第11話~え?出ていくの?~
呼ばれた人はまさかの俺の整体の師匠だった。
「な、なんで師匠がこんな所にいるんですか!?」
まさかこんな異世界でしかもここでかつての俺の師匠に会うとは思わなかった!
「やはり池中か?お前こそ何故ここにいるんだ?」
お互いがお互いに何故いるのか分からない状況だった。
王様も流石に意外だったようで
「何だミチよ?アオイと知り合いなのか?」
「はい。かつて私が指導して育てていたことがありました。」
指導して育てていたというか、
あれはパワハラを越えた整体と言う名の暴力だった気がする…
見た目は容姿端麗の美女ではあるが
研修の際少しでも押す場所が違ったら怒号は飛ぶわ拳が来るだけならまだしも、うつ伏せで寝てる状態のまま器用に脚で蹴ってきたし、解剖学や座学の時も質問に答えられないとナイフのようにボールペンが飛んできたし…数えきれない位ある。
それに耐えきれず辞めていく人間もいて最後までついてこれたのは俺を含めて数人だったな…
恐ろしく厳しい人だったが知識や技術は本物でそこの部分は本当に尊敬していた。
この恐ろしい師匠から離れてからしばらくして連絡が出来なくなってどうしたのかと思ったらまさかこんな所で再会するなんて…
「お、お久しぶりです。師匠…」
「うむ、久しいな。まさかこんな所で会えるとは思わなかったぞ」
「それは俺も一緒です…」
「ハハハッそう固くなるな!久しぶりに師匠と弟子が再会したのだもっと楽になれ!」
なれるわけないでしょうがこの歩くパワハラ(師匠)…尊敬していますけどあなたに植えつけられたトラウマは今もあるんですから…
「まさかそなたらが師弟関係であったとはな!世の中とは狭いものだな。して、ミチよ?先程話した通りアオイの言っていた事はそなたが以前にも申してたのと似ていたがやはり?」
「ええ、私が教えたことを全て覚えているのであればまず間違いないでしょう」
「そうか、ならこれ以上は愚問であるな、私はそなたとアオイの言葉を信じよう」
突然王様がそんなことを言うからまたもや周りがざわめきだす
「へ、陛下!何をおっしゃるのですか!こんな馬の骨とも分からぬ者の冒涜の言葉を信じて!?」
「そ、そうですぞ!いくら師匠と弟子とはいえ、2人で偽りの事を申してる可能性だってあるのですぞ?我らの言葉よりこのような者達の言葉を受け入れるなどと…」
「やかましいわ!」
誰もが立ちすくむ叫び声を出したのは勿論師匠だ
「自分達の主の身の変化に気づかずまた案じようともせず、国の体裁や保身だけしか考えず本質を見ようともしない。まるで自分達の言葉だけが全て正しいかのような言動。あまつさえ我が弟子を侮辱するとは貴様らこそこの国を冒涜していると分からんのか?」
師匠がそう叫んだ。その中に俺を侮辱したことについても入っていて少し嬉しかった。
「こいつを侮辱していいのは私だけだ!」
…前言撤回、やっぱり師匠だ…
「な、貴様、召し抱えられたとはいえ、我らにそのような無礼な言葉を言うなど、が!」
その場にいた1人が師匠にそんな言葉を言った瞬間に師匠が持っていた羽根ペンを投げ見事におでこにヒットする。
流石に刺さりはしないが普通に痛そうだ。
「き、貴様大臣であるワシにむかってこのようなことを…」
「ふん、何が大臣だ!貴様程度が大臣とはこの国もたかが知れてるな今まではこの王の人柄に惚れて仕えていたが、もう潮時だ!私は早々にこの国を出ていくことにする。王よ今までお世話になりました。あなたは王としては素晴らしいお方です。どうかお身体だけはご自愛ください。」
と、言いながら師匠は王様の返答も待たずに身を翻し扉の方に向かう。が、同時に近くにいた俺の方に近づき、
「行くぞ、バカ弟子」
と、俺の首根っこを掴み、そのまま扉を開け出ていこうとする。俺は抵抗できずそのまま引き摺られるだけだった。
「え?し、師匠?俺もですか?」
「当たり前だ、それともここに残って私の変わりに処罰をうけるか?」
それはお断りします…
そして王様やストロフさんをはじめ、みんながポカンとしているのを尻目に俺達はっていうか俺は引き摺られながら城を出ていった。
ってか師匠、いい加減首根っこを掴むの止めてください…
アオイ師匠と共に国へ出ていきます。




