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第134話 お話

アイバス子爵家の制圧は、ビックリする程スムーズに終わった。

全体を通しての死者は子爵家三男のカルゴンのみで、こちらには被害らしい被害もなく、正に圧勝である。


それだけ、今のスパム男爵家は強いって事だよな……


敗戦で相手が弱体化していた事。

それに虚を突いたからってのもあったけど、それを抜きに考えても、今回の完全勝利は、今現在のスパム男爵家の戦力の高さあってこそだ。


「初めまして、アイバス子爵。私はエドワード・スパムだ」


子爵家制圧後、無力化し捕らえていた子爵とその息子、バルゴンに会いに俺は子爵邸へと訪れた。

目的は説得である。

独立に際して、配下に入ってもらうため。


……子爵達を殺さず配下に加える事が出来れば、子爵領全体の把握がスムーズに進むからな。


「正気か?スパム男爵」


岩でできた拘束具で縛られている子爵が、俺に怒りの眼差しを向ける。

まあいきなり配下になれって書信届けられて、ノーって返事しようとしたら制圧された訳だからな。

怒るのは当たり前の話だ。


「今はポロロン王国のが一丸となって戦わねばならん時だというのに、王族である貴方が真っ先に国を捨てて独立しようなどと……恥を知れ!」


まあ正論ではあるな。

自分のために国を捨てる売国奴と言われたら、まあぐうの音も出ない。

事実だし。


ただ一点、修正するならば……


「アイバス子爵、俺は王族ではないぞ」


そう、俺はもう王族ではない。

追放されたから。

まあ血は繋がってるし、その事から帝国に狙われる可能性が高い訳だけど、誰が何といおうと俺はもう王族ではないのだ。


「その証拠に……ダンバスはポーションの無心をスパム領に通達してきただけで、俺に王族として共に戦おうとは持ち掛けて来てないしな」


王家が俺を王族扱いしていないのに、『よっしゃ!王族としていっちょやったろうか!』とはならんわ。

まあ、認められたら国のために頑張ろうかってなるかと言われれば、微妙ではあるが。


「例えそうだったとしても――」


「あー、ストップストップ」


俺はアイバス子爵の言葉に待ったをかける。

彼の行動が愛国心からくるのか、はたまた、俺を説得して自分達を解放させようとする試みなのかは分からないが、俺はここにそんな話をしに来た訳ではない。

なので、相手の主張を一々全部聞いてやる気はなかった。


「アイバス子爵。俺はここに現実的な話をしに来たんだ」


「現実的な話だと……」


「ああ、あんたには俺の配下に入って貰いたい」


「断る!殺したければ殺せ!遅かれ早かれ沈む船だ!それに乗る意味などない!!」


アイバス子爵が、俺の勧誘をスッパリと断る。

まあ確かに、彼からすれば男爵家の独立に乗っかっても、結局先が無いようにしか見えてないだろうからな。

結局死ぬ事に変わりはないのなら、今殺せって言うのも無理はない。


「沈む船ね。まさか子爵は何の勝算もなく、俺が独立を進めていると思っているのか?」


「勝算だと?笑わせてくれる。帝国は禍根を断つために王家の血筋を根絶やしにするだろう。独立したからと言って、攻め込まれないとでも思ったか」


「攻め込まれるのは想定内だ。俺だってそこまで馬鹿じゃない。その上で、勝算があるって言ってるのさ」


「戯言を抜かすな。誰がそんな話を信じるものか」


「ち、父上。スパム男爵は偉く自信おありの様ですし、話だけでも聞かれてみてはいかがでしょうか?」


一緒にとらえているバルゴンが、俺の話を聞くよう子爵に勧めだす。

子爵は捨て鉢でもう死ぬ気満々の様だったが、息子のバルゴンはそうではなさそうだ。


「もし本当に勝算が見込めるのでしたら、スパム男爵に協力する事は決して悪い話ではない筈です」


「むう……わかった。では、どうやって帝国に勝つつもりなのか話してもらおうか」


「いいだろう。まあだが、まず……話すより実践して見せた方がいいだろう。ジャガリック」


「はっ」


ジャガリックに命じ、俺はある物をこの場に持ってこさせる。

それは――


子爵家三男、カルゴンの遺体だ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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