第136話 150万
あの後、アイバス子爵は男爵家に恭順する事を誓う。
その場にはジャガリックもいたので、その場限りの口約束ではなく、本心としての恭順だ。
そして子爵領を併呑した男爵家は独立を宣言し、晴れてスパム王国と名を変えた。
「想定外に大量ポイントが入ったな。これはうまく有効活用しないと……」
子爵家を取り込み、更に独立した事で一気に150万ポイントが入って来ていた。
【王家に舞い戻れ】と【領地民10万人以上】の二つのクエストが達成されたためだ。
どうやら王家に舞い戻れは、ポロロン王家ではなくともよかった様である。
正に想定外の事だったが、今の状況で100万ポイント入手は本当にありがたい。
「やっぱ戦力アップ一択だよな」
ランクアップさせたいものを上げればきりがない。
が、今最も必要な物は戦力である。
各国に救援の書信を送ってはいるが、援軍がどの程度送られてくるかは未知数である。
大軍が送られてくればいいが、そうでなかった時が問題で、また、数は十分だったとしても、期間的に間に合わない可能性も考えられた。
いくら死者蘇生が欲しかろうと、帝国と戦うための大量の戦力をそうぽんと動かせるものではないからな。
なので、援軍は来たらラッキー程度に考えないといけない。
「エドワード様。具申させて頂くなら、全てエレメントゴーレムにつぎ込むのが宜しいかと」
「エレメントゴーレムか……まあタゴル達のランクアップは完全に博打だし、それが妥当か」
タゴルやエクスの筋力は既にA+にしてある訳だが、Sにはしていない。
両者とも、そこが生物としての限界(個体差あり)の壁だったからだ。
どうやら才能のない人間はB+が。
そして、才能のあるタゴルやエクスでもA+が限界の様である。
まあ、越えさせられない訳ではないんだが……
実は生物の限界を超えたランクアップは可能だった――以前は出来なかったが、何故か最近できるようになっている。精霊達の力でステータスが上がった影響かもしれない。
が、限界突破のランクアップは成功率はおよそ1割程度
失敗すれば当然ポイントは失われ、更に、強くもならないのにデタラメな苦痛も普通に受けると来てる――仕様は感覚で分かった。
まあ苦痛は頑張って耐えて貰うにしても、10万ポイントもかかるので、1割程度の成功率の為につぎ込むのは非常に効率が悪いと言わざるえない。
確率が上手く上振れてくれればお得なんだろうけど、世の中そんなに甘くないからな。
「だとして……なるべく広く上げるべきか、それとも一部を先鋭的に強化すべきか。どっちがいいと思う?」
エレメントゴーレムは全部で5,000体程——状況が変わったので、現在も増産中。
ランクはCで、その内100体は子爵領制圧用にBランクに上げている。
CからBに上げる際の必要ポイントは3,000ポイント。
なので150万ポイント使えば、500体の、事前の物と合わされば600体のBランクを保有する事になる。
ピンポイントで強化する場合は、BからAランクに上げるには3万ポイントが必要となるので、今いるBランク100体の内半数をAランクを上げる形だ。
Bランク600体か。
AランクBランクそれぞれ50体か。
どちらの方が効率がいいのか判断がつかないので、俺はジャガリックに尋ねた。
「Aランクを増やす方が宜しいかと。あまり力の差が大きすぎますと、足止めは務めりませんので。Aランク50体ならば、デスナイトの足止めをある程度任せる事が可能かと思われます」
敵の最大戦力であるデスロードは、ジャガリック達メガ精霊三人に任せる事になる。
もちろん倒す事は不可能。
あくまでも、その時間稼ぎが彼らの役割だ。
「わかった。じゃあ、ポイントはエレメントゴーレムをAランクに上げる事に使おう」
まだほんの少しだが猶予はあるので、引き続きタゴル達にポイントを稼いで貰い、それも可能な限りエレメントゴーレムの強化に使うとしよう。
少しでも戦力を引き上げる為に。
拙作をお読みいただきありがとうございます。
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