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第147話 人騎一体

筋力に引き続き、魔力体力をSS+まで引き上げる。

どれも全てそこでロックされてしまったので、それ以上は上げられない。


で、最後が敏捷になる訳だが……


敏捷性には、上げると明確なデメリットが付いて来る。

それは体の挙動が早送り状態になってしまい、真面に動く事が出来なくなってしまう点だ。

慣れれば問題なくなるが、残念ながらそんな時間はない。

数時間後には、デスロード達はここへとやって来てしまう。


「敏捷性は最低限にしておくべきか……」


無難にいくなら、調整を短時間で済ませられる数段階で済ますべきだ。

だが、それで果たしてデスロードを相手どれるだろうか?

ポッポゥ達の予想では、全て挙げたうえで2割という予想だった。

もし敏捷性を押さえたら、その分確率は下がってしまうはず。


「上げる以外はないよな……」


挙動を制御できるかという不安はあった。

最悪、上手くコントロールできなければ、上げない方がマシな状態になりかねない。

だがカッパーを守り抜くには、少しでも力が必要だ。


なら、上げるしか選択肢はない。

気合を入れて、敏捷性上昇の弊害を乗り越える。

乗り越えて見せる。


「よし!」


意を決した俺は、敏捷性を一気にSS+まで上げる。

ここからは時間との勝負だ。

一分一秒でも早く、体の動きを――


「ん?」


その時、体に違和感が生じる。

いや、体じゃないな。

なんというかこう、魂がざわつく感じと言うか……


自分のステータスを確認してみる。

すると――


「スキルが増えてる!?」


「なんと!?」


――スキルが増えていた。


スキル、つまりギフトは生まれた時に神から授けられる力だ。

後天的には手に入らないと言われているが、俺は唯一の例外を知っている。


俺はすぐ近くにいる、自らの騎士へと目を向ける。

そう、ツンデレ騎士事タゴルだ。


タゴルは俺のランクアップで限界を超える力を引き出した結果、スキルを得た。

たぶん、俺にも同じような事が起こったんだと思う。


「スキルを新たに得られたのですね。おめでとうございます、マイロード」


「あらあら、男爵様ったら凄いじゃない。この土壇場でスキルを手に入れるとか、まるでおとぎ話の勇者様みたい」


「希望が出てきましたね。エドワード様」


「ああ、いや……」


スキルを得られる事は間違いなく幸運だ。

だが――


「残念ながら、このスキルは戦闘の役にはたたない」


――それは今の俺には意味のないスキルだった。


【人騎一体】


それは自らの従魔に騎乗し、力を重ねるというスキルだ。

従魔に乗ればその分力が上がるスキルなんだろうが、俺には……


「従魔なんていないから――」


「ぷぎゃ!(僕がいるよ!)」


「え?」


池にから顔だけだしていたフェンリルが飛び出してきて、俺の横に着地する。


今、フェンリルが何かしゃべったのかが理解で来た様な……

気のせいか?


「ぷぎゃぎゃ!(僕に乗って!)」


まただ。

今度は気のせいじゃない。

確かに、フェンリルの言葉が理解で来ている。


「ぷぎゃお!(いっくよー!)」


「あっ、ちょ……」


フェンリルが大きく口を開け、そして俺を吸い込む。

視界が暗転し、そして戻った時には例のコックピットの様な場所に座っていた。


「急に何を……いや、これは……ひょっとして騎乗?」


飲み込まれた訳だが、コックピットだし、俺が動かすし、騎乗と言えなくま汚ない気がしなくもなくなくなくない。


そしてフェンリルは……ひょっとして俺の従魔扱いなのか?

だったらスキルが……いやでも、コイツの飼い主はカッパーであって……


「ぷぎゃぎゃぎゃ(うごかしてうごかしてー)」


フェンリルが動かせと急かしてくる。

俺は言われるまま、両サイドにある球に手をのせる。


その瞬間――


「これは!」


――俺とフェンリルが繋がったのが分かった。


以前は単に操縦者として動かすだけだったが、今回は違う。

確かに繋がっている。

俺とフェンリルが。


「視界が……」


動かしていないのに、視界が上昇する。

だが俺にはわかった。

感覚まで完全に繋がっているため。


それは……変形だ。


視界の位置が大きく上がり、足元を見るとエクス達の驚く姿が見える。

池の方に視線をやると、そこには人型に限りなく近くなったフェンリルの姿があった。


「人型形態に、うっ……」


フェンリルの変形に驚いていると、頭に爆弾を落とされた様な痛みが走って、視界がブラックアウトする。


◇◆◇◆◇


「エルロンド!何故だ!なぜそこまでして人を守ろうとするんだ!あいつらはゴミだ!生きている価値もない!その存在はお前を苦しめるだけなんだぞ!!」


黒い翼をもった、堕天使っぽい奴が叫ぶ。


「ターミナス……人には確かに醜い面があります。ですが、彼らには同時に、他者を思いやる事の出来る優しさがあるのです。私は、そんな彼らの美しさを信じたいのです」


そしてそれに対峙しているのは、白い羽の太った天使。


ターミナス?

エルロンド?


それってエルロンド教の神様の名前じゃ?

それに、ターミナスってなんかどこかで聞いた事がある様な……


「ぷぎゃ!?(だいじょうぶ!?)」


◇◆◇◆◇


「うおっ!?なんだ?今のは夢……か?」


「ぷぎゃ?(だいじょうぶ?)」


「あ、ああ……なんか気絶して多っぽい」


初めてスキルを使った弊害だろうか?

にしても、あの夢は……まあいい。

夢の事より、今は自分の状態だ。


「なんか、力が湧いてくる感じだ。ステータスを確認してみよう」


――スパム国国王、エドワード・スパム&フェンリル(EX)――


筋力SSS-(これ以上上げると肉体が崩壊するのでロック中)

魔力SSS-(これ以上上げると魔力が暴走するのでロック中)

敏捷SSS-(これ以上上げると肉体が崩壊するのでロック中)

体力SSS-(これ以上上げると肉体が崩壊するのでロック中)

知力C(弄ると人格に影響が出る項目のためロック中(警告・変質中))


スキル・魔法

・【ランクアップ】

・【人騎一体】


・ALL精霊系水属性魔法

・ALL精霊系風属性魔法

・ALL精霊系土属性魔法

・ALL精霊系火属性魔法


――――――


「ステータスが上がってる!」


SS+だった物が、全てSSS-に。


「これなら……これななら行けるんじゃないか?」 


全能力が一段階ずつアップしたんだ。

成功率はきっと大幅に、いや、そうとう上がっているはず。

そんな確信が俺の中にあった。


「とりあえず……とう!」


俺は地面を蹴り、空高く飛翔する。

そしてフェンリルの体を激しく動かしてみた。


「馬鹿みたいに早いのに速度が気にならない!完璧にコントロールできる!」


騎乗の影響だろう。

本来なら上がった敏捷に振り回されるはずが、全く違和感なく動かす事が出来た。


「パワーは……」


俺は口にエネルギーを集中させ、そして発射する。

ドラゴンブレスだ。


「お、おお……」


そのブレスは遥か遠くで着弾し、凄まじい爆発を起こす。

まるで核兵器だ。


「いける!これならいけるぞ!」


これなら足止めどころか、デスロードを倒すことだってできるはずだ。

絶望的な状況を打開する勝機が見えた!


「デスロード!俺がお前をぶっ飛ばしてやる!覚悟しとけよ!」


「ぷぎゃぎゃぎゃ!(かくごしとけよー!)」


しかしあれだな。

まさか異世界に来て人型ロボットのパイロットとして戦う事になるとか、夢にも思わなかったわ。


いやまあ、ロボットではないか。

なのでやっぱり竜騎士?

いや、人型だからそれもなんか違う気が……まあどうでもいいか。


些細な事はさらりと流すに限る。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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