表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

155/158

第154話 援護

今のジャガリック達は、真面に戦える状態ではない。

本来の力ならどうにでもなっただろうが、今の状態では戦いにすらならないだろう。


止めないと!


俺はデスナイト達を追おうとするが――


「があっ!?」


腹部に強烈な衝撃が走った。

猛烈な痛みに俺は落下し、地面に激突する。


「ぐ、うぅ……」


デスナイトに気を取られたところに、ボーンナイトのブレスをもろに受けてしまったようだ。

腹が燃える様に痛い。

だが俺はその痛みを我慢して立ち上がる。


「ジャガリック達を……守らないと……」


「おおおおおぉぉぉぉ……」


ボーンドラゴンが低く唸る。

骨だけの顔であるため、表情はない。

だが俺にはわかった。

奴が笑っている事が。


「くそったれが……」


デスナイトを追いたいが、ボーンドラゴンが立ち塞がる。

ならばと上空に上がろうとすると、奴の光線が俺の飛翔を阻む様に飛んで来た。

とことん邪魔をする気の様だ。


「じゃま……すんじゃねぇ!!」


こうなったら強行突破である。

スピードなら勝ってるんだ。

奴を上手く捌いてデスナイトを追う。


「くそっ!」


――だが、上手く抜けない。


ボーンドラゴンは余計な真似をせず、ただひたすら此方の動きを阻害する様に動いてくる。


「どけぇ!」


時間がない。

急がなければ。

そう焦って体当たりで吹き飛ばそうとするが、パワーで優る奴に弾き飛ばされてしまう。


「くぅぅ……この野郎!」


突進して攻撃する。

とにかく、何が何でも怯ませて隙を作らなければ。

でなければジャガリック達が。


「がああぁぁぁぁ!!」


だが、抜けない。

ボーンドラゴンをどうしても抜けない。

それどころか焦って無理な攻撃をしているため、俺の方がダメージを受けまくってしまう。


「このままじゃ……」


ジャガリック達が……


『神よ。精霊方の事は私達にお任せください』


どこからともなく、女性の声が聞こえて来た。


「この声!?ユミルか!」


『はい。今我らが精霊の方々の援護をしております。ですので、神は此方の事は気にせずお逃げください。かならずや、お三方を救って見せますので』


◇◆◇


「アリン!お前は絶対前に出るなよ!!」


精霊達の力が極端に弱くなった事をナタン達が察知し、そしてデスナイトがそこに向かっている事に気づいた俺達は急いで精霊達の元へと向かう。

人間は最悪死んでも生き返らせて貰えるが、精霊はそうはいかないからだ。


デスナイトと俺達は、ほぼ同時に精霊達の元へたどり着く。

精霊達を逃がす事を優先しようとしたが、奴らは素早く三方向に散って此方の退路を断ってきた。


精霊達を回復させる事が出来ればいいんだが、彼らは普通の方法では回復させられない。

とてもじゃないが、戦力としては期待できない状態だ。


なので俺達は精霊達の力なしで戦って穴を作り、そこから彼らを逃がさないといけない。


「自分の身は自分で守れるから!お兄ちゃんはあいつらを止める事だけに集中して!余計な事に気を取られて何とかなる相手じゃないでしょ!」


さっきの戦いじゃ、俺達は2体を抑えるのが精いっぱいだった。

だが、今度は3体だ。

そんな状態で戦い、精霊達を逃がすには、それ相応の覚悟が必要になる。


死ぬ覚悟。

そして、死なせる覚悟が。


どう考えても、この戦いを犠牲なしで抜けるのはほぼ不可能だ。


「く……」


戦いに勝てば、エドワード様が蘇生してくれる。

それは分かってはいるが、やはり妹には死んで欲しくないというのが本音だった。

しかし今はそういう訳にも行かない。


「無理はするなよ」


業腹だが、今はアリンの事よりも精霊達の事を優先させる。


「分かってる!」


「とりあえず、エレメントゴーレムちゃん達が来るまでは足止めに徹しましょう」


この場にエレメントゴーレムはAランクの10体ほど。

低ランクの奴なら他にも数百体いるが、急いで向かって来たためスピード的に追いつけていないのだ。


「それまでは防御に徹するわよ!」


「リッチ、一体は頼みます」


「やれやれ。まあだがいいだろう。先程の戦いは消化不足感が強かったからな」


「一体は私とクロウちゃんで相手するから、タゴルちゃん達はもう一体をお願いね。ゴーレムちゃんは半々に分かれて頂戴」


「わかった。カンカン、足を引っ張るなよ」


「分かってます!アリンには指一本触れさせません!」


「カンカンも私の事は気にせず戦いに集中して」


『タゴルよ。今こそ神に我らの真価をご照覧頂く時だ。全てをかけて奴らを倒すぞ』


ナタンが語り掛けて来た。

どうにかして逃げ道を作る事しか考えていない弱気な俺達と比べ、このきつい状況でも大口を叩けるのだから大したものである。


いや、大口じゃないな。

コイツは本気だ。

本気で勝利を目指している。

ナタンはそういう奴だ。


「ああ、そうだな。俺達だけで殲滅して、エドワード様の度肝を抜いてやろう」


なら、俺もこいつに選ばれた戦士として目指すしかない。

妹を守り抜いた上で、奴らを倒す完全勝利を。


「「「ぐおおおおおお!!」」」


此方が動かない事に痺れを切らしたのか、デスナイト三体が咆哮を上げ動き出す。


「来るわよ!」


「ぶっ飛ばしてやる!」


俺はナタンを強く握り、突っ込んで来たデスナイトの一体を迎え撃つ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


評価は少し下にスクロールした先にある星マークからになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
天才ですが何か?~異世界に召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレとして放逐されてしまう~だがやがて彼らは知る事になるだろう。逃がした魚が天に昇る龍であった事に
異世界に召喚されたがハズレクラスだったため異世界に放棄された主人公。本来なら言葉すらも通じない世界に放り出されれば絶望しかない。だが彼は天才だった。これは持ち前の超学習能力で勇者を越える存在へと昇りつめる天才の物語
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
ブラック企業務だった前世に懲りて転生先で俺はスローライフを望む~でも何故か隣の家で生まれた幼馴染の勇者が転生チートを見抜いてしまう。え?一緒に魔王を倒そう?マジ勘弁してくれ~
転生先でスローライフしようとしたらお隣さんは勇者で、しかも鑑定でチートクラスを見抜かれてしまう。魔王を一緒に討伐!?冗談じゃねぇ!俺は一市民としてやっていくから放っておいてくれ!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ