なかがき1
まだまだ物語は続きます。
今のところ、だいたい折り返し地点くらいです。
この物語の発端は、タイトルのとおり、
「本当に何のスキルももらわずに異世界へ転生したら、どうなるのか?」
という疑問でした。
当然、言葉は通じません。
文字も読めません。
さすがに服だけは着せておきました。
ただ、それだけでは厳しいだろうということは、書き始める前から分かっていました。
そこで理人には、数字を扱ってきた経験を持たせています。
世界が変わっても、数字の扱い方はそれほど大きく変わらないはずです。
言葉や文字が通じなくても、数字ならどこかで通じる可能性が高い。
そう考えていました。
ところが、実際に書き始めて分かったのですが、何の支援もない異世界転生者は、ものすごい速さで詰みます。
食べ物が手に入らずに餓死する。魔物や獣に襲われる。言葉が通じないため、不審者として捕まる。
少し考えるだけでも、いくらでも危険が出てきます。
これはまずい。
誰か、理人を支える人物が必要でした。
そこで投入されたのが、リナです。
リナは、動物の気持ちをなんとなく察することができます。
特別なスキルを持っているわけではありません。
表情や仕草を見て、自然と理解してしまうだけです。
この世界から見れば、理人は宇宙人のようなものです。
言葉が通じず、何を考えているかも分からない。
そういう意味では、動物とあまり変わりません。
つまり理人は、リナの得意分野だったわけです。
リナと出会ったことで、理人はようやく生き延びるための足場を得ました。
そこから倉庫へ行き、街のギルドへ行き、神殿分院へ行き、少しずつ世界が広がっていきます。
そして今後は、さらに広い場所へ進んでいきます。
私のほかの作品を読んでくださっている方は、なんとなく察しているかもしれません。
私は、いわゆるチートスキルや俺TUEEE系の物語を、ほとんど書いていません。
本作も含めて考えると、
「チートや俺TUEEEが嫌いなのでは?」
と思われるかもしれません。
逆です。
大好きです。
ものすごく好きです。
やはり、物語における爽快感は重要です。
ただ、好きなものと、自分が自然に書けるものは別でした。
書けないわけではありません。
ですが、いわゆる「キャラクターが勝手に動く」という状態まで、なかなか持っていけません。
たぶん、余計なことを考えてしまうからだと思います。
この力を使ったら、周囲はどう反応するのか。社会はどう変わるのか。なぜその仕組みは存在しているのか。ほかの人は、なぜ同じことができないのか。
そんなことを考えているうちに、爽快に敵を倒す話とは違う方向へ進んでいきます。
ただ、それはそれで、自分の持ち味なのかもしれません。
今回も、何も与えられなかった理人が、観察し、記録し、人に助けられながら、少しずつ世界の仕組みへ近づいていきます。
まだ折り返し地点です。
この先、理人たちがどこまで世界を広げ、何を見つけるのか。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。
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※ネタバレ範囲にご注意ください。
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