第117話 4回分
――上空。
「こちらが新しい耕作地帯になります」
上空から、広大な耕作地帯を見下ろしジャガリックが説明してくれる。
荒れ地か死の森の二択かと言うレベルのスパム領は、基本的に農業には向いていない。
が、メガ精霊の力を使えば環境改善が可能だ。
「ここに小作用ゴーレムを配置し、効率的に農業を進めていく予定で御座います」
戦力用のエレメントゴーレムは当初予定していた数が揃ったので、今度は新しく農業用のゴーレム製作にうちは取り掛かっていた。
リソース余ってんだから、せっかくなので農業にも手を出そうって計画の元。
カッパーはぎゃあぎゃあ文句言ってたが、例の如くスルーしてこき使っていく所存である。
因みに、ボロンゴ村に小作用ゴーレムを配置するつもりはない。
そんな事して仕事を全部オートに変えた日には、村人が堕落するのは目に見えてるからな。
彼らが今まで苦労して来た事は考慮するが、それはそれ、これはこれである。
働かざるもの食うべからずって言うだろ?。
え?
お前もほぼ精霊達に丸投げする形で全然働いてない?
おいおい。
俺はお貴族様だぞ。
優秀な部下を抱えて、ふんぞり返るのもまた貴族の立派なお務めだ。
むしろ無能が余計な事に手を出した方がマイナスなんだから、何もしないのが限りなく正解と言える。
なので問題なし!
「よろしく頼む」
あ、因みに空はタニヤンの能力で飛んでいる。
空気で出来た透明な板に乗ってる感じだ。
透明で、10人ぐらい余裕で乗れる糞デカい筋斗雲だと思って貰えばいい。
「エドワード様。この畑には何を植えるのかしら?」
エクスが耕作地に植える品種を訪ねてくる。
「比較的手間のかからない、ジャガイモやダイコン等になります。手間のかかる作物となると、ゴーレムの品質を上げなければなりませんので」
エクスの質問に、ジャガリックが代わりに応えた。
売りに出すなら断然小麦なんだが、手間のかかる作物を作ろうとするとその分ゴーレムの品質を上げる必要が出て来る。
けどそれをすると、今年の農期に用意できるゴーレムの数が足りなくなってしまう――耕作面積くっそ広いから。
なので、今年は手間のかからないイモやダイコンを作る。
それ以外の物は来年以降だ。
あ、あと、家畜類もだな。
小作用の簡易ゴーレムじゃ、飼育なんかは難しいから。
「ゴーレムちゃんの問題なのねぇ」
「いくらメガ精霊達が優秀でも、何でも即座に万能とはいかないさ。ジャガリック達には担って貰ってる仕事も多いからな」
精霊達のランクを上げればまた話は変わって来るだろうが、それをするには圧倒的にポイントが足りないのだ。
Aランクに上げるのに必要なポイントは100万。
精霊全部Aに上げようとしたら、合計400万。
400万と言えば、実に【王家に舞い戻れ!】4回分のポイントである。
さっすがに、簡単には用意できんわ。
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