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第135話 パフォーマンス

「「カルゴン!」」


棺が運び込まれる。

蓋を開けると、四肢と首が切り離され、全身切り傷だらけのカルゴンの遺体が入っていた。


いやいやいや。

殺し方エグイな。


やったのはタニヤンだっけ?

タニヤンって案外残酷なんだな。


普段好々爺然とした彼からは、想像もできない破損っぷりである。

まあ殺し合いだし、しょうがないっちゃしょうがないのか。

精霊だから人間とは感覚が違うってのもあるだろうし。


「ぐうう。おのれスパム男爵。よくも息子をこんな無残な目に……」


損壊の激しい遺体を目にした子爵とバルゴンが、俺を憎しみの目で睨みつけてくる。

いやまさか、俺もこんな酷い状態だったとは夢にも思わなかったんだよ。

まあだから許せとか、悪かったとかは言うつもりはないけど。


「安心しろ。俺の力を使えばカルゴンは生き返る」


カルゴンの遺体を持って来させて見せたのは、別に嫌がらせの為ではない。

俺の力、ひいては他国から援助を引き出す秘策——即ち、死者蘇生を見せる為だ。


「は……なんだと?貴様……貴様ふざけているのか!?」


俺の言葉を戯言で揶揄われたと受け取ったのか、子爵が激高する。

まあ言葉で言っただけじゃ、簡単には信じられないよな。

だからこその実演である。


「直ぐに分かる嘘を吐く趣味はない。見ているがいい」


俺は棺の中のカルゴンの遺体にランクアップを発動させる。

当然の話だが、死者はそのままではランクアップさせる事が出来ない。

その事前段階として、俺の能力が対象の蘇生を訪ねて来る。


げ、たっか……


蘇生に提示されたポイントは5万ポイント。

想像してたものより10倍ぐらい高い――基本は5,000ポイント。

想定外もいい所である。


確かに遺体の損傷は激しいけど、いくら何でも10倍はなくね?

ひょっとして、個人の能力とかも影響するのか?


だとしたら、タゴルとかエクスが死んだらとんでもないポイントが請求されそうだな。

まあいい。

これは必要経費だ。


正直、カルゴンに5万の価値があるとは到底思えなかったが、パフォーマンスとして必要な行動なので、もったいないと思いつつも蘇生させる。


「なっ……」


「カルゴンの遺体の傷が消えていく……」


カルゴンの肉体から傷が消えて、寸断された四肢と首が繋がる。

そしてその体に血色が戻った。


「う……ん……なんだ?ここはどこだ……俺は確か……はっ!そうだ!敵襲を受けて!!」


「「——っ!?」」


蘇り、意識を取り戻したカルゴンが死ぬ直前の事を思い出し手飛び起きる。

その様子を見ていた子爵とバルゴンが驚きに目を見開いた。


「む、父上に兄上では御座いませんか……その恰好は一体。それに敵は……うぉっ!?なんだこれは!?」


状況が把握できていないバルゴンの肉体を、地面から飛び出した石が巻き付き拘束した。

子爵達と同じ感じのあれだ。

ほっといたら暴れるかもしれないから、ジャガリックが先手を打って拘束してくれたのである。


「ぐぬぬぬ……なんだこれは!?解けんぞ!どうなっている!?この――むぐがっ!?」


「今は大事な話の最中ですので、お静かに」


石の拘束具を使い、ジャガリックがカルゴンの口を閉ざして黙らせる。

まあ今は子爵との交渉の最中だからな。

コイツへの説明は後回しでいい。

決定権があるわけでも無し。


「信じられん……スパム男爵、お主は一体何者なんじゃ?死者蘇生など、人のなせる業ではない。そんな真似が可能なのは、神位のもの……」


「別に神って訳ではないけど……まあ今見て貰った通り、俺には死者蘇生の力がある。それに付け加えて、俺はエリクサーの制作も可能だ」


「エリクサーまで……」


エリクサー作ってるのは思いっきりメガ精霊達な訳だけど、まあそこはいいだろう。

重要なのは用意できるって点だし。


「この能力さえあれば、各国からいくらでも支援を受ける事が可能だ。それでもまだ、うちじゃ帝国に勝てないと思うか?」


俺は意図的にドヤ顔を作り、子爵にそう問いかけた。

こういう時は自信満々で押し通すのが一番である。

たぶん。


これで上手く行ってくれるといいんだけど……


子爵領の掌握や管理のしやすさってのもあるが、けどできれば子爵家全員の首を斬る様な真似はしたくないからな。

あと、そうなると今支払った5万ポイントも無駄になってしまうし。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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