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第128話 ゴーサイン

「え、エドワード様にそんな力が……」


カンカンを回収し、スパム領から撤退すると言って来たオルブス夫妻が、戻ってきて最後までお付き合いしますと言って来た。

どうやらカンカンが残ると主張した様である。


多分アリンがらみだろうけど、まあ理由はどうでもいい。

重要なのは、沈みかけの船にオルブス夫妻が最後まで同船する事を選んだって事だ。


だから俺は自分の能力を打ち明けた。

そう、死者蘇生について。


最悪カンカンが死んでも、俺さえ生きていれば助けられるって事を伝え、二人を少しでも安心させるために。

それ位の心遣いはしてやっても、罰は当たらないだろうから。


「流石に、にわかには信じがたいお話でして……」


「嘘じゃないさ。もし騙すきなら、撤退するって言った時点で吐いてる。最後まで支えると言ったから打ち明けたんだ」


引きとめるための材料として提示するのなら、もっと早いタイミングで伝えているからな。


「信頼して頂きありがとうございます。エドワード様」


「「エドワード様の秘密は決して洩らす事ははないと、この場で誓わせていただきます」」


オルブス夫婦がお互いに顏を向け頷き合い、膝を折って頭を下げる。


死者蘇生ってのは、場合によっては傾国になりうる秘儀だ。

実際、寿命を延ばすって理由で王国は帝国に攻め込まれ、首都まで落させられてしまってる訳だからな。


頭のいい二人はそれを察し、こうして誓いを口にした訳である。


「エドワード様。この際なので、お二人にエドワード様のお力を広めていただくと言うのはどうでしょうか?」


「え?」


「死者蘇生の力があると周知されていれば、万一最悪の事態に陥った場合でも、帝国はエドワード様の命を取る事は決してなくなる筈です」


「なるほど、確かに……」


平時なら厄介事を引き寄せる事にしかならない秘密だが、戦時においては命の保証に繋がる訳だ。

確かにそれは名案である。


「それに死者蘇生の力は、各国の貴族王族も喉から手が出るほどの物。うまく立ち回る事が出来れば、各国の支援を受けて時間稼ぎが出来るやもしれません」


「他国からの支援があれば、確かに良い時間稼ぎにはなるな。けど……能力が嘘か本当か分からない状態で、俺に力を貸すなんてマネをするか?」


死者蘇生はさぞ魅力的だろう。

人間、いつ死ぬかわからない訳だからな。

だが、嘘か本当かわからない能力の為に、果たして帝国と敵対してまで俺に援助の手を出す奴らがいるのかって話である。


俺なら嘘くせぇって考えて、救援要請は無視するな。

確実に。


「スパムポーションはエドワード様の力で生み出されているという事にし、完全版を援助して頂けそうな国にお試し配布すれば、支援要請に乗って来る国も出て来るかと」


流通しているスパムポーションは、わざと効果を落としてあった。

生産量が減ってしまうと言うのもあったが、何より、エリクサーの唯一の製造元であるエルロンド教に睨まれる恐れがあったからだ。


「ふぉっふぉっふぉ。ほぼエリクサーと同等品であるポーションを生み出すエドワード様ならば、本当に死者蘇生が可能なのかもと思わせる事も出来るでしょうな」


タニヤンが姿を現す。

どうやら彼もジャガリックの案に賛成の様だ。


「確かに、それなら多少説得力はでるか……まあ教会を怒らせそうだけど、今は気にしてる場合じゃないよな」


スパム領が滅ぼされてしまっては、教会もくそもない。

御機嫌伺いなどは、生き延びてから考えればいい事である。


「わかった。その方向で話を進めてくれ」


俺はジャガリックの案にゴーサインを出す。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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