙ってた。


 捉えた盗賊を衛兵に引き渡した

 衛兵が礼を言う、家族が頭を下げる。


 でも、胸の中はスッキリはしない

 まだ、あいつらの仲間もいるだろうしな


 ……まあ、いいか

 子供は生きて戻った。

 それで今は十分。


「私は、しばらくここに残ります」

「彼らを家まで送ってきます」


「わかった。あとで迎えに来るよ」


 俺は頷いて、門の外へ戻る。


 揺らぎを使って森の縁へ。

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