表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/158

第144話 諦められない

「なっ……」


――デスロード達がカッパーの力に反応し、誘導は不可能。


撤退してきたはジャガリック達に話を聞かされ、俺は絶句する。


「助ける方法は無いのか?」


動かせず。

そしてデスロード達なら、その状態の彼女を消滅させる事が出来る。


それはカッパーの死を意味していた。


「残念ながら……」


ジャガリック達の沈痛な面持ち。

同じ精霊仲間を好き好んで切り捨てる筈がない。

その彼らが、手立てがないというのなら本当にお手上げ状態なのだろう。


「……」


「マスター。デスロードは半日もあればここへとたどり着きます。今すぐ避難の用意を……カッパーもきっと分かってくれるはずです」


エレメントゴーレムには命がないため、デスロード達は人間を殺した時の様なエネルギーの吸収時間を必要としなかった。

そのため、足止めできる時間はかなり短いのだ。


因みに、奴らはここへ至るまでに大量のエネルギーを吸収してストックしている様なので。エレメントゴーレム達を使ってガス欠を起こさせるという手は効かない。


「エドワード殿」


「……」


カッパーを見捨てる……


彼女は今。俺のためにランクアップしてくれているのだ。

はじめっから、領地を捨てる選択をしていればこんな事にはならなかったはずである。

言ってしまえば俺の我儘だ。

そんな我儘に付き合ってくれたカッパーを、俺は見捨てるのか?


「何か……手が……」


思考をフル回転させる。

けど、良い答えなんて出て来る訳もない。

所詮知能Dで、俺より頭のいいジャガリック達ですら見つけられていないのだから、頭をひねった所で何か名案が出て来る訳もなかった。


俺は聖人君子じゃない。

だから、自分の為なら知らない人間を犠牲にする事だって憩わない。


けど……自分のために頑張ってくれてる精霊を、見捨てるなんて真似はしたくなかった。


「くそっ……俺は何て無力なんだ……」


だが手立てがない。

これが漫画やラノベなら、主人公が覚醒してなんて展開もあっただろう。

だが、俺にそういった主人公達の様な資質はない。

それどころか、戦闘能力だって全然だ。


知能以外のステータスはAだが、それだって精霊からの補助ありきでしか……


「待てよ……補助……ジャガリック!精霊から受けてるステータスの補助ってのは、どういうものなんだ?教えてれ!」


精霊からの補助。

そこに閃き。

それがどういったもものかを俺はジャガリックに尋ねた。


「補助……ですか?」


「ああ、補助だ。俺のステータスをAに固定する物なのか?それとも、加算や乗算の強化魔法のような物か?」


ステータスを固定するタイプなら、閃いた事は無駄になる。

だが、乗算系の強化(バフ)による物なら……


「固定する様な物では御座いません。我らの力が、マイロードの力を引き上げていると思って頂ければ宜しいかと」


「そうか」


少なくとも固定ではない。

まあゲームじゃないんだから、そりゃ固定じゃないよな。

問題は、どういう風に力が引き上げられているかである。


あと、ランクアップに必要なポイントだな……


強化後のAランクとして判定されるのか。

それとも、本来のステータス帰順なのか。


「とにかく、試してみよう」


自信のステータスを確認し、そして筋力のランクアップを試みる。

必要ポイントは――


「A+にあげるのに16ポイント……」


俺の本来の筋力ステータスはCだ。

そしてC+に上げるのに必要なポイントは16だったはず。

つまり、俺のランクアップは俺本来の能力を基準にしているという訳だ。


……これなら、きっときっと人間の限界を超えたSランク以上にも強化できるはず。


「よし!強化を……ああ、くそ……そういや、痛みの事を忘れてた」


強化には激しい痛みが付き纏う。

それもランクが高ければ高いほど。


時間的余裕がるならともかく、数時間でデスロード達は辿り着いてしまうのだ。

そんな短いタイムリミットで、ランク上げの激痛に堪えて能力を数段階上げるのなんて、俺に堪えられるとは到底思えない。

仮に痛みが自分のランク基準だったとしても、だ。


結局……


「諦めるしか……」


いや、駄目だ。

ここで諦めたらカッパーが死ぬ。

そんな結果は受け入れられない。


「根性で……根性で耐え抜いて見せる」


そうだ。

根性だ。

痛みに耐えて、力を手に入れる。

そしてカッパーを守るんだ。


「痛みでも何でもこい!」


俺は自らの筋力を一段階上げる。

一気に上げてしまうと気を失ってしまうかもしれないからだ。

耐える覚悟は決めたが、気を失ってしまったら上げようがなくなってしまう。


「……あれ?」


俺は首を捻った。

何故なら、ランクアップさせたにもかかわらず痛みが発生しなかったからだ。


「痛みが……ない?どういう事だ?」


ステータスを確認すると、筋力はA+にちゃんとなっていた。

なのになぜ、傷みが発生しなかったのか?


「どうなってんだいったい……」


謎だ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします。


評価は少し下にスクロールした先にある星マークからになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
天才ですが何か?~異世界に召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレとして放逐されてしまう~だがやがて彼らは知る事になるだろう。逃がした魚が天に昇る龍であった事に
異世界に召喚されたがハズレクラスだったため異世界に放棄された主人公。本来なら言葉すらも通じない世界に放り出されれば絶望しかない。だが彼は天才だった。これは持ち前の超学習能力で勇者を越える存在へと昇りつめる天才の物語
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
ブラック企業務だった前世に懲りて転生先で俺はスローライフを望む~でも何故か隣の家で生まれた幼馴染の勇者が転生チートを見抜いてしまう。え?一緒に魔王を倒そう?マジ勘弁してくれ~
転生先でスローライフしようとしたらお隣さんは勇者で、しかも鑑定でチートクラスを見抜かれてしまう。魔王を一緒に討伐!?冗談じゃねぇ!俺は一市民としてやっていくから放っておいてくれ!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ