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第149話 そっちだけ

目の前にまで迫ったデスロードとその取り巻きであるデスナイト達。


「近くで……見るとやっぱ迫力があるな」


カッパーの為に戦うと決めた俺だが、やはり糞デカい骨の化け物が目前に迫ると恐怖が湧き上がって来る。

今でこそ国王何て肩書だが、所詮俺は小市民。

なので、勇敢な戦士の様に振舞えと言われても無理だ。


「まあ、だからって逃げるって選択肢はないからな。フェンリル、一緒にカッパーを守ろうぜ」


「ぷぎゃ!(うん!)」


「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」


デスナイトが雄叫びを上げ、突っ込んできた。


「皆!デスナイトは頼んだぞ!」


足元に居る皆にそう告げ、俺も前に出てデスロードを迎え撃つ。

奴の相手は俺が一人でする。

連携も糞もないからな。

下手に複数でいてどると逆に動きにくくなると思ったからだ。


なので、他のメンツにはデスナイトの相手をして貰う。


あ、因みに、最初は遠距離からの先制ブレスを使うつもりだったが止めている。

爆発の範囲の割りに威力が小さく、そのくせ消耗が大きいので、効率が悪いとタニヤンに言われたからだ。


「おらあああああ!」


間合いに入った所で、俺はデスロードの顔面目掛けて殴りかかる。

武器とかはない。

今の俺は巨人サイズなので、扱えるような大きな武器が無いのと、仮に用意できても。今のレベルだと並みの金属じゃ衝撃に耐えられないからだ。

だから素手。


「つぅ……」


顔面をぶん殴ったが、同時に相手に顔面をぶん殴られてしまう。

その衝撃で吹き飛ぶ俺とデスロード。

フェンリルと感覚を共有しているので、痛みは顔面にダイレクトに伝わって来る。


「いってぇ……けど、これならいける!」


感覚的に、パワーとスピードは互角だった。

まあ相手が様子見してたら話は変わって来るが、雄叫び上げて突っ込んできてるんだ、今のが様子見って事はないだろう。


此方にはエリクサーもポーションもあるのだ。

相打ちオッケーで殴り合えば……


「げ……」


俺は思わず汚い声を上げた。

デスロードの背中の骨二本が大きく盛り上がり、それを奴が手に掴んで引き抜く。

そしてそれぞれの手に握られた骨が絡み合い、太い一本の剣の様な形に変わったからだ。


「そっちだけ武器有かよ……」


リーチの長さが、戦闘において大きなアドバンテージを取るぐらいは俺も知っている。

達人とかになったら、磨いた腕でそれを物ともしない戦いが出来るんだろうが、あいにくこちらはほぼ素人に等しい。

そのため、相手だけが長物を持つ状態は非常に宜しくない状態だ。


「ぐっ……がっ!?」


デスロードが両手で剣を振り回す。

一撃目は躱すが、二発目の横なぎを躱し切れず腕で受け止める。


ガードしたのに滅茶苦茶痛い。

明らかに拳の時より威力が上だ。


「くそったれ……」


やはり世の中、思ったようにはいかない。

簡単でない事は分かっていたが、一瞬でも楽観視した分精神に来る。

我ながら心が弱くて嫌になってしまう。


「くぅ……」


デスロードが容赦なく攻撃をしてくる。

難度も連続で。

俺はそれをギリギリ躱し続ける。


反撃する隙がない。

無理に隙を探すより、このままカッパーが目覚めるまで回避し続けるべきか?


反撃は難しいが、回避だけなら出来なくもない感じだ。

もちろんそれも完ぺきではないが、多少のダメージなら問題ない。

エリクサーが5本。

それに効果の薄めていなスパムポーションも、15本ある。


コックピット内の俺が服用すればフェンリルも回復する事は確認済みなので、持久戦

は相当粘れるはず。


問題は……


攻撃を躱しつつも、ちらっと視線を周囲に巡らす。

ジャガリック達がデスナイト達を上手く誘導して相手どっていた。


あっちだな……


精霊三人が一体ずつ。

リッチとクロウが一体。

そしてそれ以外、タゴル達が最後の一体を。


戦況は、そこにエレメントゴーレム達が適時参加している感じだ。


彼らがデスナイトを上手く処理してくれれば、倒すにしても、時間稼ぎをするにしても、グンと楽になるだろう。

援護を受けられるようになる訳だからな。

ただその逆で、万一皆が敗れる事になれば、一気に苦しくもなりえた。

この状況でデスナイトまで群がってこられたら、俺には対処しきる自信がない。


デスナイトだけなら自分達だけで問題ないと、ジャガリックが宣言してたから大丈夫だとは思うけど……


世の中に絶対はない。

なにが起こるか分からない以上、安心はできないだろう。


とは言え、今その事を考えても何かが変わる訳でもなかった。

とにかく目の前の戦いに集中しよう。

余計な事に気を取られて、俺がやられてしまって本末転倒だ。


――俺は回避と防御に徹し、デスナイトの攻撃を必死に躱し続ける。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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